ウクライナ軍が2014年の「マイダン・クーデター」以来、約10年間かけて、民間人も含めたドネツク州中心部を攻撃するための戦略的な要塞都市にしてきたアウディーフカを失ったことで、さらにロシア軍が勢いを増して各前線で攻勢を強めています。

 

あれだけ「ロシア軍は兵力の87%を失った」とか「ミサイルが尽きている」「プーチン氏は末期癌やパーキンソン病を患っている」等の嘘ニュースばかり流してきた西側大手メディアも 最近は日本のメディアも含めて「このままではウクライナの勝利はありそうにない。」という悲観的な論調へと変わってきました。

 

補給のための全ての道路がロシア軍の火器管制下にある中、アウディーフカからの撤退は かなり凄惨な状況だったようです。

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 ↓(Googleでの日本語変換)

 

私が毎日戦況をチェックしているYoutubeのビデオでも 負傷の為、取り残されて退却できなかった兵士が850~1,000名おり、その兵士たちは捕虜になるか死亡するか という状況だったようですが、退却の途中でロシアの大砲等で死亡した兵士も多くいたと伝えています。

 

そして、「肉挽き器」言われた悲惨な状況だったアウディーフカ最前線に送られた宇軍兵士の中には なんと女性兵士もいました。

 

 

今回は 西側大手メディアの1つ、ワシントンDCにあって米政府と非常に近いメディアと言われているTHE HILLからの2/15付記事をご紹介します。未だに多くの希望を語りながらも、ウクライナ軍が勝利するという考えは幻だ と言っています。

 

The idea of total Ukrainian victory is delusional

 

(和訳開始)

 

ウクライナの完全勝利という考えは妄想的である

 

箴言(しんげん:戒めとなる言葉)の第 26 章には、次のような貴重な洞察が含まれています。あなた方の目には賢い人たちがいるのがわかりますか?彼らよりも愚か者のほうが希望があるのです。」ロシア・ウクライナ戦争に関連して、この文章はウクライナの将来の戦略的見通しに関する現在の議論を力強く浮き彫りにしているため、非常に貴重である。

過去数カ月間、ウクライナには対ロシア戦争で完全勝利への道がまだあることを改めて主張するためのあらゆる努力の形で、犬が嘔吐物へと戻るのを目撃してきた。専門誌、影響力のあるウェブサイト、あらゆるメディアを通じて、観察者、アナリスト、専門家は同様に、ウクライナがロシアに勝利し、ロシアをクリミアも含めて全領土から追放する方法はある、と私たちに伝え続けている。

現場の事実がそれを正当化するために、これらの議論が進められていると主張する人もいるかもしれません。なぜなら、変化する地政学的および戦場の現実は、軍事バランスがウクライナに有利に傾いていることを明らかに示しているからである。

 

ウクライナがより多くの兵器(そしてより洗練された兵器)を取得するにつれ、必然的に、まず作戦段階に進み、次に戦略的突破口を推進し、最終的には完全な勝利に達するような戦術的優位性を獲得することになるだろう。必要なのは、ウクライナの若者をもう一回動員し、西側の経済援助をもう一回、アメリカ、フランス、イギリスの驚異の兵器をもう一回届けることだけだ。

しかし、戦争の戦略的、作戦的、戦術的な現実は、この議論のいかなるバージョンも支持しません。ウクライナは戦術レベルでは勝っていない。むしろ、進化する戦場の現実への適応においてロシアがウクライナを上回っているため、ウクライナでのロシアの優位性は減るどころか増大している。最終的な結果は? ロシアは、ウクライナのすべての攻撃努力を完全に挫折させたような多層防御を維持する能力を維持できるだけでなく、アヴディーフカのような場所で攻撃を成功させることができるようになってきている。

要するに、ロシアは戦争に勝利しつつあり、予見可能な政治的、経済的、戦術的、技術的発展がその根本的な現実を変える可能性を示唆するものはほとんどない。それでは、壊滅的に矛盾する証拠がすべてあるにもかかわらず、ウクライナの戦場での最終的な勝利についての議論がなぜ見られるのでしょうか?

さて、オッカムの剃刀――「他の条件が同じであれば、一般に複雑な説明よりも単純な説明のほうが優れている」という原則――を適用すると、ウクライナに完全勝利への道があるという妄想的な信念は、軍事力や軍事力の進化などに基づくものではない、と私は提案したい。単純な心理的力学よりも地政学的な現実を重視しており、これは「コミットメントの拡大」という概念に最もよく要約されます。

この概念によれば、個人またはグループは、事実に照らしてその議論がますます支持できなくなっても、失敗した議論を固執する傾向を示すことがあります。この行動は、現在の妥当性や合理性に関係なく、以前の約束(経済学者が言うところの埋没費用)を順守することが何よりも特徴的です。それは心理的機能不全です。

この概念をウクライナに適用すると、ウクライナの壊滅的な敗北と戦略的挫折にもかかわらず、勝利は目前に迫っているという妄想的な信念が説明されます。
大々的に宣伝されたものの最終的には失敗に終わった2023年の春から夏の「反攻」において、ウクライナはロシアに決定的な敗北を与える運命にあるという見解を公に誓った人々は、不合理にもその公約を倍増させた。言い換えれば、現場の事実が、ウクライナの最終的な完全勝利に対するこの信念は単に根拠がなく、理性的な人であればそれらの事実に照らして自分たちの見解を修正するだろうと現場の事実が示しているにもかかわらず、彼らはその関与をエスカレートさせているのである。

