今のウクライナとロシアの戦争を きちんと客観的に見ることが出来ている方は 2022年2月24日にロシアがウクライナとの国境を超えて攻め込んできたのが戦争の開始だとは見ていません。

 

NATOの事務総長のイェンス・ストルテンベルグ氏でさえ、うっかり口が滑ったのか

「2014年からロシア相手に戦争をやっている」と言っています。(詳しくは下の過去記事で触れています。)

 

 

ウクライナで親露派と言われたヴィクトール・ヤヌコビッチ大統領は 2010年の選挙で選ばれた正当な大統領でしたが、その民主的な選挙で選ばれた大統領を100名以上の死亡者を出した暴力クーデターで追い出したのが2014年のことでした。

 

その後、暴徒が自宅にまで押し寄せる等して命の危険を感じたヤヌコビッチ大統領がロシアに亡命すると、暫定首相を務める人物をアルセニー・ヤツェニュク氏だと決めたのは マイダン広場で参加者に差し入れの食べ物を配っていた現・米国務次官(2014年当時は国務次官補)だったビクトリア・ヌーランド女史の鶴の一声でした。

 

(上の写真:マイダン広場で反政府デモの参加者に食べ物を配るヌーランド女史)

 

(上の写真:向かって左から、ネオナチの極右民族政党Svobodaの党首オレグ・チャハニボク氏、ビクトリア・ヌーランド氏、現キエフ市長ヴィタリ・クリチコ氏、クーデターの後に暫定首相となったアルセニー・ヤツェヌク氏)

 

アメリカが「対ソ連工作」としてウクライナのネオナチ、過激民族主義者たちを保護して資金提供もしてきたのは 第二次世界大戦でドイツ降伏直後から始まっていましたが、NATOのウクライナへと本格的に軍事訓練は2014年のこのクーデター以後から本格的に始まりました。

 

今回、単なるウクライナ軍の軍事訓練だけでなく、アメリカのCIAがウクライナの諜報機関を 対ロシア戦を行う為の下部機関として育てて、たくさんの拠点も設けて共同の諜報活動を行っていたことを米大手メディアの1つ、ニューヨーク・タイムズ紙が報じていますので、それをご紹介します。(記事はニューヨーク・タイムズ紙から直接ではなく、独立メディアのANTI WAR.comからのものです。)

 

CIA Built 12 Spy Bases in Ukraine Near the Russian Border Over Past Decade

 

(和訳開始)

 

CIA、過去10年間でウクライナのロシア国境近くに12のスパイ基地を建設
ニューヨーク・タイムズの報道は、2014年のクーデター以来のウクライナへのCIAの関与にさらに光を当てている

 

CIAは2014年に始まったウクライナ情報機関への支援の一環として、ウクライナのロシア国境沿いに12の秘密スパイ基地の建設を支援したニューヨーク・タイムズ紙が日曜日に報じた。

報告書は、CIAが建設したスパイ基地の1つを、ウクライナ軍兵士が「ロシアのスパイ衛星を追跡し、ロシア軍司令官間の会話を盗聴する」ために使用した地下壕だと説明した。

タイムズの報道は、ロシア侵略を誘発する上で主要な役割を果たしたウクライナへのCIAの関与に新たな光を当てている。欧州当局者は同紙に対し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2021年末に向けてウクライナ侵攻を検討していた際、ロシアの主要スパイ機関のトップから、CIAと英国のMI6がウクライナを統制し、モスクワ(ロシア政府)への作戦の足がかりにしていると告げられたと語った。

報告書は、CIAとウクライナ諜報機関との関係は、元ウクライナ大統領ヴィクトール・ヤヌコビッチが米国支援のクーデターで失脚した直後の2014年2月24日にまで遡る可能性があると述べた。その日、ウクライナ治安局(SBU)の新長官ワレンティン・ナリヴァイチェンコ氏はCIAに電話し、ウクライナの諜報能力の再建への支援を求めた。

CIAはロシアに関するさらなる情報を収集する機会があると考え、支援に同意した。米国のスパイ機関は、ソビエト連邦崩壊後に生まれた若いウクライナ人で構成されるSBU(ウクライナ保安庁)第5総局の設立を支援した。この構想は、ウクライナの諜報機関にはロシアに同情的な年配のウクライナ人が大勢いるというCIAの懸念を和らげることにあった。

