私は三歳。愛する彼女は四歳。
手に手を取って、家の前を流れる小川に魚とりに。
上流は浅く、私がザリガニをバケツ一杯捕まえる遊び場だが、家の前は淵になっていて底は見えない。
蝶々を捕る白い捕虫網を彼女に見せた。これで魚をすくおう。彼女はうなずいた。斜面で、彼女が支えてくれていたが、ずり落ちて、ふたりとも水没。
苦しくはなかったが、見上げざるを得なかった。灰色の水の渦が時計回りに回転していた。
急激な力がかかった。抱え上げられていた。
あとで祖母に聞くと、たまたま庭に面した廊下で、籐椅子に坐っていた父が、ボウズが落ちた、と叫んで走ったそうだ。猛烈ダッシュで、一歩四メートル。さすが、元陸上選手。
農婦が濡れしょぼれた彼女を抱いて泣いていた。この子が死んだら父ちゃんになんと申し訳しよう!
誰にも言わなかった秘密をここに書く。
私は、彼女と一緒に、水に飛び込みたかったんだ。