最近まで私は知らなかったことで、びっくりしたのですが、タクシーの運転手になるのに必要な「二種免許」とバスの運転手になるのに必要な「大型二種免許」についてですが、すでに外国語での学科試験受験が可能になっているようです。

下の朝日新聞の記事は昨年12/24付のものです。

 

タクシーやバスの運転手、外国語試験OK 警察庁が20言語の問題例

 

(以下、記事の転載開始)

 

タクシーやバスなど客を運ぶ車の運転に必要な「2種免許」について、警察庁は外国語での試験を可能にすることを決めた。これまでは日本語でしか受験できずに外国人は合格が難しく、運転手不足に悩む業界団体から多言語化の要望が出ていた。警察庁は近く、各都道府県警に20言語に翻訳した問題例を配布する。

 警察庁によると、運転免許試験は各都道府県警が問題を作成している。車の運転に必要な「1種免許」の学科試験は現在、20言語に対応する。2009年に警察庁が英語の例題を作って各警察に配布し、言語が徐々に追加されて昨年にウクライナ語も加わった。

 一方で、2種免許の試験問題は日本語でしか受けることができない。試験では、1種免許でも出題される速度などの交通ルールに加え、客の安全確保といった旅客自動車の運転に関する問題も出される。

2種免許、外国籍の人は1%未満
 運転技能などに問題のない外国人でも、日本語での問題文の読解に苦労し、不合格となる人もいる。普通2種と大型2種の免許を持つ人は昨年末時点で全国に88万536人いるが、うち外国籍の人は5189人で、1%にも満たない。

 警察庁は2種免許でも、1種免許と同じ20言語に翻訳した問題例を作成し、今年度内に各都道府県警へ配布する。20言語には英語、中国語のほか、アジアを中心に各地の言葉が含まれる。各警察は、管内の外国人の居住状況に合わせて外国語の問題を作る。

 また警察庁は、2種免許取得に必要な教習期間を短縮するため、1日あたりの技能教習の上限時間を増やす方向で検討している。今後、上限時間の増加にともなう疲労度の変化などを調査し、来年度からの導入を目指すという。

 国土交通省は、外国人労働者の受け入れを認める在留資格「特定技能」の対象に、「自動車運送業」を加える方向で検討している。

 一方で、タクシーなどの外国人運転手について、日本の地理の把握や、客とのコミュニケーションの面で課題を指摘する声はある。(板倉大地)

【2種免許の試験で対応が可能になる言語】

英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、インドネシア語、ネパール語、クメール語、ミャンマー語、モンゴル語、スペイン語、ペルシャ語、韓国語、ロシア語、アラビア語、ウルドゥー語、シンハラ語、ヒンディー語、ウクライナ語
 

(記事転載終了)

 

 

私は そもそも二種免許どころか、通常の一種免許ですら、今、すでに20か国語もの外国語に対応している という事実を知らなかったのでびっくりしたのですけど、これは 日本人からすれば 日本語が全く理解できない、標識に書いてある日本語の漢字等を瞬時に読める日本語能力のない外国人の方が日本で自動車を運転する ということ自体、恐ろしいことではないでしょうか。

 

もちろん、そのような外国人の方が運転する車と万が一、衝突した場合、外国人ですから、多くの日本人ドライバーがそう思っているような、車を運転する以上、”任意保険”に入っておくべきだ という意識すらもそもそも無いかもしれませんし、強制保険である自賠責保険の場合は死亡の場合の最高額でも1人につき3,000万円であって、

額が少ないので、死亡や後遺障害を負った方の職業や年齢によっては事実上「泣き寝入り」状態になってしまいます。(自身がさらにお金を払って「無保険車特約」を付けて、死亡や後遺障害の場合の補償額を増やすしかないですし、それでも自分の車に対しての損害は補償されないので自分で修理費等を出すことになります。)

 

また、日本語が通じない相手と事故の際に交渉する というのは かなりの心的ストレスになりますし、20か国語で学科試験が受けられるようになった というのは 他の多くのドライバーである日本人にとっては そのような外国人相手の事故を想定した場合には 不安しかない状況でしょう。

 

