小二の冬、クリスマスプレゼントとして父が買ってくれたオーゲージ、零番の鉄道模型にはまってしまった。


トランスで電圧を加減しながら(せいぜい24ボルトだが)、四畳半の部屋一杯に線路を敷き詰めて機関車を駆動する。


線路の切り替え、交差と、その上を走る機関車貨物車客車の勇姿に、もう、惚れ惚れとした。


私は、鉄条網の間を何とかすり抜け、国鉄の操作場に侵入した。


線路に沿って匍匐前進し、目当ての場所に、にじり寄っていく。


ところが、見つかってしまった。


おーい、そこのこども、なにしてるんだ。


私は近づいてきたおやじに正直に言った。


操作場を見たいです。


本当に見たいのか?


はい、本当に見たいです。


そのおやじは、俺についてこい、と言った。


私は、すばらしい光景を目にした。


四方八方に線路が発散している。


大重量の機関車が、どでかい皿の上で回転し、東へ北へと発車していく。


初動のとき、動輪が空回りし、巨体が震える。


警笛がピーポーあちらこちらから響き、


蒸気が音を立てて噴射され、


男たちが飛び乗り飛び降りる。


別世界だ。

 

おやじが、どうだ、とか言った。


私は感動のあまり声が出ない。