今日のブログは衝撃的なタイトルになっていますが、国際司法裁判所(ICJ)での先日の決定でイスラエルがガザでパレスチナ人に対するジェノサイドを行っている と判断するのが妥当だ と判決が下った中で、この判決の翌日、米・英・独・伊・加・豪を含めた主要な9カ国の西側諸国が ガザでの人道支援を行っている国連の機関、UNRWAに対しての資金拠出を停止する と発表しました。

 

そのとんでもない非人道的な決定を行った9カ国のうちの1つに、常にアメリカの顔色ばかり伺って外交をしている我が国日本が含まれています。

 

早速この件に関して記事をご紹介します。中東レバノンのメディア、アルマヤディーンの記事です。

 

UNRWA funding suspension 'catastrophic' for Gaza: Heads of UN agencies

 

(和訳開始)

 

UNRWAの資金停止はガザにとって「壊滅的」:国連機関のトップら
国連機関のトップらは「UNRWAから資金を引き上げることは危険であり、ガザの人道制度の崩壊につながるだろう」と警告している

 

(上の写真:イスラエルによって不法に占領されたヨルダン川西岸地域、ジェニンにあるUNRWAの施設)

 

複数の国連機関のトップは水曜の共同声明で、国連パレスチナ難民機関(UNRWA)への資金提供を打ち切ることはガザに「壊滅的な結果」をもたらすと警告した。

UNRWAから資金を引き上げることは危険であり、ガザの人道制度の崩壊を招き、占領下のパレスチナ領土および地域全体に広範囲にわたる人道的および人権的影響をもたらすだろう」と、UNRWAを構成する国連機関間常設委員会組織のトップらの声明は述べた。。

UNRWA職員12名が10月7日のパレスチナ抵抗軍のアル・アクサ洪水作戦に参加したとイスラエル占領軍が主張したことを受け、米国、英国、ドイツ、日本を含む数カ国はUNRWAへの資金提供を停止した。

パレスチナ抵抗運動ハマスがガザ地区の政府機関のインフラを軍事活動に使用することを許可していると「イスラエル」がUNRWAを非難したことで、紛争は激化した。

火曜日初め、国連のガザ支援調整官は、UNRWAに「取って代わることも代替することもできない」と強調した。

(和訳終了)

 

この記事にある通り、ハマスの昨年10/7の攻撃に何らかの形で"参加"したUNRWAの職員が12名いる というイスラエルが主張したことによって、西側の9カ国は国連のパレスチナ難民支援機関への資金拠出を停止したのです。

 

それらの12名の職員はすでに解雇されている ということですが、これが如何に非人道的なことかと言うと、ハマスは単なる武装組織ではなく、政治運動であり、学校やモスクの設立等の活動も行ってきた組織であり、ガザ地区を支配している政党でもあるので、そもそもハマスの全員が戦闘員というわけではありません。

 

また、忘れてはならないのは ハマスは パレスチナ国家樹立を妨害する目的で PLO(現ファタハ)に対抗する組織として、イスラエルの諜報機関モサドが作って資金提供してきた組織だ という事実です。

このことはイスラエル寄りであるEUの外相、ジョゼップ・ボレル氏ですら言っていますが、その日本語の記事がよほど都合が悪いのか、今は消されてしまっているようです。ですから、消されたYahoo記事の「魚拓」をお見せします。↓

 

 

 

そして、パレスチナで活動しているUNRWAの職員は合計3万人ほどいると言われていますが、その3万人のうちの0.04%の12名ほどの職員がハマスに混じっていたのが仮に事実だとして、それを理由に 水や食料、電気の供給を止められているガザの全てのパレスチナ人への食料や医薬品支援を止める というのは まさに国際法で禁止されている「集団的懲罰」に当たるのではないか ということです。

 

また、イスラエルは10/7以降、150名以上のUNRWA職員を無差別空爆等で殺害しています。それは明らかな戦争犯罪であるはずですが、それだけ国連関係機関の職員を殺害しておいて、そのイスラエルの訴えを全面的に信用してパレスチナへの支援を全面停止する ということがどれだけ不条理なことか、日本の政府や外務省職員の方々は考えなかったのでしょうか?