ましてや、乗客を乗せて運ぶタクシーやバスの運転手が 日本語が通じない外国人が

なれる というのは非常に問題があるのではないでしょうか。

やはり「二種免許」というのは 取得するのも難しく運転技術も秀でており地元の道路も知り尽くした方がされている というイメージを私の世代(50歳代)以上では持っている方が多いかと思いますが、今はそんなに要件が緩和されてしまった とは驚きです。

 

そして、昨年に上の記事のような通知が出たのと、時期をほぼ同じくして、運送業で働くドライバー等の「時間外労働規制」が厳しくなりました。

それで、各運送会社はドライバーの再配達の負担を減らすべく「置き配」も取り入れる というようなニュースが出ていますが、そのように運送各社が対応できないほどの時間外労働規制がなされるのならば、今後は 外国人の宅配ドライバーも増えていくのでしょう。外国人を差別するわけではないですが、これもサービスを利用する側からすれば、はっきり言って不安しかないでしょう。

 

日本は 欧米が明らかに失敗してきた大量の移民受け入れを 二周遅れくらいで後追いしようとしています。

 

最後に、ロシアのメディアRTから興味深いニュースがありましたので、ご紹介したいと思います。

ロシアは ここ数年は特に労働力不足から、旧ソ連圏の国々からの移民を寛容に受け入れてきたのですが、3/22に起こったクロッカス市庁舎ホールでの大規模テロ事件の容疑者が いずれも旧ソ連圏の中央アジアの最貧国、タジキスタン出身だったことから、特にタジキスタン出身労働者や他の中央アジア出身労働者への締め付けが厳しくなり、不法移民が大量摘発されて追い出される ということが 最近起こっています。

 

中央アジアからの移民の多くは 工場や建設現場で働く労働者としてロシアにいるのですが、彼等への取り締まりを厳しくして移民の一部を追い出す等した結果、起こっていることが いわゆる、ブルーカラーワーカーの賃金の急上昇です。

 

そして、一部の分野では ブルーカラーワーカーの賃金が高学歴エンジニアなどの賃金を追い越し、たとえば金属加工を行う職人の給与は かなり高騰して、日本円換算で月給67万円相当にまでなっている事例もある ということです。

 

これは 日本の金属加工の職人さんたちの多くは 経営者ではない限り、そこまでは貰っていないと思います。ネットで調べてみたら、金属加工の仕事の平均年収が490万円 とありました。これを12で割ると408,300円位ですので、金属加工の職人の方でしたら、今は日本で働くよりもロシアで働くほうが高賃金という状態になっているようです。

 

ブルーカラーワーカーの賃金の上昇は 移民を制限することで起こる良い側面の1つであって、実質賃金が30年間横ばいか、下降している日本にとっては その方向に持って行かなければいけない と思います。

 

しかし、賃金の急激な上昇は製品価格、サービス価格の急激な上昇にもつながるかと思いますので、賃金が30年間抑制されてきた日本の場合、それで多くの国民の生活が楽になるわけではないと思います。移民の一気大量追放はさすがにできないでしょうから、毎年ある程度は抑制していって、企業間の労働力獲得競争によって全労働者の賃金を上昇させていく方向に持って行くほうがよいと思います。

 

そして、労働者不足により賃金を上げられない会社は”自然淘汰”されていくでしょうけれども、今の日本は過剰サービス、過当競争となっているところがあるので、そもそも移民に大幅に依存しないとやっていけない企業ならば、潰れても仕方がない というふうに思うしかないかもしれません。特に外国人労働者への依存度の高い飲食店もコンビニの数も大都市になれば、やたらと多いですが、そんなにそもそも必要ですか?とも言いたくなります。

 

では、最後に 今ロシアで起きている労働力不足と移民抑制による賃金上昇のニュースをご紹介します。ロシアのメディアRTで4/23に報じられている記事です。

 

Migrant outflow triggers salary boom for Russians – experts

 

(和訳開始)

 

移民流出がロシア人の給与ブームを引き起こす – 専門家
賃金が高騰しているにもかかわらず、雇用主は依然として大幅な人員不足を報告している

労働専門家らが月曜日に報告したところによると、政府の厳格化政策による移民流出により、ロシア人の給与は顕著に増加している。しかし、この傾向は雇用市場における人材不足にもつながっています。 

