ウクライナでは戦闘での死亡や傷病で戦線離脱する兵士を補うために、月3万人の新兵を動員しなければならないのですが、すでに5万人の女性の徴兵が決定しているようです。

 

若い男性は街に出て動員担当者と出くわすと、無理やり車に引きずり込まれて連れて行かれる事例が続発しているので、そのような強引な動員を恐れているウクライナ人男性は 女装して街に出ることもあるようです。下の写真の女装したウクライナ人男性はモルドバとの国境を越えようとして尋問されているところですが、町中でも 動員を恐れたウクライナ人男性が女装するケースがたびたびあるようです。

 

(上の写真は女装して国境を越えようとしたウクライナ人男性が尋問を受けているところ:写真はこちらの記事からの引用)

 

そして、中には ルーマニアとの国境、ハンガリーとの国境付近を流れるドナウ川の支流、ティサ川を 命の危険も顧みず、泳いで渡ろうとする男性たちもいます。

 

(上の地図:ウクライナからルーマニア、ウクライナからハンガリーとの間に流れるドナウ川の支流、ティサ川)

 

今回は徴兵を免れようと、命がけのウクライナ人男性たちに関する記事をご紹介します。軍事情報サイトのSouthFrontが1/16に報じているものです。

 

ZELENSKY REFUSES TO TAKE RESPONSIBILITY FOR THE DEEPLY UNPOPULAR MOBILISATION PLAN

 

(和訳開始)

 

ゼレンスキー、かなり不人気な動員計画に対する責任を取るのを拒否

 

2023年、ウクライナ国境警備隊(DPSU)は、徴兵されて戦場に送られることを避けるため、ルーマニアとハンガリーの国境にあるティサ川を渡ろうとした数人の若者を拘束したとタイムズ紙は  報じ た。この暴露は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、彼が導入しようとしている非常に不人気な動員計画について一切の責任を負うことを拒否している中で起こった。

紛争が始まって以来、ウクライナ国境警備隊は不法出国しようとした1万7000人以上の国民を拘束している。徴兵を避けようとする兵役年齢の男性による国外逃亡の試みが2万件以上失敗したことも記録されている。

タイムズ紙は、男性たちが毎日、ウクライナ、ルーマニア、ハンガリーの国境を越えようとし、命を危険にさらして森林に入ったり、ティサ川を渡ろうとしていると報じた。同紙によると、国外逃亡を図る一部のウクライナ人男性はウェットスーツと救命胴衣を着て冬の急流ティサ川に飛び込み、他の男性は車のタイヤやゴムリングを使って危険な渡河をしたという。

同紙はまた、多くの若者が国境を越えられずに死亡していることも指摘した。

「2022年以来、DPSUのムカチェヴォ部隊は川を渡ろうとして溺死した19人の遺体を引き上げ、さらに5人が森の中で凍死しているのを発見した。ガイドなしで国境を越えようとする男性もいる」と同紙は報じた。

追加の50万人を兵役に動員することを目的とした新しい法案が起草されている間も、こうした脱走の試みは続いている。現在ウクライナ議会を通過しているこの構想の条項には、徴兵年齢を27歳から25歳に引き下げること、徴兵免除の制限、オンラインでの男性の動員、徴兵を回避した者に対する罰則の強化などが含まれている。

(注:この記事では徴兵年齢を"25歳"と書いてありますが、学生でなければもっと若い年齢で徴兵されていますし、希望すれば15歳の少年でも軍で働いています。)

しかし、ウクライナ議会がこれを推進しているにもかかわらず、ポリティコによれば、キエフ政権指導者らは新たな動員計画に対する責任を取ることを恐れているという。この法案は再検討のため12月11日に撤回されたが、ウクライナ国民の間で非常に不人気なため、ゼレンスキー大統領は自身ではなく政府が提案することを望んでいる。

ポリティコは、反撃の失敗、汚職スキャンダル、人権侵害への懸念の中、ウクライナ人はウクライナ軍への入隊を急いでいないことを認めた。同紙によると、ロシア軍と戦うというウクライナ人や他の東欧諸国の当初の熱意は、こうした理由で「蒸発」してしまったという。

