私が過去記事でも何度か書いてきたように、ゼレンスキー氏の大統領としての任期は5/20までで終了し、5/21からは本来、憲法の規定で3月に行われるはずだった大統領選挙での当選者が新しい大統領になるはずでした。

 

しかし、ゼレンスキー氏は「戒厳令」を理由に大統領選を延期しています。

ウクライナの憲法では 「戒厳令下での議会選挙は行わないことができる」という規定があるようですが、これはあくまで「議会選挙」に関するもので、大統領選については 記載がないようです。

 

仮に大統領の任期が「戒厳令」によって延期できるとしても これは大統領選挙をすでに済ませていて、その当選者が何らかの理由で5/21に就任ができなくなった場合を想定しているのです。

 

選挙を延期できるのは「議会選挙」であって本来「大統領選挙」を指しているのではない という理由は ひとりの独裁者や暴君が「戒厳令」を出し続けることによって、ずっと大統領の座に居続けることを許してしまうからであって、ゼレンスキー氏が「戒厳令」を理由に大統領選を行わないのは「戒厳令」のほうが憲法よりも上位に来る というふうに彼は解釈しているのでしょうが、 そうなると、「憲法」の意味が全くなくなるわけで、ウクライナメディアでさえも ゼレンスキー氏が5/21以降に大統領の座に居続けることの法的正当性に疑問を呈している状態です。↓

 

"После 20 мая Зеленский нелегитимный". О каком плане по дестабилизации в Украине заявил президент

(「5月20日以降、ゼレンスキー氏は違法となる。」大統領はウクライナを不安定化するどのような計画を発表しましたか?)

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

ゼレンスキー氏の大統領としての任期が本年5/20に終了したことについて、原口一博衆議院議員が外務省や防衛相に問い合わせをされたそうですが、日本政府の見解では「戒厳令下でウクライナで大統領選挙が行えなかったので、ゼレンスキー氏は正当な大統領である」と返答されたそうです。

 

しかし、あれだけ「自由と民主主義のために、権威主義的独裁体制のロシアと戦っている」と日本も含めた西側メディアでは宣伝していて、欧州で「自由と民主主義の砦」となって戦っているはずのウクライナで戒厳令を理由に大統領選が延期 ということ自体、おかしくないでしょうか。そしてそのような超法規的行為を 日本も含めて「民主主義こそが素晴らしい」と言っている西側各国が 黙認していて多額の資金援助をしながら、「選挙をやれ」という圧力すらかけていないのは不思議なものですね。

 

「いや、こんな戦争下で選挙なんてできるわけないでしょ」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、ロシアがミサイルやドローンで攻撃しているのは軍事施設や兵舎、兵器貯蔵に使われている場所のみですから、首都キエフや西部の都市リヴィウのバー等では 今でも下のように飲み歩いてナイトライフを楽しんでいる若者がたくさんいます。

 

 

(上の3枚の写真:首都キエフのナイトクラブで酒を飲み、踊る若いウクライナ人たち キエフのナイトクラブやバーは満員だとこのビデオで言っています。)

 

(上の写真:野外のカフェで飲み食いするキエフの若い男性たち)

 

このように、ナイトクラブで飲酒したり路上で飲み食いできるのですから、「大統領選挙の投票所を設置することが危険でできない」ということはなさそうですね。

 

そして上の写真には 兵士として動員される対象の若い男性もたくさんいますが、彼らは おそらく学生もしくは、あるいは特権階級の人の親戚あるいは企業のコネで兵役を免除されている勤労者たちなのでしょう。(ちなみに、ウクライナでは「企業が従業員の兵役の免除を申請することができる」となっていて、例えば米資本の企業や兵器産業の従業員等が動員を免除されているようです。)
 

首都のキエフのナイトクラブが満員でにぎわう中、ロシア系住民が元々多い東部や南部地域からは西部よりも重点的に多くの男性が動員されていますので、町からお年寄り以外の人影が消えてしまいました。

(多くの若い男性はすでに動員されてしまったか、動員が怖くて家から出られなくなっている)

 

ロシアでも大統領選挙が今年3月に行われ、実際、ロシア側に併合されたドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4州では本年3月のロシア大統領選の際、投票所付近が 選挙妨害の為にウクライナ軍から砲撃されるということも何度か起こっていますが、それでも多くの方が投票を済ませました。

だから、「戦争中だから投票が行えない」という言い訳はそもそも通用しないと思います。

 

私はアメリカは本当の自由や民主主義の国ではない、と思っていますが アメリカ政府が民主主義の国だと誇っていつも自画自賛している理由の1つが 南北戦争や第二次大戦時でも大統領選挙をやった ということであって、選挙を行わないで居座っている人を今でも大統領だと認めていること自体、おかしくないでしょうか。

 

あのネオコンのリンゼー・グラハム上院議員も「ウクライナは選挙を行うべき」と昨年夏には言っていたはずです。下はグラハム議員のオフィシャルサイトです。

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

このグラハム議員からの声明が出た昨年8/28に、ゼレンスキー大統領は「大統領選挙を予定通り2024年に行う」といったん表明していました。上はそれを受けてのグラハム議員の賞賛のコメントなのです。

 

すでに法的正当性に疑問符がついているのに、それを「戒厳令」の度重なる延長によってずっと大統領で居続けようとするゼレンスキー氏に対して、私のブログでは「大統領」という肩書はもう付けないことにします。

 

世界で「自由と民主主義を守る」ということをやたらと美化する西側陣営のマスコミも この問題について、口をつぐまないで是非発言してもらいたいものですね。