もう世界中の人が酷いダブルスタンダードに気づいて呆れかえったり怒りを感じていると思いますが、第二次世界大戦後、まるで「世界の警察」のようにふるまってきたアメリカは 世界中の気に入らない政府には経済制裁を乱発したり、政権を転覆させたり、時には軍事行動を起こして占領したりしてきたのに、イスラエル軍(IDF)よる軍事行動、パレスチナ人の虐殺だけは、経済制裁を行う「レッドライン」というのは 事実上あってないようなものになっています。

 

5/28、この世の地獄のような出来事がガザのラファで起こりました。

イスラエルが「安全地帯」だとして指定して多くの避難民が避難していた国連キャンプでイスラエル軍(IDF)の攻撃による大規模な火災が発生し、女性や子供も含めた避難民45名が殺される という事件が起きました。

 

この虐殺事件は イスラエルの言い分では「ハマスの戦闘員を追いかけてミサイルを撃ったらその”破片”が 難民キャンプ近くにあった燃料タンクに当たって損傷させ引火して大規模な火災になった」と言っていて、ネタニヤフ首相の言葉では「悲劇的なミス」で、今から原因を調査する・・・とのことですが、本当に「ミス」なのでしょうか? かなり疑わしいですね。

 

仮に ハマスの戦闘員が近くにいた というのが本当であったとしても イスラエルが「ここは安全」と指定して多くの避難民が逃げていた国連設営のテントが多数ある難民キャンプのすぐ近くて砲撃やミサイルを撃つこと自体が このような火災がすぐに起こってしまう というのは 誰でも分かりそうなものです。

 

IDFは以前から、「ハマスがいた」というのを理由に国連の難民キャンプを何度も攻撃しています。そして、ガザのような人口密集地で攻撃を行えば民間人が犠牲になることは分かっていても それをわざとやっているのです。

 

ネタニヤフ政権の極右ナショナリスト閣僚が色々と発言しているように、パレスチナ人は 「人間ではなくアニマル」とか、「アマレク人の種(子供)も全滅させろ」(注:「アマレク人」とは旧約聖書に出てくるパレスチナの遊牧民族で、モーセがエジプトから60万人のイスラエルの民を引き連れて神の約束の地に移動していた時、イスラエルの民を攻撃したのがアマレク人)という歌をIDF軍の兵士が歌ったり、ネタニヤフ首相が「アマレクを忘れるな」と言ったりしていて、そもそも、彼らシオニストたちは パレスチナ人に人権があるとみなして行動をしていません。

 

テントが密集している難民キャンプで大規模な火事が起こって、水も不足している中で消火活動もできなくて、逃げ場もなくて、生きたまま焼かれた女性や子供たちもいるのです。まさに地獄絵図のような状況だったと思いますが、それでもイスラエルに制裁をする「レッドライン」はまだ超えていない と言っているのが米国です。

 

この件で記事をご紹介します。

 

US Says Rafah Massacre Won’t Change Its Support for Israel

 

(和訳開始)

 

米国、ラファの虐殺ではそのイスラエルへの支援は変わらないと言う

ジョン・カービー氏は、イスラエルが爆撃したテントキャンプから引き出された焼け焦げた遺体について質問されたことにより、腹を立てたと述べた

バイデン政権は 火曜日、ラファのテントキャンプに対するイスラエルの爆撃で多くの女性や子供を含む45人のパレスチナ避難民が死亡したことで、米国のイスラエル支援に変化はないと明言した。

ホワイトハウスと国務省はともに、イスラエルの戦車が市内にさらに進撃する中、ラファでのイスラエルの作戦は米国が反対すると主張する「本格的な」攻撃ではないと主張し、国連はおよそ100万人のパレスチナ人がラファから脱出したと発表している。

「我々は依然として、ラファでの大規模な地上作戦が正当化されるとは考えていない。イスラエル軍が、いわゆる大規模な部隊を率いて広大な領土を占領してラファに突入するのを我々は依然として見たくない。我々は依然としてそう考えているし、現時点ではそのような事態は見ていない」とホワイトハウス国家安全保障会議報道官ジョン・カービー氏は述べた。「日曜の攻撃の結果、政策変更について話すつもりはない」

日曜夜の大虐殺の残虐な場面がインターネット上に公開され、世界中に怒りをもたらした。イスラエル軍の攻撃で発生した火災から、首のない子どもや黒焦げの死体が引き上げられる映像も含まれている。黒焦げの死体が何体あればバイデン大統領に政策を変えさせるのに十分かと問われると、カービー氏はその質問に腹を立てたと述べた。

 

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記者:これは大統領が示した「レッドライン」に違反しないのでしょうか?

