先日行われたイランからイスラエルへの「報復攻撃」でイスラエル側は「イランが撃ち上げたドローンとミサイルのうち、99%は迎撃された」と言っています。

 

イランが撃ちあげたドローン+ミサイルの数は合計300数十発と言われているので、「99%迎撃」が本当ならば、迎撃し損ねて着弾したのは3~4発程度でなければなりません。

 

しかし、「少なくとも9発」のミサイルがイスラエルの基地内や諜報機関モサドの拠点を直撃していて、それを米の高官が発言し、英のメディアが報じているようです。

 

イスラエル軍を助けるために 米軍、英軍、仏軍、ヨルダン軍が一緒にイランのドローンを撃ち落していて、イスラエル軍発表の「99%迎撃」を否定するように、「少なくとも9発のミサイルは着弾していた」と、米軍の高官が言うのならば、それは事実でしょう。

 

早速記事をご紹介します。イランのメディアPars Todayが日本語の記事で報じているものです。

 

米高官「少なくとも9発のイラン・ミサイルがイスラエル基地を直撃」 英紙報じる

 

(記事転載開始)

 

英紙デイリー・テレグラフのウェブ版「ザ・テレグラフ」は15日付の記事で、匿名の米政府高官の話として、14日未明のイランによる対イスラエル攻撃で「少なくとも9発の弾道ミサイルがイスラエルの基地を直撃した」と報じました。

記事によると、この高官は、イランが発射した弾道ミサイルのうち少なくとも5発が迎撃されず、イスラエル占領地南部のネゲブ砂漠にあるネバティム空軍基地を直撃したと話しました。これにより、C130輸送機1機や滑走路、空の格納庫が破壊されたということです。

このほかにも4発のミサイルが、ネゲブ砂漠にある別の基地を直撃し、大きな被害を与えたとしています。

イスラエル政府や米政府は14日のイランによる攻撃後、イランが発射した無人機やミサイルなどを「99%迎撃した」とし、被害程度も軽微と発表していましたが、今回の米政府高官の話はそうした公式発表とは相反する内容となっています。

(記事転載終了)

 

そして、元国連大量破壊兵器査察官で今は軍事評論家をされているスコット・リッター氏のブログが面白いことを書かれていますので、今回ご紹介したいと思います。

4/14付のブログ記事です。

 

The Missiles of April

 

(和訳開始)

 

4月のミサイル

 

イランによるイスラエルへの報復攻撃は、今世紀最大の勝利の一つとして歴史に残るだろう。

私は20年以上イランについて書き続けています。 2005年、私はイランに関する「真実」を確かめるためにイランを訪れ、その真実を著書『ターゲット・イラン』に組み込み、神権的政府であるイランを打倒するための軍事攻撃を正当化するための米国とイスラエルの協力関係を説明した。私はこの本に続いて、2018 年に別の本『ディールブレイカー』を出版し、この米国とイスラエルの取り組みを最新のものにしました。

2006年11月に遡り、コロンビア大学国際関係学部への演説で、私は、当然のことながら、米国は私の「良き友人」イスラエルを見捨てることは決してないだろうと強調した。何がそのような行動を引き起こすのでしょうか?と私は尋ねました。

私は、イスラエルは傲慢と権力に酔いしれた国家であり、イスラエルが深淵に向かって航行しているバスの点火装置からキーを取り外す方法を米国が見つけられない限り、我々はイスラエルのレミングのような自殺行為の旅に加担しないだろうと指摘した。

翌年の2007年、アメリカユダヤ人委員会での演説の中で、私はイスラエルに対する私の批判(聴衆の多くが強い憤りを感じた)はイスラエルの将来に対する懸念から来ていると指摘した。私は、(イラクでの)デザート・ストームでの勤務中、対スカッド・ミサイル作戦で役割を果たした間、そして国連兵器査察官として、10年間の大部分をイラクのミサイルからイスラエルを守ることに費やしてきたという現実を強調した。そこで私はイスラエル諜報機関と協力してイラクのスカッドミサイルを確実に排除しました。

私が最も見たくないのは、イランのミサイルがイスラエルの国土に着弾するというシナリオです。しかし、イスラエルが方針を変えない限り、これは常識よりも傲慢によって動かされた政策の避けられない結果だ。

