歌舞伎『夏祭浪花鑑』稽古 鑑賞 | 映画ドラマ芝居のとびら(映像全般)

映画ドラマ芝居のとびら(映像全般)

特に海外の映画・ドラマが大好きです。心を動かされたセリフや感じたこと、紹介したい作品などについて、つぶやいていきたいと思っています。




「平成中村座」の
『夏祭浪花鑑』(なつまつりなにわかがみ)


2002年(平成14年)11月、当時五代目中村勘九郎さん率いる「平成中村座」の皆さんが大阪で芝居小屋を作り、『夏祭浪花鑑』を上演。


【役名:上演当時の名/のちの襲名後の名】

団七九郎兵衛:五代目中村勘九郎(なかむら かんくろう/のちの十八代目中村勘三郎なかむら かんざぶろう) 

一寸徳兵衛:三代目中村橋之助(なかむら はしのすけ/のちの八代目中村芝翫なかむらしかん)

玉島磯之丞:九代目中村福助(なかむら ふくすけ)

団七女房お梶:三代目中村扇雀(なかむら せんじゃく)

三婦:初代坂東彌十郎(ばんどう やじゅうろう)

大島佐賀右衛門:四代目片岡亀蔵(かたおか かめぞう)

三河屋義平次:笹野高史『ささの たかし)



短いあらすじ


文楽、歌舞伎ともに人気の作品で九段目まである長篇の世話物(せわもの)全段ではなく何段目かを上演することが多い。

大阪の長町裏、任侠、義理人情の中で生きる者たちとそれにかかわる者たちとの人間模様が描かれます。



舞台稽古鑑賞の機会


「皆様にお世話になったので稽古をみてもらいます」という声かけがあり、縁あって出かけ、素晴らしい舞台を鑑賞することができました。


このような機会はないと思い、まだ就学前の子どもたちも連れて行きました。

子どもたちが動き回るといけないので誰もいない二階席へ上がり座りました。暗がりの中、ろうそく🕯がゆらゆら揺れる独特な空間でのお芝居。


でも、大立ち回り、リズムよく見得を切る様、本物の水がバシャバシャと大きく飛び散ったり、泥だらけになりながらゆっくりスローモーションを見るように動き回るところなど、見どころがいっぱい。

最後は後ろの戸がドーンと開き、びっくりな仕掛けがありました。祭囃子は聞き慣れたお囃子です。数時間に及ぶお芝居でしたが、子どもたちはじっと座って、見入っておりました。


最後は出演者の皆さんが全員舞台に集合してくださり、我々も下へ降りていきました。近くまで行き、手を振ると三代中村目橋之助さんがこちらを見て長い間ニコニコと手を振ってくださって、嬉しかったです。当時、三代目中村橋之助さんにも同じ年代のお子様がおられたので、ちびっ子がいて目にとまったのかも知れません。自分は五代目中村勘九郎さんと目が合い感激のあまり気絶しそうでした。


子どもたちはたいそう感動したのでしょう。帰宅後、絵を描くと言って、紙芝居を作りました。首飾りも作って、その晩、それらを持って芝居小屋へ持参しましたが、もちろんお会いすることは叶わず、受付の人にお渡しして、帰ってきました。

本人たちはお会いして、素晴らしかったと気持ちを伝えたかったのでしょう。泣いていました。


商店街を人力車で行くお練りもありました。流石に大勢の中をベビーカーを押して歩くことはできませんでしたがみんなで花吹雪を何度も散らしました。素敵な思い出です。



素晴らしい三田寛子さん


その後、両親が関東へ出かけた帰りに飛行機を降りて乗ったバスに、三代目中村橋之助さんの奥様の三田寛子さんとお子様が同乗されていたことを聞きました。


うちと同じくらいの子どもさんたちを1人で連れておられたようで、バスを降りる時に大きな荷物を持ちながら「お兄ちゃん、起きて、これ持って、はい、みんな降りるよ。」とテキパキと動いておられたそうです。歌舞伎界のサラブレッドである方の奥様がお付きの人もおらず、1人で頑張っておられる姿に両親は感心しきり。テレビで見る三田寛子さんはおっとりとして見えて可愛い方ですが、厳しいといわれる歌舞伎界で夫を支えながらひたむきに子育てをしているその時の様子を聞き、それ以来、遠くからではございますが、彼女のことをより一層応援しております。




絵葉書


この三田寛子さんのお話に感激した自分は三代目橋之助さん、三田寛子さんへお手紙を書きました。ほどなくして、三田寛子さんより三代目中村橋之助さんの代筆として絵葉書が届きました。まさかお返事をいただけるとは思っておらず、優しいお言葉に感激しました。

昨今色々なお話が出ておりますが、歌舞伎界の縁の下の力持ち、見えないところで頑張っておられることに頭が下がります。どうぞこれからも頑張っていただきたいと思っております。



最近、六代目片岡愛之助(かたおかあいのすけ」さん、奥様藤原紀香(ふじわら のりか)さんや十三代目市川團十郎白猿(いちかわ だんじゅうろうはくえん)さん一家の密着テレビをみました。大変昔のことなんですが、歌舞伎の色々なことを思いだしたもので、今回懐かしい思い出を書かせていただきました。

直近のことはすぐに忘れてしまうのに、昔のことは覚えていたりします。不思議です。


若かりし五代目中村勘九郎さん、五代目坂東八十助(ばんどう やそすけ/のちの十代目坂東三津五郎ばんどう みつごろう)さんのこともまた、書かせていただけたらな、と思っております。