カービー:私たちは大規模な作戦は見たくないし、まだ見たことがない。

記者:彼が政策変更を検討するまでに、あと何人の焼けた死体を見なければならないのでしょうか?

カービー:私はその質問に腹を立てています。

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「これ以上罪のない命が奪われるのを見たくない」とカービー氏は主張した。「この質問には少し腹を立てている」

イスラエルは、この攻撃で民間人を殺害する意図はなかったと主張し、これを「悲劇的な過ち」と呼んだが、イスラエル軍が過去7か月間にわたって民間人を虐殺し続けてきたため、イスラエルの発表には多くの懐疑的な見方が寄せられている。

 

イスラエルの新聞ハアレツ紙の分析記事で、アミラ・ハス氏は、イスラエルの発表は「ガザ地区へのイスラエルの攻撃のたびに殺されたり負傷したりした幼児の耐え難い数字や写真を7か月間隠してきた同じ[イスラエル]メディアの消費者」に対してのみ発せられる可能性があると述べた。

 

米国は、ヨルダン川西岸地区での活動に責任を持つハマス幹部2名が殺害されたという主張を含め、攻撃に関するイスラエルの主張を支持している。月曜日、ホワイトハウスはイスラエルにはラファのハマスを攻撃する「権利」があると述べたが、これはイスラエルは同市への攻撃を中止しなければならないとする国際司法裁判所の判決を直接否定するものである。

 

(和訳終了)

 

そして、もう1本、イスラエル政府とその諜報機関であるモサドの本質が分かる記事をご紹介します。先日国際刑事裁判所からイスラエルのネタニヤフ首相、ヨアブ・ガラント国防大臣、ハマスの幹部3名に国際刑事裁判所から逮捕状が発行されましたが、その件で、ICCの検事に対してモサド長官が「つきまとい」のストーカー行為を行い、脅しまでしていた というものです。

 

Mossad Chief Stalked, Threatened ICC Prosecutor Over War Crimes Probe: Report

 

(和訳開始)

 

モサド長官、戦争犯罪調査に関してICCの検事をストーカーして脅していた

 

ガーディアン紙と+972 magが共同で行った新たな衝撃的な調査により、モサドのトップが、イスラエルの戦争犯罪容疑に関する正式調査の開始に関連して、国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官を監視していたことが明らかになった。

当時のICC検察官ファトゥ・ベンソーダ氏は、イスラエル軍によるパレスチナ人に対する長年の人権侵害と戦争犯罪の疑惑を調査するため、2021年に正式な調査を開始した。合同調査により、当時のモサド長官ヨシ・コーエン氏が彼女を監視するために「ストーカー行為」に相当する戦術を使用していたことが判明した。 


 

ある時点でベンソーダ氏は直接脅迫されたと伝えられており、目撃者の証言によると、コーエン氏はベンソーダ氏に「我々を助け、我々に面倒を見させるべきだ。自分や家族の安全を危険にさらすようなことには関わりたくないはずだ」と語ったという。

これはガーディアン紙の 報道によると、イスラエル政府の国際的な評判と地位を守り、被害の抑制を監督するために最高レベルから命令されたスパイ作戦だったようだ。

ベンソーダ氏に対する作戦について説明を受けた別のイスラエルの情報筋は、モサドの目的は検察官を危うくすること、あるいはイスラエルの要求に協力する人物として彼女を引き入れることだと語った。

この作戦に詳しい3人目の情報筋は、コーエン氏がネタニヤフ氏の「非公式の使者」として活動していたと語った。

しかし、ベンソーダ氏の後継者であるカリム・カーン氏が、ベンソーダ氏が開始した捜査に基づき今月出されたイスラエル首相と国防長官に対する国際刑事裁判所の逮捕状を強行採決したため、脅迫と戦術は効果をあげなかった。

ガーディアン紙の 報道の中で特に非難されている部分によれば、

コーエン氏の活動について報告を受けたある人物は、コーエン氏はベンソーダ氏を脅迫し、影響を与えようとする試みの一環として「卑劣な戦術」を使ったが、結局は失敗に終わったと語った。彼らはコーエン氏の行為を「ストーカー行為」に例えた。

