子供の頃は、前原から沢山のおばちゃんたちが、魚や野菜を持って福岡市内に売りに来たものだった。リヤカーで来るおばちゃんは、曳いて来て、曳いて帰る。篭につめて担いでくるおばちゃんたちは、筑肥線に乗って行き帰りする。篭の上辺に手ぬぐいか一反木綿が結わえてあって、それを額の上のほうに回して、担ぎ上げるのだ。顎を胸につけていないとひっくりかえる。荷をカロッテいないときでも、おばちゃんたちは俯いていた。
前原駅で降りて、駅前の通りを左に折れる。そこしか開いていなかった。てんぷらを頼んだ。竹で編んだ笊に山ほど来た。それがまあ海のものも陸のものもなんともおいしい。あのおばちゃんたちはこういう食材をガキの私に供給してくれていたのだな。ありがたいことだったのだ。