少し別の言い方をすれば、ウクライナの戦略的見通しが悲惨になればなるほど、これらの真の信者たちは、ウクライナの完全勝利への想像上の道筋をでっち上げざるを得ないと感じている――そのような道筋が存在しないという議論の余地のない証拠が増えているにもかかわらず。

そして、ことわざの犬が吐いたものに戻るように、もともと「ウクライナは勝利する」という理論に熱心だった観察者たちは、キエフの完全勝利への道があるという、ますますマニアックに表現された妄想に立ち戻り続けている。しかし、それはありません。そして、大西洋の両側の政策立案者や影響力者がこのことを早く理解すればするほど、少なくとも当面は、この戦争を特徴づけるようになった卑劣な大虐殺を引き起こす敵対行為の交渉による停止に早く到達できるようになる。

そして、キリスト教の聖書のローマ人への手紙 4 章 18 節にあるように、私たちはこの啓示が遅かれ早かれ訪れることを「希望に反して期待」しなければなりません。

アンドリュー・レイサムは、ミネソタ州セントポールのマカレスター大学の国際関係学の教授であり、平和外交研究所の上級研究員であり、ワシントン DC のディフェンス・プライオリティの非常勤研究員でもあります。  @aalathamをフォローしてください。

 

(和訳終了)

 

このTHE HILLがワシントンにあり、米国政府に非常に近いメディアだということを考えれば、米国内では すでにペンタゴン(国防総省)を中心とする「ロシアが戦争に勝っている。どんなにウクライナに兵器支援してもウクライナの勝利はない。」という現実を受け止め始めた役人たちと、バイデン政権とそれを支える周囲のネオコンたちのように、勝ち負けの結果はどうでもいいから とにかく「最後のウクライナ人まで戦わせて、軍産複合体をさらに儲けさせればそれでよい」という考えでまだまだ戦争を続けさせようとしている連中と2つに割れているのではないかと思います。

 

バイデン政権が下院議会に対して早く法案を通過させろ と圧力をかけているウクライナ支援の610億ドルですが、バイデン大統領はアウディーフカ陥落の後、下院のせいでウクライナ支援予算が通らず2月末まで冬期休暇に入って、審議が3月からしか開始されなくなったことが 結果的にウクライナ撤退につながった というふうに、共和党が過半数を占めている下院と下院議長のマイク・ジョンソン氏を非難しました。

 

しかし、問題は アメリカからの610億ドル支援が可決されたとしても ウクライナに兵器や砲弾が届くのは その後数ヶ月後になる ということです。この610億ドルの大部分はあくまで米国政府が米軍産複合体企業へと、これから払うものであって、製造もこれからされるものです。そして、現金の一部はウクライナに行って公務員等の給与や年金支払へと消えます。

 

ですから、特に深刻な砲弾や大砲の不足に悩んでいるウクライナ軍を今すぐ助けられるものではありません。

 

EUはウクライナへ3月までに100万発の砲弾を送ると約束していましたが、実際に送付できたのは わずか30万発でした。

 

それに対してロシア軍は2022年度は年間100万発の砲弾生産量だったのが、その後製造能力を大幅に増強して今は年間400万発も作れるようになったようです。

 

アメリカは年間30万発の砲弾製造能力しかなく、欧州はそれよりはるかに少ない年間数万発の砲弾しか作れなかったのを増強してあと2~3年以内に100万発程度作れるようにする と言っていますが、その「あと2~3年以内」には この戦争はほぼ終結してしまう可能性も高いわけで、ウクライナ軍の深刻な砲弾と大砲不足は解決ができない問題です。

 

その代わりにウクライナと西側友好国が増強しているのがドローンの生産で、西側諸国も大砲と砲弾の代わりにドローンの使用をウクライナにすすめています。

しかし、ドローンは 大砲+砲弾の代わりには絶対になりえないものです。

何より破壊力が違いますし、ドローンはGPS信号を妨害する電子線システムを使用された場合、敵を攻撃する前に墜落することも多々あります。

 

そして、ウクライナ軍が 最後の希望の光としているのがF-16戦闘機ですが、12名のウクライナ軍パイロット訓練を終え、夏頃にデビューするのではないか と現在見られています。

 

しかし、今攻勢を強めているロシア軍は さらにいくつかの都市を陥落させて、そのF-16戦闘機がデビューする夏前までに、ウクライナ軍をさらに追い込む可能性もあります。

 

仮にウクライナ空軍からF-16がデビューする夏までウクライナ軍が持ちこたえたとしても、たった12名のパイロットと数十機のF-16では ロシア軍の防空システムやさらに新しい年代の戦闘機をたくさん保有しているロシア空軍に勝てるとは全く思いません。

 

最近の西側メディアの悲痛な叫びを見るにつけ、西側諸国も ようやく目が覚めて現実を見始めたようですから、彼らがやるべきことは ロシアをプロパガンダ的に悪魔化したり敵対視することをやめ、「最後のウクライナ人まで」等と言ってウクライナ人を「大砲の餌」として使うことをやめ、ロシアと真摯に向き合いNATO非拡大も含め、ロシアの安全を保証することを話し合いで提案することではないでしょうか。

 

本来は日本はそのような仲介役の役割を果たすべきだったのです。

米国にただ従属してバイデン氏から国賓で米に招待されたことを喜んでいる増税メガネ君では無理でしょうけどね・・・。