『国宝多宝塔造立800年記念』として高野山金剛三昧院を紹介する展示会が、鎌倉歴史文化交流館で開催されていました。金剛三昧院の文化財を一堂に集めた展覧会は史上初なのだそうです。

 

「何でそれが鎌倉で開かれたか?」と言えば、金剛三昧院は源頼朝や実朝の菩提を弔うために北条政子が創建したお寺なのです。つまり鎌倉と高野山を関係付けるお寺が金剛三昧院なのです。とりわけ、多宝塔は政子発願だと伝わっています。高野山には多くのお寺がありますが、国宝に指定されている建造物は2つしかなく、そのうちの一つがこの多宝塔なのです。高野山が大火にあった時 他の寺院からやや離れた場所にあった金剛三昧院は類焼を免れたので鎌倉時代の建築物がそのまま現存しているというわけです。

 

 

今回 展示されていたものは多くはありませんでしたが、地蔵菩薩立像が後背や体内まで見られて興味深かったです。

金剛三昧院の創建や維持に大きな役割を果たした有力御家人が 安達景盛だったそうですが、その安達氏の屋敷跡近くに鎌倉歴史文化交流館が建てられているというご縁もあるそうです。

実は 金剛三昧院は 高野山での私の定宿で今年の夏もここにお世話になりました。

(建物の写真はその時のものです。)

高野山で拝めなかった弁財天座像や地蔵菩薩を地元の鎌倉で拝顔できたのは幸運でした。  私には 仕合せでした。

(ライター:山口一郎)