2024年4月13日から14日の夜、私の懸念は世界中の聴衆の前で生中継されました。イランのミサイルがイスラエルに雨のように降り注ぎ、イスラエルはそれを止めるために何もできませんでした。 33 年余り前に、イラクのスカッド ミサイルが米国とイスラエルのパトリオット ミサイル防衛を突破して 1 か月半の間に数十回イスラエルを攻撃したときと同様、イランのミサイルは攻撃計画に組み込まれ、イスラエルのミサイル防衛システムを圧倒するように設計されており、イスラエル国内の指定された目標を何の処罰も受けずに攻撃した。

いわゆる「アイアン・ドーム」システム、米国製パトリオット・ミサイル砲台、アローおよびデイビッド・スリング・ミサイル迎撃機、さらに米国、英国、イスラエルの航空機で構成される大規模な統合対ミサイル防衛システムを採用していたにもかかわらず、米国とフランスの艦載ミサイル防衛は、十数発を優に超えるイランのミサイルが、厳重に防御されたイスラエルの飛行場と防空施設を攻撃した

イスラエルに対するイランのミサイル攻撃は、いわば突然に始まったわけではなく、むしろ4月1日にイスラエルがシリアのダマスカスにあるイラン総領事館を攻撃し、数人のイラン軍高官が殺害されたことへの報復だった。イスラエルは過去にもシリア国内のイラン人に対する攻撃を行ってきたが、4月1日の攻撃は、イランの上級要員を殺害しただけでなく、法的に言えばイランの主権領域であるイラン総領事館を攻撃した点が異なっていた。

イランの観点から見ると、総領事館への攻撃は、報復しなければあらゆる抑止力の概念を消し去り、イランへの直接攻撃を含むさらに厚かましいイスラエルの軍事行動への扉を開く一線であった。しかし、報復との兼ね合いは、複雑に絡み合った政策目標であり、おそらくは、イスラエルに対するイランの意味ある報復攻撃によって引き起こされる可能性のある、イスラエルとイランの間の大規模な紛争がその動機となっているだろう。

何よりもまず、イランはヨーロッパと米国から離れ、ロシア、中国、ユーラシア大陸へと軸足を移すことを前提とした戦略的政策に取り組んできた。この変化は、米国主導の経済制裁政策に対するイランの不満と、西側諸国全体がこれらの制裁を解除するための道筋を見つけることができない、あるいはその気がないことによって引き起こされている。イラン核合意(包括的共同行動計画、JCPOA)が署名時に約束されたような経済的機会を生み出すことができなかったことが、イランの東方向への方向転換の主な推進要因となっている。その代わりに、イランは上海協力機構(SCO)とBRICSフォーラムの両方に参加し、イランが両方のグループに徹底的かつ生産的に統合されるよう外交エネルギーを注いでいる。

イスラエルとの全面戦争が起これば、こうした取り組みは大混乱に陥るだろう。

第二に、イランの全体的な地政学的方程式において同様に重要ですが、ガザで進行中の紛争です。これは状況を一変させる出来事であり、イスラエルはハマスとイラン主導の抵抗枢軸を含む地域同盟国の手によって戦略的敗北に直面している。史上初めて、パレスチナ国家樹立の問題が世界中の聴衆によって取り上げられました。この大義は、パレスチナ国家のいかなる概念にも激しく反対する政治連合から形成されたベンヤミン・ネタニヤフ首相のイスラエル政府が、ハマスの攻撃から生じた影響の直接の結果として崩壊の危機に瀕しているという事実によってさらに促進される。 

 

2023年10月7日のテロ事件とその後のイスラエルの軍事的または政治的敗北の失敗。イスラエルも同様に、レバノンとの北国境沿いでイスラエルを牽制してきたヒズボラや、イスラエルを直接攻撃してきた親イランイラク民兵組織やイエメンのフーシ派などの非国家主体の行動によって妨げられている。フーシ派が間接的に重要な海上通信路を遮断し、結果としてイスラエル経済を窒息させた例だ。

しかし、ガザの民間人に対する報復として大量虐殺政策を実行し、自国に最も大きな損害を与えたのはイスラエルだ。ガザにおけるイスラエルの行動は、私が2006年から2007年に警告した非常に傲慢で権力主導の政策の生きた現れである。それから私は、アメリカは、イランとの勝ち目のない戦争の崖から私たちを連れて行ってくれるイスラエルが運転する政策バスの乗客になる気はないと言いました。

ガザ地区のパレスチナ民間人に対する犯罪行為により、イスラエルは世界の大部分の支持を失い、世界がガザから移行しつつある今、すでに傷ついた自国の評判が取り返しのつかないほど損なわれることになるのを 米国は目にする立場に置かれている。

