天高くそびえる木は、風が吹いて揺らされながらもしっかり立っています。
もちろん、根が張って支えているわけですが、実は幹自体にもヒミツがありました。
幹を輪切りにしたと想像してください。
その円の中で”生きている”部分はどのくらいだと思いますか?
私はずっと、円全体が生きていると思っていました。
しかし、さにあらず。
実は、中心のかなりの部分はすでに死んで”木化(もくか)”して固くなっているのだそうです。
そして幹の表面の樹皮も死んでいる。
生きている部分は、樹皮をはいだ下のほんの一部分なのだそうです。
あくまでイメージですが、地球と大気圏くらいのうすーい部分が、生きて水を吸い上げて栄養をやり取りしているのだそうです。
確かに、幹は高く太く育っていくのに、葉の数はそれほど劇的に増えるわけではなく、木全体を養うだけの栄養をまかなうのには無理があります。
そして幹の中心が固いからこそ、根の力とも協力して、台風の風にも耐えて立ち続けることができるのでしょうか。
仕合わせる力を学ぼうと思ったら、自然は大先生ですね。
そういう一つひとつについて知るたびに、「自然をコントロール」とか「自然を管理する」とか、そういう発想自体に無理があることを感じずにはいられません。
秋晴れのさわやかな季節になりました。
週末にかけて、どうぞお元気でお過ごしください。
(この内容は、森林植物学を学ぶ大学4年生の筆者の息子から聞きました)
〈ライター:斉藤知江子〉