『処暑』
八月の夏が スタンドミラーの前
みながみな 寝静まるのを待って
秋の衣装を 胸に当てながら
オレにも似合うかなって まんざらでもない
頭から、つま先に至るまで
試着して その気になってみてる
秋は指くわえ 出る幕をうかがっていて
意外といいじゃない と、彼に任せる気だよ
ミルクティー色の ぬるま湯なシーズン
どことなく心 ソワソワしなくもない感じかな
僕がまぶた閉じれば 君は悪戯に駆け出した
どんなときにだって 隣にいてくれた
あの夏の一画(いっかく)
せみしぐれ 夕闇 流れ星
か細くなった 言霊のあれこれ
そんな夏野郎 涼しげな顔
さようならのない さようなら
さようならも 言わないままの
さようならだね
ミルクティー色の ぬるま湯なシーズン
どことなく心 ウルウルしなくもない感じかな
さようならも 言わないままの
さようなら
さようならも 言わないままの
さようならだね
#712＿(2020/08/26)