本日は 私が米国の議員の中で 数少ない、まともな議員だと思っている、ケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員のスピーチをご紹介します。

医師でもあるランド・ポール上院議員は Covid-19のパンデミックの時にアメリカ国立衛生研究所(NIH)の所長だったアンソニー・ファウチ氏に対してその起源や中国・武漢研究所への資金提供が行われていたことを激しく追求したり、マスクや外出禁止令にも異論を唱えたことで有名です。

 

私のブログでは 過去に彼の別のウクライナ支援に反対するスピーチや、世界からエリートが集まって”世界統一政府”が私達に押し付ける政策について話し合っている「世界経済フォーラム」への批判等を和訳してご紹介しています。

こちらのほうも ご興味のある方はチェックして下さい。

 

 

 

 

 

今回ご紹介するランド・ポール上院議員の演説はこちら↓です。ビデオのタイトルは「緊急ニュース: ランド・ポールがバイデン、上院、下院にウクライナ資金について厳しい警告を発する」です。

 

 

 

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私は、下院と上院の指導部と上院と大統領にに通告します。私はこれ以上、アメリカのウクライナへの援助に同意しません。
まるで、ウクライナに送る余分な資金がないことに誰も気づいていないかのようです。
 

今年の財政赤字は1兆5000億ドルを超えるでしょう。
中国から金を借りてウクライナに送金するのは意味がありません。
 

雨の日の資金が何兆ドルもポットの中で眠っているわけではありません。
それをウクライナに送ろうというのです。
ウクライナに送金するのではなく、借金をするのです。
借金をし、その支払いのために新たなお金を作ると、インフレーションを作り出し私たちの経済を苦しめます。


ロシアのウクライナ戦争が始まって以来、アメリカの納税者はウクライナに1130億ドル、2022年2月24日から戦争終結までの583日間で月平均68億ドル、つまり1日あたり2億2300万ドル。
他国で戦争を続けるために借金をする前に、この国で解決しなければならないことがたくさんあります。

援助要請はいつ終わるのでしょうか?
ウクライナの勝利とはどのようなものなのか、どなたか説明してください。

バイデン大統領には無理でしょう。
彼の政権は、この戦争における明確な戦略をはっきり話すことに失敗しています。
そして、ウクライナが待ち望んでいた反攻作戦は 東部で意味のある成果を上げることに失敗しています。

明確な終わりが見えない中、ウクライナはまたしてもアメリカの税金で賄われる、終わりのない泥沼になりそうです。

8月に行われたCNNの世論調査では アメリカ人の過半数が 議会がウクライナへの追加資金を承認することに今、反対しています。
そして今、上院には戦争で疲弊した国からの声に耳を貸そうとしない人々がいます。
ウクライナにさらに240億ドルを投入することで、連邦政府を人質に取ろうとしています。
「政府閉鎖を回避する唯一の方法はウクライナにもっと税金を投入することだ。」
彼らは政府を維持することと、ウクライナへの資金提供を増やすことを結びつけようとしているのです。
そして、私は彼らによる政府を閉鎖させるということに単純に同意するつもりはありません。

なぜなら彼らは稼いだ税金をウクライナにもっと送りたいからといって、アメリカ国民がウクライナでの終わりのない戦争に資金を提供するか、一党独裁が政府を閉鎖すると脅すか、だからです。
政府を閉鎖すると脅すのはこれは明らかな職務怠慢です。

アメリカ国民の代表としてあなた方もそれに耐えてはならない。
私たちのために提出される法案は他国の政府のものではないのです。私はウクライナへの資金援助を含む法案には同意しません。

選挙で選ばれた者として、私たちは我が国の安全と繁栄を促進する外交政策を追求する義務があります。
何十億ドルもの借金をウクライナ東部の肉挽き機工場に何十億ドルもの借金を注ぎ込むことでもありません。。
この紛争が長引けば長引くほど誤算や意図的なエスカレーションによって、米国がロシアとの直接対決に巻き込まれるリスクが高まります。ロシア軍は鼻血を出しているかもしれないが、モスクワは依然として世界最大の核兵器を保持しています。