ロシアの労働市場の将来について特化した国家ニュースサービス(NSN)主催の記者会見でアナリストらは、この国は「賃金革命」を経験していると述べた。  

わずか1年前には7万〜8万ルーブル(750〜850ドル)の月給を受け取っていた専門家は、現在では15万〜30万ルーブル(1600〜3200ドル)を稼ぎ、ボーナスも受け取っているという。   

IMF の購買力平価比較によれば、これらの給与は米国の同等の給与の 3 倍近くの購買力を持っている。これは、国際金融機関がロシア ルーブルの実質価値を 1 ドルあたり 33 ルーブルと信じているためですが、ロシア ルーブルは現在 1 ドルに対して 93 ルーブルで取引されています。

同時に、労働市場アナリストらは、過去 1 年間で求人数が 44% 増加した一方、応募数は 11% の増加にとどまったと報告しています。   

伝えられるところによると、企業経営者らは、雇用市場での競争が減ったため「働くことに同意するほぼ誰でも」雇用していることを認めたという。パネリストらは、一部の企業は現在、退職した元従業員を復帰させていると主張した。

国家院議員のギャリー・ムラディアン氏は、移民の雇用枠が減少しており、政府が「ネジを締めている」と説明した。その結果生じる人材不足により、企業は「有能な従業員の獲得と給与のつり上げを争っている」とムラディアン氏は語った。同氏は、サマラ市のある企業が通常13万ルーブル(1400ドル)の金属加工職に40万ルーブル(4280ドル)を提示している例を挙げた。 

ムラディアン氏によると、給与の高騰は悪影響を及ぼしているという。有名大学の卒業生は、エンジニアの給与が11万~13万ルーブル(1170~1400ドル)であるのに比べ、20万ルーブル(2100ドル)以上を稼げる配送ドライバーなど、専門性の低い仕事に就いていると伝えられている。 

「これほどの支払いの差は恐ろしいですね。サービスを開発する必要があるのは明らかですが、資格のある専門家の給与を上げることも同様に重要です」と国家院労働委員会の委員であるスベトラーナ・ベッサラブ氏は述べた。 

専門家らは、深刻な人員不足が近いうちに医療制度や教育制度にも及ぶ可能性が高いと予測した。特に、最終的に移民が雇用市場に戻ってきたとしても、ロシアの労働者が給与引き下げに同意する可能性は低いため、こうした新たな状況に合わせて経済をどのように再構築するかは現時点では不透明だと付け加えた。

 

(和訳終了)

 

上の記事にある通り、今は戦争関連の兵器や砲弾を作ることにも関わっていると思われる「金属加工」の職人に4,280ドル相当(日本円で67万円相当)の月給を提示する等、ロシアで給与が高騰していることが分かります。

 

しかし、配送ドライバーの給与が一流大卒のエンジニアの給与よりも高くなってしまって、本来、その知識を専門分野で生かすべき、有能なエンジニアが 配送ドライバーの仕事をしている というのも それはそれで悪い影響が社会に出ると思うので、その辺のところをどう調整していくのか、また、今現在「戦時経済」となってEUや米国よりもむしろ好調となっているロシアが 今のウクライナでの戦争が終わった時、どう戦時経済から平時の経済に上手く移行していけるのか、その辺も注目して見ていきたいと思います。

 

プーチン大統領は独裁者だ とよく西側からは非難されていますが、ロシアは 世界一の広大な国土で多民族、多宗教の人たちが共存する国家です。あの広大な多民族国家をまとめるために「強力な指導者」というのは絶対に必要だと私は思います。

 

また、ロシアは 過去にどの国も味わったことがないほど最多の経済制裁をかけられているわけですが、それでも 西側の「反ロシア連合」をあざ笑うかのように経済を成長させているプーチン大統領は 本当に大した指導者だと思います。

国際政治アナリストの伊藤貫氏がプーチン大統領のことを「200年にひとりのリーダー」だとおっしゃっているようですが、彼の行った実績を見れば、その通りかもしれません。