アメリカ主導の特異点からBRICS主導の多極化の時代へ、アメリカはいわゆる「グローバル・サウス」で可能な限り大きな影響力を維持する必要がある。

米国はネタニヤフ首相のバス自殺の際の点火装置から鍵を取り出そうとしたが失敗した。ハマスとガザに対する政策変更に関してイスラエル政府が極端に消極的であることに直面して、ジョー・バイデン大統領政権はネタニヤフ首相の政策から距離を置き始めており、米国の懸念を考慮してガザでの行動を変更することを拒否したことに対して、結果が生じる可能性があることをイスラエルに警告している。

イスラエルに対するイランの報復は、これらの非常に複雑な政策の海域を乗り越える必要があり、これによりイランは、地政学的な東への軸足や、イランの高度化に関する政策目標を確実に守りながら、世界舞台におけるパレスチナ国家の大義は脇道に逸れたわけではないが、将来のイスラエルの攻撃を防ぐことを目的とした実行可能な抑止態勢を敷くことができるようになる。

イランによるイスラエル攻撃は、こうした困難な政策の難題をうまく乗り越えたようだ。それは何よりもまず、米国を戦闘から遠ざけることであった。はい、米国はイスラエルの防衛に参加し、多数のイランの無人機やミサイルの撃墜を支援しました。この交戦はイランにとって利益となるものであった。なぜなら、最終的にイランのミサイルが指定目標に到達するのを阻止できるミサイル防衛能力の組み合わせが存在しないという事実を強化しただけだからである。

イランが攻撃した標的――4月1日のイラン総領事館攻撃で使用された航空機が発進したネゲブ砂漠の2つの空軍基地と、いくつかのイスラエルの防空拠点――は、イランが確立しようとしていた抑止政策の範囲と規模の要点と直接関連していた。第一に、イランの行動は国連憲章第51条に基づいて正当化されたということ、つまりイスラエルによるイラン攻撃に直接関係するイスラエル国内の標的に対してイランが報復したということ、そして第二に、イスラエルの防空拠点はイランの攻撃に対して脆弱であるということである。これら 2 つの要因が組み合わさった影響により、イスラエル全土がいつでもイランの攻撃を受ける可能性があり、そのような攻撃を阻止するためにイスラエルまたはその同盟国ができることは何もなかったということになります。

このメッセージはテルアビブの権力の殿堂だけでなく、ワシントンDCでも反響を呼んだ。そこで米国の政策立案者らは、もし米国がイスラエルと協力してイスラエルの軍事行動に参加したり促進したりするかどうか、という不快な真実に直面した。報復すれば、中東全域の米軍施設がイランの攻撃にさらされることになり、米国はそれを阻止することができないだろう。

これが、イランが米国を紛争から遠ざけることに非常に重点を置いた理由であり、バイデン政権が米国がイランに対するイスラエルのいかなる報復攻撃にも参加しないことをイランとイスラエルの双方に理解させることに非常に熱心だった理由である。

「4月のミサイル」は中東の地政学における大きな変化の瞬間、つまりイスラエルと米国の両国に影響を与えるイラン抑止力の確立を象徴している。(イスラエルの)テルアビブでは、特にイスラエル政府のより急進的な保守派の間で感情が高揚しており、イランに対するイスラエルの報復の脅威を完全に無視することはできないが、この事実がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の長期にわたる根本的な政策目標である。米国をイランとの戦争に引きずり込むという過去30年以上の政策は、イランによってチェックメイトにされた。

さらに、イランは東への戦略的軸を妨げたり、パレスチナ国家の大義を損なったりすることなく、これを達成することができた。イランがイスラエルへの報復攻撃と名付けた「本当の約束作戦」は、戦争が他の手段による政治の延長に過ぎないことを念頭に置き、現代イランの歴史の中で最も重要な軍事的勝利の一つとして歴史に残るだろう。イランが主要な政策目標や目標を混乱させることなく、信頼できる抑止態勢を確立したという事実こそが勝利の定義である。

 

(和訳終了)

 

イランはアメリカによる敵視政策、経済制裁によって長く苦しめられてきて、高いインフレ率によって庶民の生活が苦しくなる ということが続いてきましたが、それでも元々イラン人(ペルシャ人)の多くは女子学生も含めて教育に熱心で、科学技術も高いものを持っており、イランの最高峰の大学のテヘラン大学は「世界大学ランキング」ではアジアで58位にランクしています。

 

また、数学界で最高の栄誉と言われる若手の数学者に与えられる「フィールズ賞」を2014年、世界で初めて 女性が受賞したのは テヘラン生まれのイランの数学者、故・マリアム・ミルザハニ女史でした。

 

