以前も過去記事で テフロン加工のフライパンは本当に安全なのか? という記事を書いたことがあるのですが、その後もあちこちの水から、PFASが検出されている というニュースを耳にするようになり、私は 本当に「日本の水の安全性神話」が崩れた というショックな気持ちで最近、ニュースを見るようになりました。
今回、PFASについて、さらにショッキングな事実をご紹介したいと思います。
まずはPFASとは何か? ということについてですが、PFAS(ペルフルオロアルキル物質)は、焦げ付き防止のフライパン加工、防水加工、泡消火剤、食品包装など、日常的に使われてきた化学物質群のことです。自然界で分解されにくいため「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれています。
(上のイラストの出典はこちら)
今、報告されているPFASの人体への健康リスク懸念についてですが、下のようなものがあります。
●発がん性(腎臓がん、精巣がん、乳がんなど)
→ Nature誌の研究(2024): https://www.nature.com/articles/s41370-024-00742-2?utm_source=chatgpt.com
→ 米国国立がん研究所の解説:https://dceg.cancer.gov/research/what-we-study/pfas?utm_source=chatgpt.com
●内分泌かく乱作用
Lancet誌の論文(2023):https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964%2823%2900397-3/fulltext?utm_source=chatgpt.com
●免疫機能の低下
→ 米国公衆衛生学会の報告: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7906952/?utm_source=chatgpt.com
そして、この安全性に懸念のあるPFASが 今、全国各地でかなり高い値で検出されているのです。
(上の記事:沖縄でPFASの値が高い地下水が見つかり取水が禁止された という2023年のニュース)
下は朝日新聞の報道で、2020~2023年には計14の水道事業体から、日本の設定した「暫定目標値」の50㎍/Lを超える値が出ていた ということです。2024年になったら、ゼロになっているので、改善されたかのように見えますが、そもそも この日本の設定している「暫定目標値」は 米国よりかなり緩い ということを念頭におかなければなりません。
日本の暫定基準値がいかに緩いか、下に米国、EUと比較した表を貼り付けておきます。
(表はAIによって基準を調べて作成したもの)
上の表だと、EUは100ng/Lで、日本の50ng/Lよりも緩く見えますが、実際は違います。日本はPFOS + PFOA のみしか規制が存在しないのに対し、EUの場合は20種類以上の化合物を規制し、飲料水だけでなく、PFASを含む製品の製造・販売自体を原則禁止しようという規制草案が出ていて、その方向へと進んでいるのです。
(下の表はAIによって基準を調べて作成したもの)
次に、PFASを水道水から取り除けるか? ということについてですが、ほぼ100%近く取り除けるのは逆浸透膜(RO)方式の浄水器で、一般家庭用のものも販売されているようですので、ご興味のある方は検索してみてください。
普通の活性炭方式の浄水器についてですが、逆浸透膜方式の浄水器ほどの効果はありません。しかし、メーカーによっては信頼のおける外部検査機関において試験をし、「80%以上を除去できることを確認済」と言っているところもいくつか存在します。(私の自宅でもそのような浄水器を使用しています。)100%ではないにしても、80%でも除去できるのでしたら、無いよりはつけたほうがはるかに良いでしょう。
そして最後に、このPFAS問題の一因となっている、テフロン加工のフライパンについての懸念も書いておきます。
くっつきにくいノンスティック加工の為にPFASの一種が使われているわけですが、問題は そのテフロン加工が耐熱性、摩擦耐久性がなく、よく剥がれることです。
高温にも弱く、250℃以上で分解を始めます。(だからテフロン加工のフライパンには「強火で使ってはいけない」と書いてある)
しかし、中華料理など、大火力で炒める料理等はフライパンや中華鍋の温度は最高で350℃近くにまで達する場合もあります。
そして、テフロンのフライパンを使用すると、調理中に「ナノ粒子」が飛散していることも確認されています。(これについては関連業種にかつて私は勤めていたので、学会での研究発表で、フライパンから煙のように立ち上るナノ粒子の写真を私は見たことがあります。)あれを見ると恐ろしくて、以後、テフロン加工のフライパンの使用を避けるようになりました。
TVでは料理研究家が出演する料理番組では 平気でテフロン加工のフライパンが使われていますが、テフロンのフライパンで調理している「プロの調理人」って、通常はいないのではないでしょうか?
プロが使っているのは ほとんどが鉄かステンレスなのであって、私たちのような料理人ではない者が一般家庭で、半年~1年使ったらコーティングが剥がれてくるようなものを フライパンを使用する頻度が一般人の何十倍もあるプロが使用すれば、10日位でコーティングが剥がれることになってしまいますが、そのようなコスパが悪いフライパンを まともなプロの調理人なら、使うはずがないでしょう。
しかし、鉄のフライパンは重いし、扱いづらい、ステンレスだとコツを掴むまでは 鉄以上にやたらと食材がくっつく というのがあります。その場合は テフロンよりも耐熱性が高い「ノンスティック」加工として、私個人的にはセラミック加工のフライパンをおすすめします。テフロンの耐熱温度が250℃ほどしかないのに対し、セラミック加工だと350℃の耐熱性があるからです。
しかし、傷や温度の急変化には弱いので、金属ヘラではなく、木ベラ等を使う必要があり、熱いフライパンにいきなり水をかけて冷ます というのもやめたほうがよいです。そして、使用する温度も低温~中温 という注意書きがあります。
「くっつく」という欠点だけに上手く対応しさえすれば(使う前の準備が大事)、やはり大火力でも使用できる鉄、またはステンレスが機能と安全面の両方で、最強と言える と思います。
鉄のフライパンの場合は鉄分が取れる というメリットもあります。
日本は「世界に珍しい、水道水を安全に飲める国」というのがあったと思いますが、このPFASの問題では 残念ながら、日本の水の安全神話が崩壊 と言ってほどの深刻な状態になっていると思います。