先日、南米のベネズエラでは大統領選挙が行われました。

 

開票作業が80%を超えて現職のニコラス・マドゥロ氏への得票率が51.2%だったのに対し、野党の対立候補、エドムンド・ゴンザレス・ウルティア氏への得票率は44.2%だったことから、現職のニコラス・マドゥロ氏が勝利宣言を行いました。

 

これに対し、エドムンド・ゴンザレス・ウルティア氏を支援する欧米が「ゴンザレス氏が真の勝者。マドゥロ氏の2倍の得票を得た」等とクレームをつけ、マドゥロ氏の勝利を認めない姿勢を見せています。

 

本日はこの件に関し、記事をご紹介します。下はロシアのメディアRTの記事です。

 

US recognizes Venezuelan election runner-up as winner

 

(和訳開始)

 

米国、ベネズエラの選挙で次点候補者を勝者として認定

現大統領ニコラス・マドゥロは抗議活動後の「クーデター」の試みを非難した

 

 

現職のニコラス・マドゥロ大統領が再選を果たした公式結果にもかかわらず、ワシントンは西側諸国が支援する野党指導者エドムンド・ゴンザレス・ウルティア氏をベネズエラ大統領選挙の勝者と認定した。

国家選挙管理委員会は月曜日、投票数の80%を集計した結果、マドゥロ氏が51.2%の票を獲得し、正式にマドゥロ氏を大統領と宣言したと発表した。次点のゴンザレス氏は44.2%の票を獲得した。

野党はゴンザレス氏がマドゥロ氏の2倍以上の支持を得たと主張し、選挙結果に異議を唱えた。米国政府は木曜日、同氏の「選挙戦の成功」を祝った。

「米国にとって、7月28日のベネズエラ大統領選挙でエドムンド・ゴンザレス・ウルティア氏が最多票を獲得したことは明らかだ」とアントニー・ブリンケン米国務長官は声明で述べた。

マドゥロ大統領はこれに対し、ワシントンは「ベネズエラに干渉すべきではない」と述べた。


選挙結果の発表後、ベネズエラでは抗議活動が勃発したが、マドゥロ大統領はこれを「ベネズエラに対するクーデター」の試みだと非難した。ウラジミール・パドリノ・ロペス国防相も、西側諸国が支援する野党が「メディアによるクーデター」を企てていると非難し、抗議活動を非難した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今週初め、マドゥロ大統領の再選を祝福した。クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフ氏は木曜日、ベネズエラの野党は敗北を認め、勝者を祝福すべきだと述べた。

ペスコフ氏は、ベネズエラにとって、第三国による不安定化の試みを避け、外部からの干渉を受けないことが重要だと付け加えた。

中国外務省もマドゥロ大統領に祝意を表し、さらなる協力を呼びかけた。マドゥロ大統領の勝利を認めた国は他にボリビア、キューバ、ホンジュラス、ニカラグアなどがある。

マドゥロ大統領は3期連続で6年間の任期を務めることになる。同大統領は2013年にウゴ・チャベス大統領の死去を受けて就任した。

カラカス(ベネズエラ政府)は15年以上にわたり米国の制裁を受けている。米国は2018年の選挙後、マドゥロ氏を大統領として承認せず、国会議長のフアン・グアイド氏を暫定指導者と宣言した。

ベネズエラ政府の資産はすべて米国内で凍結され、米国民や企業との取引は禁止されている。

 

(和訳終了)

 

米国が支援する候補が選挙で敗れると、大規模な抗議活動が勃発する というのが

「カラー革命」のお決まりのパターンです。

 

米国にとって気に入らない政策を取る政府を打倒するクーデター活動に米国は 多額の資金を投じていて、ウクライナでの2013年秋~2014年でのマイダン・クーデターには50憶ドルを使った と悪びれることもなく言っていたのがネオコンのビクトリア・ヌーランドです。

 

そして、米国はベネズエラでの前回2013年の選挙の際も ファン・グアイド氏を担いでグアイド氏が正当な大統領だと言い張りました。(”暫定大統領”とされ、日本やEUは米国に追従してグアイド氏を暫定大統領だと言っています。)

 

この時 グアイド氏を暫定大統領だと言ってマドゥロ氏を追い出そうとした米国はトランプ政権下だった ということを忘れてはならないと思います。

 

日本には「トランプ支持者」が多くて、トランプ氏が大統領になりさえすればアメリカは戦争をしなくなる と思っている方も多いように見受けられますが、そのトランプ氏が ベネズエラでマドゥロ大統領を引きずりおろし操り人形を大統領に据えるカラー革命をやろうとして失敗したのです。

 

アメリカは このように他国の政治に介入して、好ましからざる人物がリーダーとして選ばれないように資金を投入、抗議デモに人員を動員する 等の姿勢を改めるべきでしょう。

 

下のビデオでトランプ氏が本音を言っていますが、ベネズエラに介入したいのは

「石油が欲しいから」だと言っています。

 

 

 

 

以下、トランプ氏がベネズエラについて語っているスピーチの和訳

 

ベネズエラ、我々が石油をベネズエラから買うのはどうだろうか?
私がベネズエラを離れた時、ベネズエラは崩壊する準備ができていた。

私たちはそれ(石油)を盗っただろう。
もう石油は全部手に入るだろう。すぐ隣にあったんだから。

__________

 

そして、「暫定大統領」として持ち上げたファン・グアイド氏については マドゥロ氏へのクーデターが失敗したら、「用なし」になった とばかりに事実上放置されています。

2023年1月5日に暫定政府は解散され、グアイドも「暫定大統領」の地位を失いました。今回の大統領選挙にはファン・グアイド氏は出馬すらしていません。

 

そのファン・グアイド氏を「暫定大統領」として承認していた国は下の地図の青で塗られた国々です。

 

 

 

要するに、米国とその同盟国、属国がグアイド氏を暫定大統領として承認していただけです。

多くの国は現職のマドゥロ氏を承認、あるいは発言もしていないかのどちらかです。

 

そして、EUは米国に従ってグアイド氏を暫定大統領だと承認していたのですが、2022年2月以降、ロシアの特別軍事作戦開始以降に 経済制裁でロシアから石油を買いにくくなったことから、石油を買うために、一時はクーデターで打倒しようとしていたベネズエラのマドゥロ大統領に媚びを売るような動きにも出ています。

 

 

 

 

 

私は次のアメリカ大統領には トランプのほうがカマラ・ハリスよりはマシだとは思っていますが、トランプ氏もやはり軍産複合体やネオコンの影響力の下にある人物です。次の大統領がトランプであれ、カマラ・ハリスであれ、米国は他国の内政に干渉することを一切やめなければ、 米国民の為に思い切ってお金を使うことはないでしょう。

 

ボロボロの状態の鉄道や橋などのインフラ、誰も乗りたがらない危険な地下鉄、ホームレスや薬物中毒者が溢れる路上、あまりにも集団強盗が多いのでショッピングモールは閉鎖、毎日流れ込んでくる大量の不法移民、人身売買等、国内での問題が とても「先進国」とは言えないほど酷い状態なのに、それでも他国の政治に介入しようとするのをやめないのがアメリカです。