眺める月は一つ 十一話のその後 〜再会〜重なる想い | 信の虹 ー신의 nijiー

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ここは韓国ドラマ「信義」の登場人物をお借りして楽しんでいる個人の趣味の場です。
主に二次小説がメインです。ちま(画像)の世界も大好きです。
もしも私個人の空想の産物に共感してくださる方がいらっしゃったら、
どうぞお付き合いください^ ^


十一話のその後のお話しです。
夜のお話しに違和感を覚えた事のある方は、くれぐれもお読みにならず、捨て置いてください。
このまま十二話へ進んでいただいてもストーリーはつながっています。
(この記事が消えてしまったらゴメンなさい。また後日修正してUPします)


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眺める月は一つ  第十一話のその後




長い長い月日を超えてやっと出会えたその晩に、同じ床で抱き合っている。
互いに性急すぎるのは承知していた。
尋ねたい事、伝えたい事は空高く天に届く程あり過ぎて、一晩語り明かしただけでは足らぬだろう。
会えぬ間にどう過ごしていたのか、危険は無かったか、健やかに笑える時はあったのか。

しかしそれを尋ね、語り、そうして夜が明けた時に互いの姿が幻だったら?
再び絶望から這い上がるまで、短くは無い時間がかかるだろう。
もう幾度も味わい慣れてしまった感覚とはいえ、毎度耐え難い心地には変わりない。

ならば互いの姿が消えぬうち、幻でもいい。肌を合わせて一つになりたい。
朝目覚めて、ああやはり夢だったのかと肩を落としても、その夢一つでこの先いつまで続くか分からぬ孤独に随分と耐えられるだろう。いつかは会えるはずだという希望に変えられるだろう。


ゆっくりとヨンの口づけが下りてくる。
夢みたい。ずっとずっと会いたかった人が、目の前にいる。
口づけが落ちてくるたびに、夢じゃない。帰ってきたんだ、この人のもとに。
そう気づかされるようで、熱くなる。
溢れる想いを全て打ち明けたくなる。この人の全てを受け入れたくなる。

ヨンが細い鎖骨に音を立てて口を寄せると、ウンスの白い肌に薄紅の花が咲いた。
幾度夢を見ただろう。幾度幻を追っただろうか。
ずっと信じて待ち焦がれた人が今、俺の腕の中に寄り添っている。
全てを確かめたい。何もかも。一つ残らず。

そっとウンスの衣を取り去ると、ヨンは確かめるように見据えた後
熱い吐息を堪えるように洩らしながら、ふっくらとした白い膨らみを優しく含んだ。
思わず声を上げて鳴きそうになったウンスが、外に聞こえるのを案じたのか自分の指を食んでいる。
それをちらりと見たヨンがその指をウンスの口元から遠ざけ、堪えなくとも良い。というように握りしめた。

ヨンが自身の衣も取り去りながら、唇を脇腹や臍へも落としてゆく。
始めはぎこちなかったヨンの仕草が、ウンスの呼応を確かめるように次第に繊細になってゆく。
遠慮がちに鳴くウンスが愛らしく、もっと乱してやりたくなる。
ヨンの胸に苦しい程の熱い想いが込み上げる。今すぐにでも己の全てを荒々しくぶつけたくなる欲を何とか堪えつつも、互いに求め合う熱に浮かされたまま、一つに重なり溶けあってゆく。

しならせる細い身体を気遣いながら、じわりじわりと溢れさせる。

身体の芯を駆け抜けた引き攣るような切ない痛みを一つ残さず甘い痺れに変えられて、ヨンの広い背中へしがみつくようにしていたウンスの腕が、込めていた力を手放した。

ウンスはヨンの力強い想いに揺さぶられ、乱れてゆく自分をどうする事もできなかった。
チェ・ヨンに容赦なく求められ、昇りつめてゆく。自分が自分で無くなりそうで恐ろしい。それでもこのまま繋がっていたい。
徐々に貪るようになってゆくヨンの熱から逃れたくなる思いと共に、言い得ぬ激しい高ぶりに襲われてゆく。
ウンスの意識が幾度も遠のき、もう何も考えられず頭の中に閃光のようなものが走ると、ヨンの身体が僅かに震えてゆらりと傾きウンスの上に伸し掛かった。

◇◇

果てても泡と消えずにまだ腕の中にある柔らかい身体を確かめると、ようやくウンスの存在を確信できたようで
ヨンは白い首筋に祈るように埋めていた頭をもたげ、許しを請うように腕の中の人を切なく見つめた。
この四年、ずっとずっと悔やんでいた。何故こうなったのか、如何すれば避ける事が出来たのか。
キ・チョルに引き摺られてゆくウンスの後姿を思い出すたびに胸が音を立てて軋み、己の全てが凍てつく感触がその時のままに蘇った。
これまで幾度となく繰り返し胸の内でウンスへ向けて呟いていたその想いを、今やっと、言葉に変えて口にする。

「すまなかった。最後まで守り抜けず…あなたを一人にさせた」

大きな身体を押し潰されるように受け止めながら、耳元に聞こえる低く切ないその声に、ウンスがふるふると首を振る。

「私の方こそ、いっぱい待たせたもの…」

ヨンがもう一度、幾度でも確かめたいとウンスの鼻先へ顔を寄せると、
ウンスも同じ想いで応えるようにその唇を受け止めた。

互いに共鳴し合う震える想いが清らかに透き通った雫に変わる。
それを含んだ睫毛の先が、月明かりに仄かに儚く煌めいた。