『手紙は覚えている』アウシュヴィッツを生き延びた老人の復讐の旅路を描いたサスペンス作品 | 映画ドラマ芝居のとびら(映像全般)

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特に海外の映画・ドラマが大好きです。心を動かされたセリフや感じたこと、紹介したい作品などについて、つぶやいていきたいと思っています。


🎬『手紙は覚えている』🎬


2015年カナダ・ドイツ合作

アトム・エゴヤン監督

クリストファー・プラマー(撮影時84歳)を主演に迎え、

アウシュヴィッツを生き延びた老人の復讐の旅路を描いたサスペンス作品です。



登場人物は

老齢な名優達が名を連ねています。


🔔ブルーノ・ガンツ(ルディ・コランダーを名乗るうちの1人)『ベルリン・天使の詩』『ヒトラー〜最後の12日間〜』


🔔マーティン・ランドー(手紙を渡した老人施設のマックス)『スパイ大作戦』『タッカー』、1994年助演男優賞受賞『エド・ウッド』





あらすじと感想


最愛の妻に先立たれ、

認知症も日々悪化している90歳の老人

ゼヴ(クリストファー・プラマー)は、

老人施設にいる友人の

マックス(マーティン・ランドー)から

☝️1通の手紙を託されます。

アウシュビッツ収容所から生き延びた2人。

家族を殺されナチス兵士を探し復讐するために

ゼブは1人で旅に出ます。




ゼヴ役

長身で男前83歳クリストファー・プラマーの名演が素晴らしいです。

認知症で記憶がたどたどしい、高齢のセヴにとって

たった1人で復讐の旅は厳しく、とても困難です。

様々な問題ににぶつかります。

絶体絶命だと思われるような場面でも、

温厚な老紳士のゼヴは、タイミングよく乗り切ってしまったり、

あたたかな人たちにも助けられたりしながら、

クタクタになりながら大移動を続けてゆきます。

何度も物忘れが起きるので、マックスの復讐の手紙を読み返して、

また1人で孤独な旅を続けていくゼヴ

ゼヴの柔和で紳士的な物腰と不安な表情の対比

妻を思い出し、亡くなったことに動揺するのですが、

マックスの手紙を読み返して

また『復讐』へと向かう姿は鬼気迫ります。


この映画で第二次世界大戦は遠い昔のことではなく、このような形で、今でも人種差別は続いているのだと思い知りました。



本作品は

名前を変えて生き延びるナチス兵士への復讐劇です。

4人に絞られた人物を高齢で認知症の男性が、

長い旅をして、本人かどうかを一人ひとり訪ね探し、歩き続けます。

最後の1人に本当に

たどりつけるのか。




どうか、最後まで見届けてください



驚愕のラストへと向かう旅路は

とても怖かった。

辛かった。

思わず、声を出して、叫んでしまいます。

憎悪、狂気、家族への想い、時代に翻弄された人たち。



後半からラストに向かっては心が揺さぶられて息をのむ展開です。




今まで見たことのない斬新な手法の

ホロコースト作品です。

とても見応えある映画です。


世界では今も紛争や戦争が起きています。私は戦争を知らない世代ですが、明治生まれの祖父、大正生まれの祖母、戦争中小学生だった母や親戚、そのご友人たちから、戦争の悲惨さを聞き育ちました。


心から平和を願います。