メダカのお母さんから、岐阜にお手紙が届きました。
中を開けると、サギソウのポストカードも入っていました。
広がる青空をバックに一枚パチリ。
まるで羽ばたいているような、その姿を見ていると、
私も大空へ飛んでいける。
そんな気持ちになりました。
そして、ふと、高校生の時に書いた脚本「塩化ビニールのあひるたち」のラストの台詞を思い出しました。
「アヒルの頭の上にはいつも変わらない青空があった。
アヒルが泣いた次の日も、必ず青空が待っていた。
だけど、ある時、アヒルの頭の上に青空はなかった。
待っていたのは黒い空。
広げた両手は動きを止め、アヒルはそこへ座り込んだ。
空はだんだんと暗くなっていった。
そして、ひとつぶの涙が落ちてきた。
アヒルの目からも、ひとつぶの涙が落ちた。
そのうちに、ふたつぶ、みつぶと雨が降りだした。
アヒルの目からも涙が溢れた。
やがて嵐がやってきた。
強い風がふき、アヒルは強い雨にうたれた。
アヒルは座り込んだまま、目をつぶりじっとしていた。
涙を流し、青空を待っていた。
しかし、青空はやってこなかった。
泣き疲れたアヒルは涙をぬぐい、とりあえず立ち上がった。
ぐちゃぐちゃの顔で笑って見せた。
雨がなんだ。
強く生きてやる、そう思った。
そう思ったとたん、雨は弱まり、静かに止んだ。
青空を飛びたいアヒルの夢は変わっていなかった。」
あたし、立ち上がれ。