イスラエルから食料や水、電気の供給を停止されて人道的な危機的状況に陥っているガザについてですが、ようやく、エジプトとの国境の検問所が短い時間のみ開放されて、まず10/20、20台のトラックのみが通過を許され、10/22には17台のトラックが通過を許されたようです。

 

しかし、230万人もいるガザのパレスチナ人への人道支援物資を運ぶのに たったトラック20台分のみでは足りず、毎日、1日あたり100台は通過させないと足りないと国連は言っています。

 

イスラエルでは国民の国外脱出が相次いでいます。イスラエルのメディアの報道では国民の28%が海外への移住を検討している と、このハマスとの本格的な戦争の前時点で報道されていました。

 

28% of Israelis considering leaving the country amid judicial upheaval — poll

(司法の混乱の中、28%のイスラエル人は国を出ることを考えている)

 

しかも、この28% という数字は今年の7月28日時点での記事ですので、すでにハマスとの本格戦争が始まる前から、ネタニヤフ政権に対する司法制度改革等に関する不満で、すでに国外に逃げたい と思っていたイスラエル国民が多かったことになります。

今現在の数字だと、50%のイスラエル国民が海外移住または避難を考えている という情報も Youtubeの「越境3.0チャンネル」の石田和靖氏が在日イスラエル人から直接聞いた話として、ありました。海外移住してもすぐに仕事が見つかりそうな専門的な知識やスキルを持つ優秀な方ほど、どんどん国外脱出していくと思います。

 

そして、今現在のイスラエルの状況が 内戦が始まる直前の時のウクライナの状況に似ている と言っているフリージャーナリストの方がおられます。(下のyoutubeビデオに登場されているダン・コーエン氏という方です)

 

 

 

 

(上の写真:独立ジャーナリストのダン・コーエン氏)

 

コーエン氏の話では イスラエルの今の状況は 内戦が始まる一歩手前のような状況とのことです。

アメリカ生まれでマー・カハーナという90年代に殺されたラビ(「ラビ」はユダヤ教の指導者のこと)の熱心な信奉者たちがイスラエルにいて、それはウクライナの「アゾフ連隊」のイスラエル版のような人たちで、イスラエルでは「カハーニスト」と呼ばれる故カハーナ氏の信奉者たちです。(ウクライナに例えれば、ナチス協力者の故ステファン・バンデーラの信奉者たちのようなもの)

 

マー・カハーナはイスラエル政府が今やっていることの”イデオロギー的な父"であって、ウクライナのアゾフのような活動をやっており、その「カハーニスト」のメンバーが現在「国家安全保障大臣」を担っており、警察のトップとして大量の武器をイスラエル市民に配布している ということのようです。

 

(上の写真:イスラエルの国家安全保障担当大臣と大量の武器を市民に配布し続けている というSNSへの投稿)

 

そして、武器を配布された市民はウクライナのアゾフのような民兵組織を結成し、それが正規軍と協力しています。(ウクライナでも やはり「アゾフ」や「右派セクター」等の極右民兵組織が 後にウクライナ領土防衛隊、正規軍と合体したので、それに近い状況)

 

情報大臣はちょうど、国家安全保障大臣の命令の下で「国家のモラルに害を及ぼしている」と非難されたイスラエル国民は誰でも逮捕できるという立法を通過させたばかりなのだそうです。

だから、現在のイスラエル政府は(政府にとって)間違った意見を持つイスラエル国民を逮捕でき、そして、武器を極右民兵組織に渡すことができます。

 

私(ダン・コーエン氏)は ただの「反シオニスト」の国会議員のオファ・カシーフという名前の方に実際にインタビューを行いましたが、彼は 極右の「カハーニスト」にとっては「イスラエルで最も憎まれている男」となっています。彼の話によれば、イスラエルでは内戦がやってくるだろう と言っています。

 

(上の写真:極右民兵組織を止めなければ、イスラエルで内戦が起こると警告しているイスラエルの国会議員カシーフ氏)