(上の写真:世界で初めて、女性で「フィールズ賞」を受賞したイランの数学者、マリアム・ミルザハニ氏。2017年に40歳の若さで癌により逝去されました)

 

イランについて驚くのは 女性の大学進学率の高さです。大学生の60%が女性、40%が男性と、女性の大学進学率が非常に高く(日本の場合は女性の4年生大学への進学率は50.7%)、医療系以外の理系学部には極端に女性が少ない日本とは違って、理系学部に女性が多いとのことです。

 

過去20年間ミサイル技術を磨いてきたイランが イスラエルが持っているアイアンドームやアローシステムでは迎撃できない超音速、超音速よりもさらに速い極超音速のミサイルを持っているので、今回ご紹介したいと思います。

 

なお、私のブログでも過去記事で何度か書いてきましたが、アメリカは ミサイルの分野でロシア、中国、イラン等に10~20年遅れています。

アメリカは極超音速ミサイルを何度かテストしては失敗を繰り返しているからです。

 

すでに極超音速ミサイルを実戦で使って、地上から、艦船や潜水艦から、戦闘機からと陸海空軍のいずれからでも運用できることを実証したロシアがこの分野ではトップを走っていて、次に 実戦に使用はしていないが配備はしている中国、先日の報復攻撃では使用はしなかったものの打ち上げ実験に成功したイランと先日の打ち上げ実験で成功させたと言われている北朝鮮が続いています。

 

下でイランの極超音速ミサイルについて報じている米のAP通信のニュースをご紹介します。昨年6/6付記事です。

 

Iran unveils what it calls a hypersonic missile able to beat air defenses amid tensions with US

 

(和訳開始)

 

イラン、米国との緊張の中、防空を突破できる極超音速ミサイルを公開

 

 

 

ドバイ、アラブ首長国連邦(AP通信)-イランは火曜日、テヘランの核開発計画を巡り米国との緊張が依然として高い中、音速の15倍で飛行できる極超音速ミサイルを開発し、兵器庫に新たな兵器を加えたと主張した。 

ペルシャ語で「ファタハ」または「征服者」と呼ばれるこの新型ミサイルは、イランが長年にわたる紛争を経てリヤドとの緊張緩和に達し、火曜日にサウジアラビアでの外交拠点を再開すると発表したにもかかわらず公開された。

イラン国営テレビの緻密に演出されたこのコーナーは、明らかにイランの強硬派政府が中東の大部分で敵に対して武器を配備できることを示そうとしたようだ。

イランのエブラヒム・ライシ大統領はイベントで「今日、我々は抑止力が形成されたと感じている」と述べた。 「この力は地域諸国にとって永続的な安全と平和の錨です。」

民兵組織の革命防衛隊の航空宇宙計画責任者アミール・アリ・ハジザデ大将は、ミサイルの模型とみられるものを公開した。ハジザデ氏は、ミサイルの射程は最大1400キロ(870マイル)だったと主張した。

 

(和訳終了)

 

この記事が出た約5か月後に、「ファタハ2」という改良バージョンが登場していますが、それは射程が100キロ伸びて1500キロになっているだけで、初代の「ファタハ」と基本変わりません。

 

1500キロの射程はイスラエルに十分届きますから、これはイスラエルにとってはかなりの脅威になるはずです。

 

先日のイランからの「報復攻撃」では まず価格も安く迎撃もしやすいドローンを「どうぞ迎撃して下さい」と言わんばかりに照明まで付けて185機飛ばしてアイアンドームやパトリオット等の迎撃システム、戦闘機やヘリで迎撃を支援する米英仏軍を「過負荷」にさせて、その後に音速より速度の遅い弾道ミサイルを110発、そして最後に、超音速のミサイルを36発放っています。

 

 

イスラエル軍とその友軍(米、英、仏、ヨルダン)がほとんど迎撃できたのは おそらく速度の遅い弾道ミサイルまでで、最後に飛んできた超音速(マッハ4程度のもの)のミサイルは36発のうち、少なくとも9発は迎撃システムが役に立たなかった ということが米軍の高官の話から分かります。

 

今回イランは「極超音速(マッハ5以上)のミサイルは一発も使用していない」と言っていますから、「世界最高」だとマスコミが宣伝しているイスラエルの防空システムでも マッハ5未満の超音速ミサイルであっても、その迎撃率は 36発のうちの27発以下で、高くても75%程度に留まっている というのが実情ではないでしょうか。

 

