ウクライナのゼレンスキー大統領と解雇される予定のザルジニー宇軍総司令官の亀裂はもはや決定的なものになっていて、西側大手メディアだけでなく、ウクライナのメディアでまで報じられるようになりました。
最近の大きな政治的な動きとして、ゼレンスキー氏側ではなく、ザルジニー氏側に 多くの有力政治家が付き始めたり、公に応援し始めたことがあります。
その中には 2014年のクーデター後にウクライナの大統領になった「チョコレート王」と呼ばれる菓子メーカー経営のオリガルヒのペトロ・ポロシェンコ氏やかつて首相を務めていて、同じようにオリガルヒで「ガスの女王」と呼ばれるユリア・ティモシェンコ氏、元ボクサーで現キエフ市長のヴィタリ・クリチコ氏がいます。
(上の写真:「チョコレート王」と呼ばれるペトロ・ポロシェンコ元大統領)
(上の写真:ロシアからのガス輸入・卸売で大儲けした「ガスの女王」こと、ユリア・ティモシェンコ氏)
(上の写真:ボクシングの元世界王者で、現キエフ市長のヴィタリ・クリチコ氏)
(上のポロシェンコ、ティモシェンコ、クリチコ各氏の写真はいずれもウィキペディアからの転載です。)
彼ら3名が 公に支持すると表明しているのが ゼレンスキー現大統領ではなく、ザルジニー総司令官です。
(ウクライナ軍の総司令官、ヴェレリー・ザルジニー氏。写真はCNNの記事より)
ゼレンスキー大統領は パトロンである米国政府に対して、ザルジニー総司令官解任の意向をすでに伝えています。↓
以前もご紹介しましたが、ウクライナのメディアが調査した国民からの「人気度」では ゼレンスキー氏は ザルジニー氏に水を開けられています。
そして、ゼレンスキー大統領が 今後懸念しなければならない心配事は アゾフ連隊や右派セクター等のウクライナのネオナチ軍団が ザルジニー氏側につくことが
明らかになってきたことです。下の写真は ザルジニー氏が総司令官を解任される前夜にネオナチの「右派セクター」の司令官と一緒に撮ってSNSに投稿した写真です。
Zaluzhny on eve of his expected firing by Zelensky shows his backing from far-right, which has power to overthrow Zelensky. Zaluzhny takes selfie with leader of far-right Right Sector & commander of Right Sector brigade of Ukrainian military in front of portrait of Nazi… https://t.co/LUhvSw4zYB pic.twitter.com/EX8kAnBKI8
— Ivan Katchanovski (@I_Katchanovski) February 2, 2024
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ゼレンスキー氏による解任予想の前夜、ザルジニー氏はゼレンスキー氏を打倒する力を持つ極右からの支持を示した。ザルジニーはナチスの肖像画の前で、極右右派セクターの指導者およびウクライナ軍右派セクター旅団司令官とセルフィーを撮る…
上のTwitter(X)に投稿された写真でザルジニー氏、右派セクター司令官の後ろに肖像画がかかっていますが、それは ウクライナのナチス協力者だった、ステファン・バンデーラの肖像画です。
ザルジニー氏はバンデーラを敬愛するナチス信奉者と言ってもよいのですが、そのザルジニー氏とゼレンスキー氏が喧嘩別れする形になって、ネオナチのアゾフや右派セクターは ザルジニー氏側につく可能性が高い ということです。
これで今後懸念されるのは もちろん軍事クーデターやゼレンスキー大統領の命が狙われることではないかと思います。
ゼレンスキー大統領の本来の大統領としての任期切れは今年の3月末日までとなっていますが、「戒厳令」を理由に、今年の大統領選を延期したので、大統領選に出馬する気満々だった元大統領補佐官のオレクシー・アレストビッチ氏もゼレンスキー大統領に不満を募らせているひとりです。(補佐官を解任されて以降、言動が反ゼレンスキーになったアレストビッチ氏には逮捕状が2回出ていて、現在は米国在住です。)
(上の写真:元大統領補佐官だったオレクシー・アレストビッチ氏
ゼレンスキー大統領の2019年大統領選挙時の公約だった「戦争を止める」「ミンスク合意を守る」というのが反故にされたのは 右派セクターにビビったことが原因なのはThe Grayzoneなどの独立メディアでは報道されていて、よく知られています。
右派セクターが自国民に対して砲撃を行っていたドンバスにゼレンスキー大統領が就任直後に行って 武装解除しようと、「私はウクライナの大統領だ。武器を置きなさい。」と声をかけたところ、ニヤニヤと小馬鹿にしたようにネオナチからは嘲笑されて、その後、大統領府の建物の前でネオナチのデモが発生したり、「木に吊るすぞ」という脅迫があった と報じられています。
その後はゼレンスキー大統領はネオナチ司令官を国民の英雄として表彰したり、ズブズブの関係になっていったというThe Grayzoneでの報道があります。
(どのようにウクライナのユダヤ人大統領ゼレンスキーはロシアとの最前線にいるネオナチ民兵組織と和解したか)
上の記事はとても面白いのでおすすめです。
バンデーラを敬愛するザルジニー氏を解任したことで、ネオナチの怒りまで買いそうなゼレンスキー大統領は 2019年以来、再びネオナチに震え上がることになるかもしれません。