 

日本がその 血も涙もない決定をした9カ国の中に入ってしまった というのは 人道上、けっしてやってはいけない、イスラエルがガザで行っているパレスチナ人を飢えさせる、脱水に追い込む という集団懲罰を日本も支援することになるのです。

 

それがどれだけ酷いことか、またパレスチナ人に連帯を表明している中東のイスラム諸国に対しても かなり日本の印象を悪くすることなのか、 岸田首相、上川外務大臣は 分かってこのようなことを決定したのでしょうか。

あまりにも残酷なことだと思います。

 

以下はパレスチナの難民の状況とパレスチナ難民への人道支援がこのUNRWAに依存している状況です。(カタールのメディア、アルジャジーラより抜粋)

 

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 パレスチナ人の難民キャンプの数:58(レバノンに12,シリアに9,占領されたヨルダン川西岸地区に19,包囲されたガザに8,ヨルダンに10箇所)

登録された難民の数:590万人

教育:706箇所の学校と543,075人の生徒

医療:140箇所の主要な医療施設、年に700万人以上の患者来訪

資金:11億7000万ドル

 

下はUNRWAへの主な拠出国です。日本も含め、黒い丸で囲んだ国々は イスラエルの訴えでUNRWAへの資金拠出を停止する と宣言した国です。これらの国々からの資金がなくなれば、UNRWAの運営、パレスチナ人難民への人道援助が窮地に陥ることは目に見えています。

 

 

自身がユダヤ人でありながらも 以前からパレスチナーイスラエルの問題でイスラエル側のジェノサイドをアメリカから糾弾し続けているオルタナティブ・メディア、Grayzoneのアーロン・マテ氏のTweetを下でご紹介します。

 

 

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11月、ブリンケン氏はUNRWA職員と彼らの「並外れた救命活動」を利用して、イスラエルの大量虐殺への支持を偽装する写真撮影を行った。

イスラエルとそのスポンサーである米国が大量虐殺の責任を問われている今、ブリンケン政権は新たに偽物をでっち上げて目を逸らそうとしている…

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アメリカのブリンケン国務長官は 昨年11月、UNRWAの職員と面談して、彼らの「並外れた救助活動」を称賛していたわけですが、今は 30,000人の中でたった12名、ハマスに協力したかもしれない職員が混じっていた というだけでUNRWAに資金拠出の全面停止を宣言したわけです。

 

このように日本も含めた9カ国の不条理な決定により、窮地に陥っているパレスチナ人への人道援助は 今後どうなってしまうのでしょう。非常に心配な状況です。

 

日本がUNRWAに拠出しているのは 上のグラフで示されているように、年間わずか3000万ドル(約42億円)程度です。アメリカのロシアへの代理戦争の為にウクライナには2兆数千億円以上のお金を送っておいて、パレスチナへのわずか42億円程度の人道支援を止めたのが日本なのです。

 

UNRWA lifesaving assistance is about to end following countries decisions to cut their funding to the Agency. Our humanitarian operation, on which 2 million people depend as a lifeline in Gaza, is collapsing. I am shocked such decisions are taken based on alleged behavior of a few individuals and as the war continues, needs are deepening & famine looms. Palestinians in Gaza did not need this additional collective punishment. This stains all of us.

 

 ↓

UNRWAへの救命支援は、UNRWAへの資金提供を削減する各国の決定を受けて終了しようとしている。
 
ガザの200万人がライフラインとして依存している私たちの人道活動は崩壊しつつあります。私は、少数の個人の疑わしい行動に基づいてそのような決定が下されることにショックを受けており、戦争が続くにつれてニーズは深まり、飢餓が迫っています。
 
ガザのパレスチナ人にはこの追加の集団処罰は必要なかった。これは私たち全員を汚します。