ウクライナ政府が作った資料がネットに流出して、ソ連から独立した直後には4000万人程度いたと見られていたウクライナの人口が 2023年にウクライナ政府の把握した数では2300万人にまで減っていることが判明しています。(詳しくは下の過去記事を見てください。)
そして、上の過去記事の中でも書いたのですが、ウクライナ政府公式の数字の人口2300万人 というのには ウクライナが事実上支配できていない地域(ロシアの支配下になっている地域)の人口がおそらく含まれており、ウクライナ支配下にある地域の人口となれば、もっと少なくて、おそらく2000万人を切ってしまっている可能性が高いです。
(以下、ロシアのメドベージェフ元大統領、現安全保障会議副議長の話)
「キエフが支配する領土内の人口は1,970万人、国外にはすでに1,790万人である。実際、2022 年には 3,700 万人の半分、21 世紀初頭の人口の約 40% が減少しました。」
そして、ウクライナが戦争で多くの男性を失った、または徴兵を恐れて(出国禁止なので賄賂を払って)男性が逃げたことが 18歳以上~60歳未満の人口の男女の人口の違いに如実に現れています。
1)総人口 23,374,326
2)14歳未満の総人口 3,711,264
3)18歳未満の総人口 6,343,829
4)18歳未満の男性人口 3.235,755
5)18歳未満の女性人口 3,108,054
6)18~60歳の総人口 15,022,063
7)18~60歳の男性人口 7,084,004
8)18~60歳の女性人口 7,938,059
9)60歳超えの総人口 2,008,434
10)60歳超の男性人口 745,665
11)60歳超の女性人口 1,262,769
18歳未満の子供に関しては 男女の人口が男性のほうが12万人ほど多いのに対し、18歳以上60歳未満になると、男性の人口が女性よりも85万人も少なくなっています。
今回、もっとショッキングなものをご紹介しようと思います。
それは いわゆる「人口ピラミッド」と呼ばれるグラフです。
ちなみに、今まで歴史上類を見ないほどに少子高齢化が深刻となっていると言われている日本の人口ピラミッドは下のようになっています。(我が国の統計局が発表している2021年度時点のもの)
そして、ウクライナの人口ピラミッドですが、下のようになっています。(ソースはこちらのページ)
男女とも、20~28歳位の年齢層がそれぞれ10万人を切るほどにまで、なってしまっています。
15~30歳までの男女人口がごっそりと減って、かつて見たことのないような形の人口ピラミッドになっています。
上のグラフは 各年齢層の人口で、男性が多い階層は濃い青に、女性が多い階層は濃い赤に塗られているのですが、40歳を超えるとどの年齢層も男性の数よりも女性超過となっています。
ウクライナ人の男性の平均寿命は66歳前後のようですので、60歳以上の年齢が女性超過になるのは当然として、40~60歳の男性が減っているのは やはり徴兵されて戦死しているということではないでしょうか。
それと20~28歳位の若い年齢層で女性のほうが少なくなっているのは 基本的に徴兵義務があるウクライナの成人男性とは違って、女性は海外に逃げることができているので(最近になって医療従事者の女性は出国禁止になっていますが)、海外に避難した方が多い ということを示していると思います。
最後に、このウクライナの人口ピラミッドを掲載した独立メディアのMoon of Alabama の記事をご紹介します。(11/14付記事)
Ukraine's Demographics Dictate To End The Fight
(和訳開始)
ウクライナの人口動態から戦いの終結が求められる
ウクライナの王位を巡る戦いにナイフが飛び出している。
さまざまなウクライナの メディア(ロシア語)が、この将軍やあの将軍を解任する計画について報じている。ゼレンスキー大統領の首席補佐官であり、ゼレンスキー大統領の背後の実権者であるアンドレイ・イェルマーク氏は現在、ウクライナ軍のザルジニー司令官の解任許可を得るために米国に滞在しているとされる。他のウクライナメディアはザルジニー氏の新大統領就任を求めている。明日(11/15)バーンズCIA長官はキエフを訪れ、ゼレンスキー氏に時間切れで退陣しなければならないことを告げる予定だ。
シンプリシウス(有名なロシアのブロガー)は次のように書いています。