ワシントン・ポスト紙は、 CIAによる第5総局の創設について初めて2023年10月に報じた。ポスト紙の報告書は、CIAが「ソ連が形成したウクライナの軍団をロシアに対する強力な同盟国に変えるために」数千万ドルを費やしたと述べた。

CIAはまた、GURとして知られるウクライナの軍事情報機関も支援している。GURは、ウクライナ国外での情報収集が許可されており、ロシア国内で利用できることを意味するため、米国に機会を提供した。ポスト紙のインタビューに応じた元米国情報当局者は、GURを「私たちの小さな赤ちゃん」と表現した。

タイムズ紙の報道によると、CIAはロシア国内、ヨーロッパ全土、キューバ、その他ロシア人の存在感が大きい場所で活動するウクライナ人スパイの訓練を開始したという。CIAはまた、米国がリバースエンジニアリングできるようにロシアのドローンやその他の技術を収集した2245部隊として知られるエリート特殊部隊の創設にも協力した。2245部隊のメンバーの1人は、現在GURを率いるキリロ・ブダノフだった。

ウクライナ諜報機関は2016年にドンバスで分離主義者指導者の暗殺を開始し、ロシア国内でのいくつかの殺人事件には、ロシアの哲学者アレクサンドル・ドゥギンの娘ダリヤ・ドゥギナを殺害した自動車爆破事件など複数の殺人事件があるとされている。米当局者らはCIAは暗殺に関与していないと主張しているが、殺害はCIAの支援に影響を与えていない

ロシアが2022年2月24日に侵攻を開始して以来、CIAと米国全体の情報機関による支援は大幅に増加した。ほとんどの米職員は侵攻直前にウクライナから避難したが、CIA職員のグループはウクライナ西部の遠隔地に留まり、戦闘の最初の数週間をサポートし、情報提供を行った。

ロシア侵攻時にSBUの責任者だったイワン・バカノフ氏はタイムズに対し、 CIAがなければ「我々がロシア人に抵抗したり、ロシア人を倒したりする方法はなかっただろう」と語った。

 

(和訳終了)

 

上の記事の中にCIAがウクライナに使った金額が「数千万ドル」とありますが、これは ネオコンのビクトリア・ヌーランド氏自身が5000万ドル使った 等と自慢気に話していたビデオを私はYoutubeで見たことがあります。

ウクライナの軍事情報機関GURを「私達の小さな赤ちゃん」と呼んだのもヌーランド氏です。

 

そしてウクライナの諜報機関、工作機関は CIAやMI6の協力を得て単に軍事情報を

取得しているだけでなく、ロシア国内でのテロ行為も行っています。

そのテロ行為で犠牲になったのが 民間人である哲学者のアレキサンダー・デュギン氏の娘さんのダリア・デュギナ氏であり、ロシア人ブロガーのウラドレン・タタルスキー氏なのです。

 

つまり、アメリカが支援した組織がロシア国内でテロを行っているのであって、これは中東でCIAが支援して軍事訓練したアルカイダやISがテロで民間人を殺害しているのと似たようなものでしょう。

 

プーチン大統領がタッカー・カールソン氏とのインタビューで「もっと早く(軍事)行動を起こさなかったことを悔やんでいる」というようなことを言っていました。

「2度のミンスク合意(2014年と2015年)など、話し合いが通じる相手だと思って

話し合いに臨んだのがそもそも間違いで、ミンスク合意を仲介したドイツ、フランスも含めて”話し合いが通じる相手”ではなかった」事が見抜けなかったことを後悔している と言っていましたが、まさにその通りだと思います。

 

ウクライナ頑張れ!と言っている世の中の多くの人は ウクライナが何も悪いことをしていないのに、いきなり2022年にロシアがウクライナに攻め込んできたかのように言っています。

 

しかし、実態は2014年から軍事訓練、破壊工作活動の訓練、そして多くの生物兵器研究所の開設、東部ドンバス住民への砲撃等、あからさまな戦争行為、挑発行為をけしかけたのはNATOであり、そのNATOの対ロシア戦争の手先になったのがウクライナだというのが明らかです。