 

以下、カシーフ氏の呼びかけ

 

「ファシストの民兵たちを止めるために、もしあなたが今何かをしなければ、私たちがこれから見るものと比べて、これまで見てきたものは何もないに等しいのです。
イスラエルはヨルダン川西岸やガザだけでなく、イスラエルの通りの北から南まで(血で)赤くなることを促すでしょう。
大量の血がそこに流れます。
もしあなたが彼らを止めなければ、壁の文字はすでに血で赤く染まっています。もしあなたが何かをしなければ、近いうちにあなたはイスラエルで繰り返される別の内戦を見ることになります。」

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以上が、ビデオの一部ではありますが、重要な部分を和訳して掲載してみました。

 

もちろん、イスラエルの国民全員が極右のシオニスト というわけではありません。

中にはシオニズムとシオニストに反対し、パレスチナ人と和解し平和を望んでいるイスラエル国民も かなり少ないながらもいるのですが、ウクライナの「アゾフ」のイスラエル版のような「カハーニスト」にとっては パレスチナ人と同様に、反シオニストのイスラエル国民も憎むべき攻撃の対象となっています。

 

そのような中で起こった事件が10/5のアルアクサ・モスク襲撃事件です。800人を超える過激なシオニストたちがモスクに巡礼に来ていたパレスチナ人を襲って暴力を奮ったり、パレスチナ人の商店を襲撃したりしました。それはイスラエル警察、軍隊の保護下で行われたパレスチナ人に対する暴力、ムスリムへの冒涜です。

 

これも2014年クーデター以降のウクライナの状況と少し似ていて、「オデッサの悲劇」は平和的にデモをしていた親露派のウクライナ人たちがネオナチや極右フーリガンによって襲われて逃げ込んだ労働会館ビルで、建物に火炎瓶を投げ込まれて生きたまま焼かれる等して合計48名もの方が犠牲になりました。

 

それ以降、現在も 親露的なウクライナ人やジャーナリスト、政治家が攻撃されたり行方不明になったりしているわけですから、そのようなことが イスラエルでも今後頻発する可能性があるということです。(そうなると、ますますイスラエル国民の多くは国外脱出するので、経済の崩壊→国の崩壊につながると思います。)

 

それなのに、西側メディアは「ウクライナは民主主義と自由の為に戦っている」とか、「中東の中で唯一の民主主義国家のイスラエルが卑劣なテロに対して自衛権を行使して戦っている」とだけ、言っています。

 

ですが、実際はウクライナには公の場で外国語を使う自由もなければ宗教の自由もなし、ロシア正教の聖職者は逮捕、ロシア文化禁止等を行い、全く軍事施設のないドンバスの市内中心部に砲撃を行って、ロシア系住民、親露派ウクライナ人への殺戮、迫害を行っています。

 

イスラエルはネタニヤフ政権が司法改革を行って、民主主義の根幹である「三権分立」を崩壊させて、裁判所の権限を小さくした「警察国家」にしてしまいました。「対テロ対策」の下にガザを無差別に爆撃しています。

今の戦争が始まる前でさえ、ハマスによって殺されたユダヤ人の約23倍もパレスチナ人を殺してきたことを正当化させています。

 

私はネタニヤフ氏の政党の「リクード」というのが そもそも「極右」だと、その政策からして見て思っていたのですが、実際はイスラエルでは「リクード」は「右派」ではあっても、そんなに過激ではない、まだマイルドな右派だと見られています。

 

もっと極右の危険な宗教シオニズム政党が2022年11月に行われた選挙では台頭して現在のネタニヤフ政権と連立を組んでおり、国家安全保障担当大臣になっているのであって、そのような状況下で、10年以上前からパレスチナ人全員を追い出したくて仕方がなかったネタニヤフ首相は ますます政治的に「極右」の方向に流れていたときに起きたのが かつての「飼い犬」だったハマスとの本格的な戦争です。