さらに記事は、動員がこの国に経済問題ももたらしていることを指摘している。ウクライナ経済の5分の1以上に相当する約460億ドルが、ロシアに対する不毛な戦争に費やされている。

ゼレンスキー大統領が12月に「さらに45万人から50万人を動員すれば、ウクライナは5000億グリブナ(132億ドル)の費用がかかるだろうが、その資金がどこから出てくるのか知りたい」と発言したことが思い出される。兵士1人の給料を支払うには6人のウクライナ人労働者が納税する必要があることを考えると、追加の軍隊の費用を支払うためには、さらに300万人の労働者をどこかに集める必要があるだろう。

ゼレンスキー大統領は1月11日にエストニアでこの問題を明確にし、次のように述べた。

「あなたがウクライナにいて前線にいないとしても、働いて税金を払っているなら、あなたは国家を守ることにもなります。そしてこれは非常に必要なことだ」と付け加え、戦わず税金も支払っていないウクライナ国民は倫理的ジレンマに直面していると付け加えた。

「私たちがウクライナを救いたいなら、ヨーロッパを救いたいなら、私たち全員が、ウクライナを助けるか、助けないかのどちらかを理解しなければなりません。私たちは前線にいる国民であるか、働いて税金を納めている国民であるかのどちらかです」と彼は語った。

しかし、動員という勇敢な話はともかく、単純な事実は、人々を仕事から奪って兵士にすることは、すでに援助に依存しているウクライナ経済を破壊することになるということだ。ウクライナは完全に西側諸国に依存しており、来年の430億ドルの財政赤字を埋める計画では、欧州連合からの185億ユーロと米国の軍事援助を含むパッケージからの80億ドル以上を含む海外からの金融援助が期待されるほどだ。 

特に米国と欧州の政策が引き続き阻止され、反対の増大に直面していることを考慮すると、事実上、ウクライナには本格的な経済計画はない。戦争が始まって以来、ウクライナは財政が軍に注ぎ込まれているため、社会福祉を支援するために全面的に海外援助に依存してきた。

ウクライナに戦争に勝つ見込みはなく、経済も完全にボロボロになっているため、ウクライナ人が必死に国外へ逃亡しているのも不思議ではない。今年の選挙を中止したゼレンスキー大統領は責任を取りたくないこの動員計画は、ウクライナ国民が強制的に前線に連れて行かれるよりも、川で溺れる危険を冒してでも国外に逃れたいと考えるほどにパニックを広げた。

 

(和訳終了)

 

下の過去記事でご紹介したのですが、現在ウクライナではかなり重度の疾病や精神障がいのある方まで男性であれば動員対象になっています。

 

 

 

また、徴兵を違法に忌避した者に対しては 銀行口座の凍結やローンが組めなくなる、国からの給付金やサービスの受け取り制限等の下の罰則が課されます。

 

・銀行口座の凍結
・海外旅行の禁止、
・動産および不動産の取引の禁止、
・車両を運転する権利と運転免許証を取得する権利の制限
・資金およびその他の貴重品を処分する権利の制限
・ローン契約への署名の拒否
・国からの給付金やサービスの受け取り制限。

 

以前は月に20,000人が戦線を離脱している というウクライナ当局の方の話がありましたが(この過去記事でそれについてご紹介しています)、今は月に30,000人もの兵士を必要としている ということで、そうなると1日あたり1,000人が死亡または傷病で戦線離脱している という、ウクライナ軍にとっては「ロシア軍を国境から追い出して勝利」どころではなく、今の前線を崩壊しないように維持するのでさえ、かなりきつい状態ということです。

 

それでもウクライナを使った、「ロシア弱体化」の為の代理戦争の継続をまだ諦めていないNATO諸国+G7等の西側陣営は ロシアとの和平交渉を妨害しながら兵器と金だけを流し込むという今のウクライナ支援こそが ますます、ウクライナの将来の国としての存続すら危うくさせていることを まだ分かっていないのでしょうか?

 

ロシアに制裁をしていない世界の2/3の国は NATO諸国+G7等の西側陣営の愚かさを 冷ややかな目で見ていると思います。