これは 今行われているもう1つの戦争、ウクライナとロシアとの戦争で 「世界で最も洗練されている防空システム」との呼び声の高い(アメリカもそう言っている)ロシアのS-400が 4/18、ウクライナが米国から供給された長距離ミサイルのATACMS12発を使用してクリミア半島のロシア軍空軍基地を攻撃し、ロシア軍のS-400、S-300が迎撃できたのが10発であって、残りの2発が基地に当たったとアナウンスされていますので、防空システムは世界最高レベルのものであっても マッハ3とかの超音速のミサイルを一気に10発以上撃たれれば、90%の迎撃率には届かず、それでもロシアのS-400のように80%を超えれば かなり優秀な迎撃システム ということになるかと思います。

 

日本のパトリオットシステムも 一度も北朝鮮のミサイルを撃ち落すなどは 試してみたこともないのですから、迎撃を試さない言い訳として、「領土・領海に落ちないことがすぐに分かったので迎撃しなかった」とのことを以前防衛大臣がTVで言っていましたが、実際に 実戦で使えるかどうかも一度も試していないものに このシステムに対し、全幅の信頼がおける と思っているところが 日本国民を騙している と私は思います。

 

防空システムが100%ミサイルを撃ち落すことは どんなに優秀な防空システムであっても事実上不可能なのだから、各集落ごとに住民がすぐに逃げ込める地下のシェルターを設けて、そこで最低2週間程度は生活できる位の食糧備蓄を置く ことのほうが重要ではないでしょうか。

 

イスラエルの場合は アイアンドームが凄いのではなく、警報システムと各戸にシェルターを完備しているところが ハマスがイスラエル側にロケット砲を撃っても毎回死傷者が少ほとんど出ない理由だと言っているアメリカの大学の教授もいます。

 

下のビデオに登場される方は マサチューセッツ工科大学の教授ですが、アイアンドームとパトリオットシステムの「本当の迎撃率」は わずか「5%」だとおっしゃっています。(ビデオのタイトル:鉄のドーム、または"鉄のふるい"? アメリカが資金提供したイスラエルのミサイル・シールドの有効性について疑問の証拠)

 

 

 

わずか5%の迎撃率しかないのに、なぜハマスのミサイルから長年イスラエル国民を守れているかと言うと、

 

1.早期警戒システムの完備 

早期警報システムによって イスラエル国民は町中にいても、家の中にいても、警報が鳴ればすぐにシェルターに逃げるように周知徹底されている。

 

2.高いシェルター普及率

イスラエルで自宅を建てる際には 地下にシェルターを必ず設置することが義務付けられている。外出して町中にいるときでも近くのシェルターに逃げ込めるように、あちこちに地下シェルターがある。

 

3.ハマスのミサイルは 手作りの原始的なもので、搭載している爆発物の重量も少なく、元々が破壊力の高いものではない。

 

という3つの理由を挙げられています。

 

そして、私たちがニュース映像等でよく見ている「アイアンドームから放たれた迎撃ミサイルが 空中で敵のミサイルを迎撃しているように見えるシーン」には 迎撃用ミサイルを撃ちあげたものの迎撃できなかった場合に、空中でその迎撃ミサイルが自爆する、いわゆる「花火の連発」のようなものを見せられている というのが実情のようです。

 

ウクライナとロシアの戦争でも迎撃システムは使われていますが、多くの場合、迎撃の際にミサイルの破片が落下するのが避けられないように思いますが、イスラエルのアイアンドームの場合、迎撃のミサイルの破片でケガをした というニュースが無いことに以前から不思議に思っていましたが、単なる花火の打ち上げのようなものを見せられていて、事実上市民を守っているのは地下シェルターだということは 米やイスラエルへの軍事技術を否定することになるので、西側メディアでは 報道してはまずい事実のようですね。 

 

これは シェルター普及率がわずか0.02%と絶望的に低い日本にとって、全国の集落や公園の地下にシェルターを完備することは 米国から高価な兵器や役に立たない古い在庫処分品のトマホークミサイル等を買うよりも 本来優先されるべきことではないでしょうか。

 

ウクライナでの戦争でも 私はびっくりしたのですが、長期間にわたる激しい戦闘で大量の爆弾が使用され、ほとんどの建物が廃墟となっていたアウディーフカで、ロシア軍が市内を完全制圧した後、「ロシア軍が市を開放するのを待っていた」 という、避難せずに残っていた地元のお年寄りが数人、戦闘終結後に地上に顔を出して、ロシアのパスポートを与えられて嬉しそうな顔を見せていました。

 

ソビエト時代に作られた堅牢な地下構造物がたくさんあるウクライナでも 地下シェルターの有効性は十分実戦で証明されている ということです。