函館のおもひで。






夕暮れまで函館市内を回りまして、かねてよりお邪魔したかったお店に向かいました。



そのお店とは、イタリア料理の『Colz』さん。

あの赤い装丁のグルメ本にも掲載された名店です。





【前菜】


《牡蠣のブルスケッタ》《柿と生ハム》


一発目から心憎い演出✨。

海と山の「かき」の共演です。


どちらも、もう少し食べたいと思わせる「いけず」なボリューム(笑)。


スターターとしては完璧な二品ですよ。


ちなみに牡蠣の下は、同じ産地・知内町の〔ニラ〕のスクランブルエッグが土台となっています。






【水茄子のカツレツ  鯖のリエット】


お店の定番のようです。


衣がカリッと揚がった水茄子。

下味はついていないので、添えてある《鯖のリエット》と一緒にいただきます。


このリエット、鯖ということでクセがあるのかなと思ったんですが、杞憂でしたね。

しかも、クリーム控えめで軽い口当たり。


茄子のジュースとリエットが混ざりあい、衣のクリスピー感も加わって、しみじみとした美味しさが生まれます。


茄子の皮も捨てず、軽く茹でて、食感のアクセントになっておりますよ。






【5種類の白身魚のカルパッチョ】


函館ならではの一皿。


ちなみに魚は《ババガレイ》《あいなめ》《ソイ》 《シマゾイ》 《ヒラメ》の五種類。


黄色く模様を描いたソースは《菊の花》で作られているとのこと。


旨味を引き出すため、ジャストの状態まで寝かせてあるのもあれば、フレッシュなプリプリ感を楽しませるものと、魚種により提供するタイミングを変えていますね。


《菊の花ソース》のわずかな青味が、カルパッチョにかけた少量の塩とオリーブオイルともマッチして、魚の味わいを持ち上げております。



このお料理が登場してから気になっていたんですが、〔白い花びら〕のようなものが添えられていまして、なんとこれが《大根》を乾燥させたものだったんですよ。


生魚だけだと飽きがくるところを、力強さのある個性的な風味が味覚に変化をもたらしてくれるんです。


イタリアンですが、「和」の食材・要素を上手く料理に落とし込んでいますね。






【はがいくぶらん】


函館のワイナリー「農楽蔵」さんの白ワイン。


これ、地元・道南の飲食店だけに卸している限定品とのこと。


綺麗な酸があり、口当たりが良いのでグイグイ飲めちゃいます😋。

たぶん、和食でも中華でもマッチすると思います。


こういうレア物は、その土地に行かなければ味わえないですからね……。


にしても、エチケットが面白いなぁ😁。






【玉ねぎの冷たいピュレ  生ウニ乗せ】


一旦、口の中をリセットさせる役目のお料理。


恐ろしく甘いですね🧅。

そして、とてもあっさり。


ウニを潰して、混ぜて食べることをオススメします。






【ジャガイモとマスカルポーネのムース】


なんでしょう、見た目からそそられるお料理は。


 ムースの真ん中に〈うずらの卵〉を落とし、〈 十勝マッシュルーム 〉スライスを散らしています。


スプーンですくいますと、けっこうしっかりと固さがあるのが分かります。


ジャガイモとチーズの相性は完璧ですが、淡く・厚みのある味わいは空気を含んだムースだからこそ。


うずらの黄身と混ぜたり、十勝マッシュと一緒に食べたりすることで、美味しさのベクトルが自在に変化します。


まぢ、気に入りました🥰。


食べ進めると気付くのですが、とても小さいサイコロ状のものが入っているんです。


実はこれ〈 ブリオッシュのクルトン〉。

一般的なクルトンよりも密度が高く、歯応えと口どけが違います。


実にいいアクセントでございます。








【枝豆のラビオリ】


シェフ「熱いんですが、スプーンですくって、一口で食べてください(^_^)。」


一撃でKOされました。

めちゃめちゃ美味いッス!


モッチモチの皮を噛んだ途端、枝豆とリコッタチーズのエキスが吹き出ます。


その旨旨エキスと皮の旨味が一体化して、美味いのなんの。


器の下に溜まった液体は、ラビオリを茹でた時の塩味のついたお湯なんですが、これを一緒に口に運ぶことで全体の味わいが決まるんですね。


当然と言えばそれまでですが、この塩湯が絶妙な塩加減を生み出しているんです。






【クロムツのソテー】


実は、このお料理を失念していまして……。


ふっくら焼かれた《クロムツ》の下には、タルタルソースソースのような、マヨネーズ状のソースが敷かれています。


このソースが美味しく、クロムツにジャストフィット!


たぶん〔サルサカヴール〕というピエモンテ州の伝統的なソースなのではないかな?


さらに驚いたのは、仕上げに振りかけられた《青海苔》。

あの磯の風味が、このお料理にめちゃめちゃ合っているんです。






【ジビーフのビステッカ】


シェフ「様似町『駒谷牧場』さんの完全自然放牧の《ジビーフ》です。」


熟成牛の取り扱いで有名な「サカエヤ」さんでも販売されている、注目のブランド牛。


牛舎で飼育するのではなく、林間に野生状態のまま放し飼いにしています。


まさか、こちらで食べられるとは……ラッキーですね。




陰になってしまってますが、ご覧のようにガチ赤身。


飾り塩の効果もあるのですが、断面はしっとり肉汁が浮いています。

完璧な火入れでございますよ。


よーく咀嚼しますと、きれいな旨味がどんどん現れてきます。


これは美味しい牛肉ですね。


シェフ「付け合わせは[一夜干しした大根]で、お好みで[醤]や [山わさび]を乗せてみてください。」


お店で作っていると思われる[醤]。

ご存知のとおり、牛肉には醤油がフィットしますが、醤はもっと旨味が強いのでドンピシャです。


そして、感心したのは[一夜干し大根]。

適度に水分が抜け、粕漬けのような味わいを内包しています。


これが不思議とジビーフに寄り添いますし、味覚のリセットにも役立ちます。






【ブリとめかぶのパスタ】


海の環境がすっかり変わってしまい、今では北海道のスタンダード魚種となった《ブリ》。

個人的に生よりも、照り焼き等、加熱した方が好きなんです。


太めのパスタを使っており、食べ応えもしっかり。


※スタッフさんが調理前に好みの量を聞いてくれますので、女性の方もご安心ください😊。


《めかぶ》のとろみが全体をまとめてくれるので、口中調理に一役かってくれてます。


仕上げの《ボッタルガ 》の風味が良く、具として使われた《青菜》のシャキシャキ感がGOOD!


なぜか分かりませんが、妙に落ち着く美味しさです。








【エチオピア モカ ナチュラル】


〈フレンチプレス〉で抽出しますので、豆のすべての要素を味わえます。




【アマゾンカカオのティラミス】


この日のコースを締めるデザートはこちら。


他のお客さんのものを見ていると、デザートは何種類かあるようですが、男性にはティラミスを用意しているようです。


ぶっちゃけ大好きです、このティラミス。


スポンジはほんの一部で、すべてがマスカルポーネクリームだと言っても過言ではありません。


前述のコーヒーともマッチしとります。






先にも触れていますが、イタリア料理ではあるものの、コース全体を通して「和」の食材を多様しているんですね。


しかも、和食ばりに素材の持ち味を引き出しており、それが猛烈に美味いのです。


人気があるのも頷けますよ。


勝手な想像ですが、シェフは地元に根差した〔北海道イタリアン〕を目指しているのでしょう。



コロナ過が収まった暁には、必ず再訪致します。





食事に行きたくなったら🍾。