事情を直接知る2人の情報筋によると、モサドはベンソーダ氏の家族にも強い関心を寄せ、彼女の夫の秘密録音の記録を入手した。イスラエル当局はその後、その資料を使って検察官の信用を失墜させようとした。

 

 

これは、イスラエルの諜報機関がハーグに本部を置く国際刑事裁判所に対して影から仕掛けてきた、10年にわたる秘密の「戦争」と多くの人が呼んでいるものの一部である。

数年前、このことがICCの検察部門にある程度パラノイアを生んだ。イスラエルの諜報機関がICCに人材を派遣したり、秘密裏に意思決定に影響を与えたりするのではないかという懸念があった
。ガーディアン紙はさらに詳しく報じている。 

2人の情報筋によると、イスラエルが検察局として知られる裁判所の検察部門内で情報源を開拓したという疑惑がICCの高官の間でさえあったという。別の情報筋は後に、モサドは「署名を残していなかった」ものの、一部の職員が認識していた活動の背後にモサドがいると推測されていたと回想している。

しかし、モサド長官が検事総長に個人的に接触していたことは、ICCの少数の上級職員にしか知らされていなかった。

今月初め、ICCの現主任検察官カーン氏は「職員を妨害、脅迫、または不当に影響を与えようとするあらゆる試み」を非難する強い声明を発表した。

 

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まったく信じられない記事で、モサドのトップがICC検察官とその家族の身体的安全を個人的に脅かしていたことが明らかになった。「自分や家族の安全を危険にさらすようなことには関わりたくないはずだ」

 

ガーディアン紙と+972マガジンの最新報道を踏まえると、この最新の警告は、モサドのストーカー行為の過去の歴史に一部言及していると広く見られている。ネタニヤフ首相とギャラント氏に対する逮捕状が発表される前後数週間、ハーグの裁判所に対する政治的な圧力も強まっていた。

ジャーナリストで元グリーンベレーのジャック・マーフィー氏は、この暴露について、10月7日に至るまでの経緯について次のようにコメントした。 「さて、イスラエル諜報機関がハマスを監視する代わりに何に忙しくしていたかが分かった。」

 

(和訳終了)

 

 

私はこのような記事には今さら驚きませんし、イスラエル政府とモサドがやりそうなことだと思いました。

彼らが今までに国内外やってきた数々の非合法な殺人事件の数々を考えれば、彼らはテロ国家(イスラエル)とこの下で働くギャング(モサド)と言ってもよいでしょう。

 

しかし、アメリカの二重基準は 酷いものです。

米の敵対国や気に入らない政権がいる国には経済制裁や軍事介入の「レッドライン」が異常に低いのに、イスラエルに対してだけは ずいぶん我慢強く、寛大なのが米国ですね。

 

1967年には アメリカの艦船、SSリバティー号が 第三次中東戦争中、米を戦争に引きずり込みたいイスラエル軍の策略で、ミサイルや魚雷でわざと攻撃されて、米軍の乗員34名が死亡、173名が負傷した「リバティー号事件」が起こっていて、それは「事件」ではなく、誤認による「事故」ということで処理したのが米国です。

 

もしもイスラエル以外の国が同じことを米に対してやったならば、たとえ「誤認による事故」だと主張しても、すぐに軍事的に報復されているはずでしょう。

 

私が思うに、アメリカは「マネー第一、上位0.1%の金持ちの為の資本主義」の国なのであって、民衆の為の民主主義や自由の国ではありません。

 

アメリカの政治家にとっては ユダヤ系の金持ちが バイデン、トランプ、その他の多くの議員に対し、多額の政治資金を出してくれる人たちなのですから、イスラエルだけは「特別な国」なのであって、どんなにパレスチナ人を虐殺しようが、それは「ジェノサイド」ではないし、違法でもない と言い続けているのです。

 

しかし、アメリカが世界中で行ってきた過去の侵略戦争、世界中で罪のない1千万人を超える民間人の虐殺、テロ組織を育ててそれをばら撒いて今でも不安定な国がたくさんあることを考えれば、イスラエルだけ、虐殺でもジェノサイドでも、何をやっても許される というこの酷い「ダブルスタンダード」を正当化することは絶対にあってはならないと思います。

 

日本はもっとイスラエルに対して厳しい立場を取るべきです。

イスラエルの企業から防衛省がドローンを購入することを検討しているというニュースがありますが、イスラエルによるパレスチナ人へのジェノサイドを 金銭的に支援するようなことに繋がるので、私は絶対に反対です。