幼稚園に行く時間だった。

だが玄関で、背広姿の父が寝ていた。

回り込もうとしたが、面倒なので、跨いだ。

父の横顔に、かすかに微笑が浮かんでいた。

酒を飲むとはそんなに楽しいことなのか。

時々ビールを飲まされるが、あんな苦いものを飲んで、どうして微笑むことが出来るのだろう。

大人になるには、極めて高いハードルを越さねばならない。

私は暗澹たる気持ちで玄関を出た。