日本の石油の90%以上は中東のサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタール等から輸入されていますが、これらの石油決済では米ドルが使われています。

 

サウジアラビアが米国の当時ニクソン政権と合意したのが 石油の決済をドルで行う代わりに、米国がサウジアラビアを防衛するという「ペトロダラー」システムです。これは1971年、突然ドルが金と交換できなくなったことを発表した米ニクソン政権で、米ドルの金との裏付けがなくなった代わりに原油との裏付けのあるドルが世界の基軸通貨として覇権を握るきっかけになった大きな契約です。

 

1970年代にはOPEC(石油輸出国機構)が石油の禁輸と価格を3倍に吊り上げたことでオイルショックが2度発生し、その時のアメリカは シェールオイルで石油の輸出国となった今とは違い、70%の石油を輸入していたので、彼らは弱い立場にいることを認識して、石油の安全保証確保へと動いたのがサウジアラビアとの交渉でした。

ニクソン当時の米大統領は 国家安全担当保障補佐官、国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー氏とともにサウジアラビアで秘密の会議を行いました。

 

当時サウジアラビアは世界最大の石油生産国で、アメリカがサウジアラビアのサウード家がいつまでも権力を握っていられるようにと防衛力を提供する代わりに、世界中の国を相手にする石油の決済に対し、事実上米ドルのみを使用するという「ペトロダラー」システムが生まれたのです。

 

これは アメリカ本国以外で行われる決済の70%でドルが使われる という、ドルを世界中の国が買い支えてくれる という米ドル世界覇権を作った仕組みです。

 

しかし、このこの契約が本年6/9に終了し、サウジアラビアが契約を延長しないことを決断したことが大きなニュースになっています。

 

早速そのニュースをご紹介します。

 

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サウジアラビアのペトロダラー離脱:世界の金融のパラダイムシフト

 

 

 

(和訳開始)

 

サウジアラビアのペトロダラー離脱:世界の金融のパラダイムシフト

 

サウジアラビアが米国との50年間の石油ドル取引を更新しないと決定したことを受け、金融界は大きな混乱に備えている。この取引は2024年6月9日日曜日に期限を迎える。(注:結果、6/9時点で期限となり、更新はされませんでした)

 

1974年6月8日に米国とサウジアラビアが署名したが失効した安全保障協定は、経済協力とサウジアラビアの軍事ニーズに関する2つの合同委員会を設立し、両国間の協力がますます緊密化する時代の先駆けとなったと言われている。

 

当時のアメリカ当局者は、この合意がサウジアラビアの石油生産拡大を促すだろうと楽観的な見方を示していた。また、この合意がワシントンと他のアラブ諸国の経済協力を促進する青写真になるとも考えていた。

 

契約を更新しないという重要な決定により、サウジアラビアは石油やその他の商品を米ドルのみではなく、人民元、ユーロ、円、元など複数の通貨で販売できるようにななる。さらに、ビットコインなどのデジタル通貨の使用も検討される可能性がある。

 

この最新の展開は、米国が自国通貨を金から切り離した1972年に確立されたオイルダラー体制からの大きな転換を意味し、世界的な米ドル離れを加速させると予想される。

 

(和訳終了)

 

 

ここで、重要なのは サウジアラビアは1年以上前からそのようにアナウンスしていますが、 日本円も含めた「ドル以外の通貨」も受け取るつもり と言っていることです。

 

それなのに、日本政府、日本の企業は 未だにドルのみでの決済をやっている というのは 今円安、エネルギー高で苦しんでいる日本国民の庶民のことを何も考えておらず、ただ米ドルや米国債を米の下僕として買い支えることしか頭にない ということです。

 

したたかな中国は すでにサウジアラビアと人民元による石油決済を行っています。

 

今こそ日本が「脱ドル化」して、米の属国からも まずは経済的に脱していく絶好の機会なのに、それをみすみす見逃しているのか、私には全く理解ができません。