元英首相チャーチルは、日本の歴史を紹介した書物を通読して、一言、感想を述べた。
 ロマンティックだな。
 チャーチルの大戦回顧録もロマンティックな仕上がりなのでは?
 究極のドライ・マティーニは何かというと。
 ベルモットの瓶を横目で見ながらチャーチルが飲んだジン。
 学生の頃、酒場で先輩から聞いた逸話だ。
 想像の領域に入ったベルモットは、マイナスに働き、現実のジンをどれほどか、よりドライにしたのだろうか。チャーチルは、敵国イタリアを思いながら、飲んでいたのだから。
 私も壁の棚に置いてあるベルモットを睨みながらジンを飲んでみた。
残念ながらただのジンだった。



 今は昔。東工大の学園祭に、女の子を連れて行ってみた。東工大に入るのは私も初めてだった。山下洋輔のピアノに合わせて、あるいは、反して、ふんどし一丁の麿赤児が躍りながら、包丁で、舞台に敷き詰められた布団を切っていくのだが、あんまりうまくは切れない。ついに、包丁をタオルで巻いて、客席の背もたれの上辺を伝って講堂の奥へと走り去った。途中、ころんだ。坐っていた女子学生の胸に出刃包丁が突き刺さりそうになる。彼女は両手を挙げてのけぞり、絶叫した。連れが曰く、ほんとに刺さったと思っちゃった。
 山下洋輔のレコードを彼女に買ってあげた。その日以来会っていない。



 ある建築家との対話から。
私は提案した。固化前のプラスティックの巨大な風船を現場で膨らませたらどうかな。重力があるから涙型、デューになって固まるだろう。水に浮かばせるといいな。耐震性は確保されるし、湧き水や井戸や流水の上なら水温が一定なので室温も一定になる。
テキはフフンなどとあしらっていたが、頭の中では早速計算を始めていたと思う。



 大統領が変るごとに、完全にではないが、官僚も丸ごと変えてしまうアメリカの制度は、易姓革命の名の下に、かつての体制をリセットして新王朝を開始した支那のそれに、似ていないか? 今後中国に易姓革命が再び起こることを、期待しているのだが……




 食欲、性欲、生存欲、認められたい欲望。こういうドライヴなしの、慣性世界、仏教世界に私は生きたい。



 世の中にはあれやこれやいっぱい楽しいことがあるけれど、ひとつの例外を除いて、皆、早晩、飽きるね。
 例外は、勉強だ。勉強だけは飽きない。楽しさが延えん持続する。
 ドリアンの味がする。
 だが、矛盾することを申し上げる。
 勉強をやめた時、もっと楽しい。
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