春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪冴えて 涼しかりけり
(道元禅師)
人生の四季、第6回は「晩秋としあわせる心意気」です。
先日訪れた奥多摩で、風が吹くたびに、頭上の木々から葉がちらちらと舞い散り、川に落ちて流れてゆく光景を目の当たりにしました。
還暦を過ぎる頃、サラリーマンや公務員だった人たちは定年で第一の人生を終え、子供たちも独立した。今まで忙しかった働き者ほど、有り余る時間の前に立ちつくし、何をしていいかわからず、やがて来る新しい季節に順応できず不安な日々を過ごす人が少なくないようです。
人生の晩秋です。
筆者は「おじいちゃん、おばあちゃん専門の派遣会社」で登録面接のお手伝いをしています。年に150人から200人ぐらいの定年退職後のシニアと面談します。
お金のことよりも、「きょうよう」と「きょういく」の提供、つまり「今日の用事と行くところ」をご紹介することでシニアの皆さんがより元気に日々が過ごせ、喜んでいただいています。
昨今の高齢化社会の中で、このサービスは盛況です。晩秋と楽しくしあわせる一つの方法だと思います。
この㈱高齢社の仕組みを考えた創業者の上田研二元会長は来年の3月で80歳になられます。パーキンソン病の身体を抱えながら、事業意欲が衰えず、「生涯現役」を掲げ、仲間を集め、次々と新規事業に取り組まれています。
その姿は晩秋にあざやかに紅葉する里山のようです。
そうだ!自分もこの歳で、花を咲かせることはもうないけれど、ただ散るのを待つのではなく、「一枚のもみじ」として真っ赤に紅葉してもう一度輝いてみたい、とお元気シニアと接する日々で思うこの頃です。
(続く)
今日も仕合わせる一言をお読みいただき、ありがとうございます。
<ライター:沢 啓>