梅を二袋、漬物用の瓶を三つ、焼酎一リットルを買ってきて、梅酒を造ろうと思ったのが一昨日だ。

砂糖は入れなかった。

今飲んでいる。すっぱくておいしい。

小学三年のときのこと。母が流しの下で密かに何かを造っているのを察知した。

それを盗み飲みした。

ぶどう酒である。

こんなに美味しい飲み物が世の中にあったとは。

私は、歌を唄い、笑いながら、たらふく飲んだ。

なぜだか、明るい所に行きたくなってきた。

だが、立てなかった。

這って外へ出た。

表の通りの真ん中で大の字に仰向けになった。

初秋の午後、晴天はまぶしく輝き、空を縁取りする民家の屋根や塀と一緒に、雲たちが、ぐるぐるまわっていた。

私は大声で歌を唄い続けた。眉をひそめて通り過ぎる人に声をかけた。

近所の大人も子供も集まってきて私をとりかこみ、覗き込んだ。騒いでいる。

誰かが、親に連絡したらしい。

母が駆けつけた。

母はしからなかった。

扇風機の風を私に当てながら、むしろすまなそうにして傍に坐っていた。

今、梅酒を飲んでいて、気分は? 歌を唄いたくなるか? 笑いたくなるか? 

まさか。

いつやめるかが、心配だ。/font>