競合する 2 つの派閥が、西側メディアの分野で互いに優位に立つことを目指していることは明らかです。ザルジニー氏は未承認の『エコノミスト』誌で発言をしており、ゼレンスキー氏支持者らは並行して独自の対抗策を講じているようだ。
ラリー・ジョンソンは、この戦いの背後にある大国を思い出させます。(訳者注:ラリー・ジョンソン氏は元CIA調査官)
ゼレンスキーとザルジニー将軍に関する競合する物語に関して、昨日の記事で私が言い損ねた重要な点がひとつある。CIAがゼレンスキーを救ってザルシニーを追い出そうとしている一方で、英国人がザルジニーを支援しているように見えるのだ。私がその結論の根拠としているのは、MI-6と密接な関係にあるイギリスの雑誌『エコノミスト』がザルシニーを有名人扱いし、一方でCIAの御用達であるワシントン・ポストがノルド・ストリーム(の爆破)をザルジニーのせいだと非難したという事実である。
最前線にいない限り、見るのは楽しいです。
そこでは、ウクライナ軍にとって状況は日に日に悪化している。
ウクライナは、バフムートを保持するという不可能な努力と、難攻不落のロシアの前線に対する無意味な「反撃」に非常に多くの兵力を浪費したため、現在では防衛線を維持するための兵力が不足している。
6週間前、ベン・ウォレス元英国国防相はウクライナ政府に対し、より多くの若者を徴兵するよう要請した。
前線の(ウクライナ軍)兵士の平均年齢は40歳を超えている。若者を将来に残したいというゼレンスキー大統領の気持ちは理解できるが、ロシアがステルスで国全体を動員しているのが事実だ。プーチン大統領は、一時停止すれば新たな軍隊を構築する時間が得られることを知っている。したがって、イギリスが 1939 年と 1941 年に行ったように、おそらくウクライナの動員規模を再評価する時期に来ているのかもしれない。(訳者注:ウクライナ軍兵士の平均年齢は43歳と言われています。)
ウクライナのプラウダ紙との最近のインタビューで、エコノミストライターのシャシャンク・ジョシ氏も同様の発言をした。
Q: 海外でのウクライナ兵士の訓練を強化するためのリソースはありますか?
A: 現時点での最大の課題の 1 つは、まず第一に、より多くの若いウクライナ人を動員できるようにすることだと思います。ご存知のとおり、これは課題であり、政治問題であり、社会問題でもあります。
ウクライナの人口動態を見ると、英国の声明に示された無知が明らかになる。
1980年代後半にソ連が解体すると、ウクライナ経済は低迷した。人々は突然極度に貧しくなり、働ける仕事がなくなった。したがって、彼らは子供を産むことを控えた。戦争が始まると逃げ出した人もおり、戦争で命を落とした若者もいた。
現在、40歳のウクライナ男性は約30万人いるが、25歳の男性は10万人にも満たない。
その生殖年齢に達する男性と女性が非常に少ないため、新生児もわずかしか存在しない。ウクライナにとって独立は社会人口学的大惨事であり、今後100年間この国を悩ませることになるだろう。
ウクライナ軍は若い人材がいないため、若い兵士を徴兵することができない。今もキエフにたむろしている数千人は実際には大学生で、彼らの知識と奉仕は今後数十年にわたって必要とされるだろう。彼らを徴兵すれば、ウクライナがまだ持つかもしれない前向きな展望をすべて潰すことになるだろう。
米国の命令を受けたウクライナ政府がロシアとの和平に失敗した後、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は軍隊にウクライナの「非軍事化と非ナチス化」を命じた。そのとき、土地を奪うことではなく、ウクライナ軍の消耗がロシアの主な計画であることは明らかだった。
ウクライナの政治・軍事指揮部はそれを正しく受け入れられなかった。保持可能な戦線の背後で防衛モードに入る代わりに、軍隊にロシアの防衛線を何度も攻撃するよう命じた。その結果、ロシアの損失は最小限にとどまったが、ウクライナの損失は想像を超えていた。
これが悲惨な結末を迎えることは十分に予測できた。
それは終わった。ウクライナとその背後にいる大国は戦争に負けた。
ロシア軍は現在、前線全体に沿って探りの為の攻撃を行っている。ウクライナの地元防衛線が破綻するのは時間の問題だが、彼ら(ロシア軍)は突破して新たな陣地を張るだろう。そこから漏れ出た水滴は小川となり、川になり、洪水となり、ウクライナ軍を完全撤退に追い込むだろう。
ウクライナ政府とその支援者はまだそれを阻止できる。
しかし、それには現場の事実を認める必要がある。
もっと若いウクライナ人に徴兵されて死ぬよう求めるのは、その反対だ。
(和訳終了)