旧ソ連の構成国で1991年に独立したジョージア(グルジア)では NGO団体に対し、その資金源を明示される「外国代理人法」を成立させることを与党の「ジョージアの夢」党が目指しています。「ジョージアの夢」は議会で150の議員定数に対して75の議席を占める第一党であり、今年の2月から首相を務めているイラクリ・コバヒゼ氏に対して、米国やEUが 恐ろしい脅しや圧力をかけているようなので、今回そのニュースをご紹介します。

 

(上の写真:ジョージアの現首相、イラクリ・コバヒゼ氏)

 

ジョージアで与党が可決を目指している「外国代理人法」はNGO団体等で外国からの資金が20%以上入っているところには 全てその資金源を開示させる というものです。

 

これを「ロシア法」であって「自由と民主主義に反する」と非難しているのがEUと米国です。(ジョージアは将来的なEU加盟を目指しています。)

 

実は米国にも似たような法律でFARAというのがあり、ジョージアの与党はそのFARAと似たような制度を作りたい ということで、昨年も同じ時期に議会での法案成立を試みたのですが、欧米が資金注入しているNGO団体によると思われる大規模な暴動が発生して、法案成立をいったん断念しました。そのことは下の過去記事で触れています。

 

 

 

そして、すでに似たような法律、FARAを持っているのに、ジョージアを非難している米国ですが、FARAとは下のようなものです。

 

 

そして、ジョージアの与党、「ジョージアの夢」がこのような法律を成立させなければならないと危機感を感じている理由が NGOが乱立しているジョージアの異常な状況があります。

人口わずか370万人の小国であるジョージアの中で、なんとNGOの数が20,000を超えるほどあって、その90%が外国からの資金が入っているとのことです。

 

おそらくEUやアメリカを本拠地とする団体からの資金が大多数なのでしょうけど、中にはロシアからとかもあるかもしれませんが、どこから資金をもらったかには関係なく、とにかくジョージア国外から活動資金の20%以上を貰っていたら、公的登録簿に登録して、NGO にその資金源を開示することを義務付ける というものです。

 

これのどこが都合が悪いのか、デモに参加している人たちがEUの旗を持っていたりアメリカ国旗、ウクライナ国旗を持っていたりするので、明らかに 彼らの資金源はEUや米国なのでしょう。

 

(上の写真、ジョージアの首都トビリシでの3/8のデモの様子。ジョージア国旗だけでなくEUの旗、米国の星条旗、ウクライナ国旗を振る人たち)

 

そして、ジョージアには首相の上に大統領がいるのですが、この女性大統領は そもそもジョージア生まれでもなく、ジョージアからの移民2世として長い間フランスで育ちフランスで大学、アメリカで大学院を卒業して、ジョージア大使に任命されてからジョージア国籍を取ったので、グルジア語も上手くしゃべれないという方です。

 

(上の写真:ジョージアの現大統領、サロメ・ズラビシュヴィリ氏)

 

このサロメ・ズラビシュヴィリ氏が2018年10月に大統領になれたのは与党「ジョージアの夢」が応援したからなのですが、その後、「ジョージアの夢」が親露的であるとたびたび非難して、今は険悪な関係になっています。ですから、このズラビシュヴィリ氏は議会で多数決によって議会で法案が通った「外国代理人法」へ拒否権を発動させました。

 

しかし、大統領の拒否権発動は1回のみ となっていますので、もう一度議会に法案が戻された後は おそらくまた多数決で今後法案が可決されることになるでしょう。

 

そして、今 法案の可決を防ぐべく、イラクリ・コバヒゼ首相や与党「ジョージアの夢」への脅迫、圧力が高まっています。

 

米国は この法案は「ジョージアの民主主義、人権、または安全保障を弱体化または侵害する重大な責任がある」と言って、与党の「ジョージアの夢」党の議員やその家族に対しての制裁をすでにアナウンスしています。下はブリンケン国務長官のTweet。

 

 ↓

「ジョージアの夢」党が提案している「外国代理人法」に関連するものも含め、ジョージアで民主主義を壊す責任のある政策に対して、私は新しいビザの制限をアナウンスしています。

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

そして、EUからも 同様の制裁やビザなし渡航の停止を複数の加盟国が検討しているとのことですが、米とEUへ「ジョージアの夢」党への制裁を働きかけている団体の「フリーダム・ハウス」というところがまた、実に胡散臭い、というか正体がバレすぎていて笑ってしまいます。↓

