高麗に根付く① | 信の虹 ー신의 nijiー

信の虹 ー신의 nijiー

ここは韓国ドラマ「信義」の登場人物をお借りして楽しんでいる個人の趣味の場です。
主に二次小説がメインです。ちま(画像)の世界も大好きです。
もしも私個人の空想の産物に共感してくださる方がいらっしゃったら、
どうぞお付き合いください^ ^


ー前置きー
時系列的には、"回想~信じる決意③"の後のお話しです。
無事に祝儀をすませて二人で年を越し、その後紅巾征伐の為に遠征したヨン。
その帰りを屋敷で不安に待つウンス。
に、続くお話しです。

ちなみに。
最初のテマンとウンスのやりとりと、最後のテマンの思案。
自分の妄想を元に書いたつもりですが、でもどこかで読んだような気もして、、
念のため探してみたところ、同じフレーズは見受けられませんでしたが、
でももしも、どなたかのお話しに同じくだりがあったらごめんなさい!
優しく教えてください。。

前置きが長くなりましたが、どうぞ。
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「も、もうすぐ、お戻りです!」

屋敷の外から聞こえたテマンの声を聞いて、
ウンスと使用人のソリョンは、ぱたぱたと足音を立てて部屋から飛び出してきた。
「テマン!」
「明け方に、も、戻りました。先程王様へのご報告が終わったので、もうすぐ戻られるかと。」

遠征が終わり、ヨンは高麗軍二万の兵を率いて都に戻って来た。
王への謁見も済み、今後の対策について重臣達と話しながら、外で待機していたテマンに、目で合図をした。
テマンは頷いて、屋敷にいるウンスに一早く、じきに戻れることを伝えに来た。

「それで、、あの人は?」
「怪我などありません。ご、ご無事です。」
「そう、、。」
ウンスは安堵の溜息をついて、目の前の元気そうなテマンにも、傷などが無いか確認した。
かすり傷だから唾でも付ければ治ります。と嫌がるテマンに、
「かすり傷から菌が入って重傷になることもあるのよっ。あと、いつも言ってるけど、傷口にそんなの付けちゃダメ!清潔にしないと!」と、屋敷に引き入れようとするが、
「だ、だめです、大護軍より先にお屋敷に足を踏み入れるなんて。」
と言って、動こうとしない。
「何を遠慮してるの。あの人が来る前にさっさと治療しちゃいましょ、さあ!」


「何を騒がしくしているのです。」

突然後ろから低く、よく通る声が聞こえた。

「あなた!」
「只今、戻りました。」
鎧を脱ぎ、出立の朝に王宮まで行く際に身に付けていた着物に着替えて、
身なりはサッパリしてはいるが、ヨンの髪の毛はごわつき、
口元には遠征の間に剃れずにいた髭が生えていた。

ウンスは掴んでいたテマンの腕をぱっと離して、ヨンに走り寄った。
おかえりなさい。と、ヨンの太い首に白い腕をまわし、背伸びをして抱きつく。

「良かった、無事で、、。」
「いつも言ってるでしょう。必ず無事に戻ると。」
ヨンはあやす様にウンスの背中を優しく撫でた。
後ろで並んで見ていた若い二人は目のやり場に困り、
ソリョンは炊事場へ、テマンは「じゃ、じゃあ俺はもう行きます。」と、立ち去ろうとした。

「ちょっと待って、テマン。ご飯食べたの?ヨンは?」
「まだです。いささか腹が減りました。」
「じゃあ二人とも、ソリョンがさっき作ってくれた煮物食べましょ!美味しいんだからっ。」
ウンスはまるで自分がご馳走を用意したかのように、テマンの返事も聞かぬうちに、早く早くと、二人を部屋に引き入れた。


「そういえば、、最近ソウンの様子がおかしくないか?」
ウンスが戦から帰った二人の診察を終えると、卓には男二人分の量の料理が用意してあった。
色良く茹であがった黄色いカボチャを口に入れながら、ヨンは隣のテマンに聞いた。

「、、最近じゃあ無いです。だいぶ前からです。」
とテマンは答え、卓の向かい側に座ったウンスは、目の前の二人に熱い湯呑を差し出した。
「あ、あのヨンにだけじゃなくてテマンまで慕ってるっていう、武将さんのこと?変って何が変なの?」
「も、物想いにふけったり、突然にやついたり、してます。ソウン様の事は、、放っといても大丈夫かと。」
「何か知っているのか。」ヨンが聞くと、
「何て説明すればいいのか、、。俺、そういうのよくわかりません。あ、でもあれです。ち、チェ尚宮様がよく大護軍のことを言ってた、アレって言えばいいのかな。。」

「アレってなぁに?」ウンスはお茶をすすった。
テマンは「アレ」を言っていいものなのか考えたが、きっとチェ尚宮様が使っている言葉なのだから、失礼な言葉では無いのだろうと、判断した。

「よく、大護軍の事をこう仰っていました。"いろぼけ"と。」
その瞬間、ウンスはお茶を、ヨンは口の中の米粒を、思わず吹き出した。

「色惚け、、。」

テマンは何かまずい事を言ったのかと、困った顔で頭を掻いた。