ウクライナでの戦争に対する西側諸国からのロシアへの非難と比べ 今、パレスチナのガザで「民族浄化」を行っているイスラエルに対しては西側諸国は 全く非難もせず、「正当な自衛権を行使している」という立場です。

 

私が思うに、それが酷い”ダブルスタンダード”ですので、今回は国連やその附属機関が発表している公式の数字を基に、ウクライナでの戦争とイスラエルーハマスの戦争での民間人の死亡を比較してみたいと思います。

 

まずは 西側諸国からロシアが一方的に非難されているウクライナでの戦争での民間人の死亡者数ですが、このリンクに国連が発表している最新(9月24日時点)での19ヶ月間の数字がありますので、それを見てみます。

ウクライナの場合、本格的な戦争が2022年2月24日に始まって以降も、ウクライナ軍は東部ドンバス地域への砲撃やミサイル攻撃を続けていたり、特に初期の頃は 一般市民を避難させずに学校や病院を基地代わりにして民間人を盾にしていたので(アムネスティ・インターナショナル等も指摘している)、下の数字の中には そのような方も もちろん含まれています。

 

民間人の死傷者数の合計

ロシア連邦による大規模な武力攻撃の開始を示した2022年2月24日から2023年9月24日までに、OHCHRは国内で27,449人の民間人の死傷者を記録し、そのうち9,701人が死亡、17,748人が負傷した。これには以下が含まれます:

死傷者が発生した時点で、

政府支配地域では22,188人の死傷者(7,550人が死亡、14,638人が負傷)が発生した。
ドネツク州とルハンシク州:死傷者10,611名(死亡4,287名、負傷者6,324名)。そして
他の地域2 : 死傷者 11,577 名 (死亡 3,263 名、負傷者 8,314 名)。
 

ロシア連邦占領地域では5,261人の死傷者(死亡2,151人、負傷者3,110人)が発生した。
ドネツク州とルハンシク州:死傷者3,620名(死亡805名、負傷2,815名)。そして
他の地域3 : 死傷者 1,641 名 (死亡 1,346 名、負傷者 295 名)。

 

2022年2月24日~2023年9月24日の合計578日間で9,701人の民間人が死亡している ということで、民間人死亡者数9,701を日数578で割ると、1日あたり約16.8人の民間人が死亡していることになります。

 

 

次に、西側諸国が「自衛権を行使している」と言って強く非難をしていないイスラエル軍がパレスチナ人をガザで殺している数を下に示します。データはやはり、国連がこのサイトで公開しているものですが、向かって右側が殺されたイスラエル人の数で、

左側がパレスチナ人の数です。

 

 

この本格的な戦争が始まったのが10/7からですが、このデータが集計された10/22時点の16日間だけで、すでに殺されたイスラエル人の数(1,400名以下)の3倍のパレスチナ人(4,651名)が殺されています。

 

しかも、上の数字にはイスラエルが無差別なガザへの爆撃で瓦礫の下敷きになっているガザでの行方不明者(行方不明が1000名以上いる状態)が含まれていません。

ですから、殺されたパレスチナ人の数の実態は上の数字よりも多いものと思います。

 

16日間で4,651名のパレスチナ人が殺されているわけですから、死亡者数を日数で割ると、1日で約290.7人ものパレスチナ人を

イスラエル軍は殺していることになります。

 

上のデータではウクライナでのデータと違って、民間人と「ハマス」の区別がないことにお気づきでしょうが、同じページには

「死者の62%が女性と子供」だと書いてあります。

ですから、「1日に死亡しているパレスチナ人約290人のうちの180人は女性と子供」ということになります。

 

これはガザの人口の50%が18歳未満であり、ハマスの戦闘員は 塹壕やトンネルに通常はいるので、イスラエル軍がガザを爆撃するたびに、死亡する人の大半が民間人になってしまう為、実際は「ハマスの戦闘員ではない一般のパレスチナ男性」まで入れると、1日180人どころではなく。おそらく1日に200数十人は 民間人のパレスチナ人をイスラエル軍がガザへの無差別絨毯爆撃で殺しているのであって、塹壕や地下トンネルがあるハマスの戦闘員は1日で数名とか多くても十数名しか死んでいないはずです。