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

 

戦争好きネオコンでウクライナでのマイダン・クーデターも支援していたの故ジョン・マケイン氏と、アフガニスタンとイラク戦争での戦争犯罪人と言ってよいジョージ・W・ブッシュ元大統領(ブッシュ息子)が作った研究所が この「ジョージアの夢」党を脅迫していて、その手先になっているのが米国政府やEU ということです。

 

実に分かりやすい構図が見えてきます。

 

 

そして最も恐ろしいのが、謎の脅迫電話がイラクリ・コバヒゼ首相のもとにかかってきた とのことです。

 

 ↓

木曜日のFacebookへの投稿で、匿名の委員が彼への最近の電話で、西側は彼に対し、もし彼の政府が外国NGOへの資金開示の要求を含む法律を推し進めた場合、「多数の措置」を取るだろうと警告した。

 

「これらの措置を列挙しなたら、彼は言及した:『フィツォ首相に何が起きたかを見て、あなたはとても注意する必要がある』」と彼は書いた。

 

なんと、暗殺までされかかったスロバキアのフィツォ首相の例を挙げて、コバヒゼ首相へ「匿名の”委員”」が電話をかけてきて 脅したそうです。

 

もう暴力団も真っ青のやり方ですね。

 

そして、ジョージア首相を脅したその「匿名の委員」が誰かということも明らかになっています。(自ら電話をかけたことを認めている)

 

下の写真の方です。EUの委員のオリバー・ヴァーリィ氏。

 

(上の写真2枚:EU委員会のHPから取ったオリバー・ヴァーリィ氏の写真と彼の担当の仕事<日本語に変換したもの>)

 

ヴァーリィ氏は電話をかけたことは認めた上で、下のように言い訳しています。

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

スロバキアのフィツォ首相の暗殺未遂事件にまで言及して、ジョージアの首相を法案を可決しないようにと脅すとは EUはいったい何様でしょうか?

 

EUの各加盟国や、まだ加盟していなくて列に並んでいるだけの状態の政府にまで命令して、その国の国会が正当な手続きで定めようとしている法律を通すな、もし通すとひどい目に遭うぞ と脅迫しているのです。

本当にヤクザも暴力団も真っ青 というか、EU国民からの選挙で選ばれたわけでもないEUの幹部は”グローバリスト版のマフィア”だと言ってよいと思います。

 

脅迫されたイラクリ・コバヒゼ首相は親露ではありませんが、毅然とした態度を取ってきました。ロシアへの経済制裁はジョージア経済に大打撃になるのでやらない とはっきり言っていますし、「ジョージアを次のウクライナにはさせない」ともはっきり言っています。

 

ジョージアで昨年から起きているNGOに動員された人々によると思われる大規模な反政府抗議活動、これが2013年秋~2014年のウクライナでのマイダン・クーデターにそっくりだから、ジョージアに「第2戦線」を開くことはしない と今の与党の「ジョージアの夢」は言っているのです。

 

外国代理人法は NGOを装った海外勢力が国民や政治家を買収しているのと同じですから、このようなことを許さないために、ロシアが作った法律や米国のFARA法に似たものは絶対に必要だと思います。(ロシアの場合は一定以上の比率で外国資本が入っている団体はロシア国内での活動を禁止されるというもう一段階強いものになっています。)

 

アメリカやEUが言っている「自由と民主主義」というのが 如何に自分たちに都合の良いものへと捻じ曲げられているかがよく分かりますので、このジョージアの事例は 本当に呆れます。

 

非常におかしいのは 民主主義の基本である「議会制民主主義」とそれによる「多数決」で法案が通っても それが米やEUにとって都合が悪ければ「自由・民主主義に反する」とか、与党に反対する親EUの女性大統領によって「ロシアの夢法案」とまで言われて非難されてしまうのです。

 

このように、自分たちの気に入らない法案を作る国に対しては 次々に経済制裁をするぞ・・・と脅すやり方は 長い目で見れば、彼らの没落を促すことにつながると思います。

 

気に入らない政府を脅迫する、言うことを聞かなければ「カラー革命」で打倒する というようなことを世界で続けていけば、ますます米国やEU、G7等への信頼はなくなり、内政に基本干渉することがない、いわゆる「グローバルサウス」と連携するほうに魅力を感じる新興国が増えていくだけだと思います。