破鏡重円〜再婚 7.雨雲 | 信の虹 ー신의 nijiー

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ここは韓国ドラマ「信義」の登場人物をお借りして楽しんでいる個人の趣味の場です。
主に二次小説がメインです。ちま(画像)の世界も大好きです。
もしも私個人の空想の産物に共感してくださる方がいらっしゃったら、
どうぞお付き合いください^ ^


今日は王妃様の往診の日だ。
いつもは朝起きるとヨンの姿は無いのだが、今朝は支度をしてから寝室を出ると、先に朝餉を済ませたヨンが居た。

「今朝は少し遅く出ます故、共に出仕しましょう。」
するとソリョンが"良かったですね。"とでも言うように、嬉しそうに熱い汁をウンスの椀に注いだ。

歩くには少し遠い王宮までのその道を、ヨンはチュホンの手綱を引き、ウンスと並んで歩いた。
ウンスが往診へ向かう為に、始めは王妃が武閣氏とともに馬車を迎えに寄越していたが、ウンスは「街を歩くのも楽しいから。」と、いつも晴れた日は長い道のりを歩いて通っていた。

「前はよく、足が痛い。歩くのは苦手だ。などと言っていたのに。」
ヨンが嬉しそうにからかうと、
「そうだっけ?」とウンスはとぼけた。
昼前の、賑やかな街並みを二人で歩く。
ふと、装飾品の店にある、大きな赤い簪に目が留まる。
北の地でも前に、似たような簪を見かけた。
「流行ってるのかしらね、あれ。」とヨンに言うと、
「さあ。」と言った後、ウンスの手を取り、しっかりと繋いだ。

いつもは少し長い道のりも、二人で歩くとあっという間だ。
「ねえ…いいの?もうすぐ着くのに。
鬼の大護軍様が、奥さんと手なんか繋いで出仕して。」
「構いません。ほら、もう顔を隠して。」
と、ウンスに笠を被せようとしたその時、

「チェ・ヨン殿ではありませぬか。」

後ろから呼び止める声がした。
供の者を何人も従え、白髪に似合わぬ派手な衣を身につけている。
キム・ギョンだ。
ヨンは素早くウンスに笠を被せ、背中に隠すように一歩前に出た。
「いつも宮中でしか姿を見かけぬが、こんなところで顔を合わせるとは。
…後ろの方は。奥方かの?」
と、白い髭をいじりながら、興味深そうににやりと笑った。

「いえ、客人に御座います。王妃様の大事な客人故、ご案内するところで御座います。では、失礼。」
ヨンはやや早い口調で説明すると、その客人を促し、早足でその場を去っていった。
笠を被った女人が、「え、なに、どうしたの。」と言いながら大護軍の後をついていく。

チェ・ヨン。王が一番の信頼を置くという男。
そしてあの者の支え無しには動けぬ、気概無い王。
彼奴を手に入れれば、この高麗を手に入れたのも同然なのであろう。
逆に彼奴さえ居なければ、こんな国、思いのままだ。
徳成府院君様も、そう考えたに違いない。
キム・ギョンは、二人の背中を見ながら、目を細めた。

しかし、先程の女人。垂れ布の隙間から見えたあの顔。
以前、府院君様を宣仁殿で罵った、あの医仙にそっくりではないか。
医仙に生き写しのような女人を娶ったと聞いたが…噂は本当のようだ。

「おい。チェ・ヨンを我が屋敷に招く準備をしておけ。
酌は…へインにさせる。伝えておけ。」
そう使いの者に言うと、口元を緩めた。