 

このように ウクライナでの戦争で死んだ1日あたりの民間人の数(ウクライナ軍が殺している人数も含めて16.8人)とガザ地区で死んでいる1日辺りのパレスチナ人の民間人の数(200人以上)を比べると、イスラエル軍の残虐性や彼らが行っている行為が明らかに「民族浄化」に値するものであることが際立ちますし、それを非難せずに「自衛権を行使している」と言っているアメリカやEU等が如何に 自分たちに都合の良いダブル・スタンダードでロシアだけを非難しているかが分かります。

 

ちなみに、国連もイスラエルが今回ガザのパレスチナ人に対して行っているのは「民族浄化」だとはっきり認めています。

 

 ↓

国連専門家、パレスチナ人の大規模な民族浄化の新たな事例を警告。

即時停戦を呼びかける

 

そして、10/16にロシアが国連の安全保障理事会で提起した「即時停戦」の決議案に対して、反対票を投じたのが 米英仏の常任理事国と日本でした。

その2日後の10/18に 今度はブラジルが提起した「完全かつ安全な活動を可能にする人道的一時停止を求める決議案」に対しては人道支援の為ということで「即時停戦」に反対した日本とフランスも賛成に回りましたが、それでも唯一、「人道的一時停止」にまで反対票を投じたのが米国です。(英は棄権し、露は決議案が停戦には弱すぎるとして棄権)

 

ホロコーストやジェノサイドについて研究しているアメリカの大学のユダヤ人の歴史家(ラズ・シーガル氏)でさえ、ガザのケースは「教科書的な事例の大量虐殺」だと言っています。 ↓

 

 

 

最後に、正論すぎるコメントをTweetされている、マレーシアの元首相のマハティール氏の言葉をご紹介します。

 

バイデン政権を「嘘つき」だと言い、ネタニヤフ政権については「殺人政権」と厳しく断罪しています。

アメリカからの毎年のイスラエル軍への資金支援、軍事支援さえなければ、イスラエルが 今のように 国際社会から罰を受けることもなく「大量殺人」を行うことはできなかったはずだ とおっしゃっています。

 

 

 ↓

嘘と欺瞞の

1. ガザの病院爆撃はパレスチナのロケット弾が不発だったことに関するジョー・バイデン大統領の声明はまったくばかげており、不合理である。

2. 殺人政権は先週からパレスチナ人とガザを消滅させようとしていたのだから、なぜアル・アハリ・アラブ病院の爆発がイスラエルの空爆によるものであるかについては疑問の余地はない。

3. 実際、イスラエルは過去70年間、パレスチナ人を完全に殲滅とは言わないまでも常にパレスチナ人を追跡していた。そして今突然、昼夜を問わず空爆を開始した後、パレスチナ人は病院への爆発について非難している。

4. バイデンの話はネタニヤフと国防総省からのフィードバックに基づいている。

5.明らかにネタニヤフはすべてについて嘘をついている。そして、もしバイデンが自分の言説に信憑性を与えるために国防総省を利用したいのであれば、我々は国防総省や他のアメリカ機関がイラクにおける大量破壊兵器(WMD)の存在についてどのように嘘をついたかを忘れてはいない。

6. より最近の嘘は、ハマスが赤ん坊を斬首している写真を見たとバイデンが主張したことに関するものである。

7. 実際、ホワイトハウスはそのような行為の証拠が存在しないことを認めて声明を撤回した。問題は、そもそもバイデンがどうやって真顔で露骨に嘘をつくことができたのかということだ。

8. 問題の核心は、イスラエルがパレスチナ人に対して犯したこれらすべての残虐行為は、アメリカのテルアビブ支援に由来しているということである。

9. もしアメリカ政府がイスラエルへの支援を撤回し、政権へのあらゆる軍事援助を停止すれば、イスラエルはパレスチナ人の大量虐殺や大量殺人を 処罰されずに実行することはなかっただろう。

10. 米国政府は白状し、真実を語る必要がある。イスラエルとそのイスラエル国防軍はテロリストである。米国はテロリストをあからさまに支援している。では、米国とは何でしょうか?

マハティール・ビン・モハマド博士
2023 年 10 月 19 日