(在宅)訪問マッサージに健康保険が使えること自体が知られていませんよね。診療報酬で正式には「往療料」といいます。医師の往診に似ていて、患者さん宅に出向いた交通費などがここに含まれるイメージ。

医師の往診料・在宅患者訪問診療料:720 点または 830 点
訪問看護基本療養費(医師の指示による):555点
マッサージの往療料(医師の指示による):¥2,300=230 点

介護保険を含めると複雑になるので、ここでは健康保険の範囲に限ります。

医師に往診してもらうと、¥7,200(患者さん自己負担はここから1〜3割)
看護師さん、理学療法士さん(訪問リハビリ)に来てもらうと、¥5,550(同)
マッサージ師がお宅に伺うと、¥2,300(同)

自分の経験で、風邪で発熱しただけでも、「病院行きなよ」のアドバイスが辛かった。病人は寝ているものでしょう。訪問での医療サービスは、時代の要請に従ったように見えて、実は「医師が呼ばれる」かつての形態に回帰しているのです。昭和の子供は、近所の先生に往診してもらった経験があります。

で、前回見たように、マッサージの施術料は、最大¥1,750 です。
医師の 1/3 以下、看護師の 1/2 以下の往療料 ¥2,300 より低いのだ。

よく意味がわからないと思う。平たく言って、行くだけより安いことをしに行く状態。

ポジティブに捉えるならば、患者さんの負担が軽く受けてもらえる医療サービスです。
でも、訪問マッサージを知って利用してくださる患者さんの感覚として、「安すぎませんか?」と訊ねられることがあります。
部屋に招き入れ、一定時間のマッサージを受けると、世間の「最低時給」くらいは渡したい、と感じてもらえるのですね。患者さんが1〜3割負担で妥当と感じる金額が、マッサージの適正な報酬です。

そうなりますように。