米国がこの戦争に参加することにリスクがないふりをするのはやめましょう。
もしそれが十分に悪いことでないなら、我々には せっかく稼いだアメリカの税金が 無駄や不正、濫用の餌食にならないようにする効果的な監視体制がありません。

私は1年以上前から特別監察官を任命するよう要求してきました。
アフガニスタンにも一人いるが、経済学者とそのチームにいる技術者からなる彼のチームは何十億ドルもの無駄を発見し、節約しました。ウクライナでも同じことが必要だ。

上院で採決に持ち込まれたとき、多数の党はノーと言いました。
我々は金を使いたいだけです。
共和党の中にもこれに同調して監察長官に反対票を投じました。
海外でお金を使っていることを確認しないのは、ひどい支出権限の乱用です。

だから、膨大な戦費に加えて、汚職税を払うことになる。ウクライナは地球上で最も腐敗した国のひとつである。ウクライナには腐敗が根深く、ロシアがウクライナに侵攻して以来、汚職が横行しています。

ゼレンスキー大統領がニューヨークに降り立ったとき、今週初め、我々は次のことを知りました。
ウクライナ国防省の汚職問題で6人の国防副大臣が解任されました。
これは国防相オレクセイ・レズニコフ国防相の解任から2週間後のことです。国防省が軍事を誤って処理していたことが発覚したのです。

先月、ゼレンスキーは、国防省に所属する24人の地域軍募集チーフを解任しました。
私腹を肥やすことを含む違法行為に関与していたためです。
昨年10月、我々は米国のグレネードランチャー、ライフル銃 防弾チョッキ、何千発もの弾薬が犯罪組織の手に渡っていることが分かりました。また、兵器密売業者は上院議員のひとりの人道支援団体を装っています。

彼らは我々の金を盗んでいないかを確かめる特別監察官に反対票を投じました。
私たちは何をしているのでしょうか?
何百万人ものアメリカ人か日々のやりくりに精一杯で、家族に食卓の食べ物を並べるのに苦労しているのに、正直に有権者の目を見て、「これは彼らのお金の良い投資です」と言えるでしょうか?

ウクライナの戦争は民主主義を守るための戦いだと言う人もいます。
しかし、そう言う人は自分に正直になる必要があります。

ウクライナは民主主義の輝かしい見本とはほど遠いのです。戦争の緊張がある中、政府の行動には疑問が残ります。私達は戦争が終わった時、彼らと一緒に暮らさなければならないのです。

戦争が終わればアメリカは決まり文句の、「民主主義を支持し世界に平和を作る」という私達の中にいる、ウッドロー・ウィルソン擁護論者たちはアメリカの富の最大の受益者たちです。(訳者注:ウッドロー・ウィルソンは第28代アメリカ大統領で、アメリカ合衆国が「民主主義を標榜し国内外の政治体制の変革を追求することを使命と見なす」という「ウィルソン主義」を外交政策の指針にした人物です)

ウクライナは次期大統領選挙を中止しました。
私達は選挙をしない国に1000億ドルも送ることになります。

大統領を終身雇用している国に1000億ドルを送るのです。私は「それは難しい」と言えます。
アメリカの南北戦争を覚えているでしょうか。600,000人が亡くなったが、選挙の機会を我々は逃しませんでした。
彼らは大統領選挙を中止しました。
その対応として、われわれの援助も中止すべきです。
 

ウクライナで起きている問題はこれだけではありません。
ゼレンスキーの魅力的な攻勢にもかかわらず、今週、彼の行動は精査に値します。国家安全保障上の懸念があるからです、
ゼレンスキーは、ロシア正教を志向する正教会を禁止し、ウクライナの法執行機関に教会を襲撃し、聖職者を逮捕するよう命じました。

彼は政治的野党を追放しました。選挙を行わず野党を追放した。
どのように民主主義を行うのでしょうか?
ウクライナ議会第2党であり44議席を占めていた政党を含む、11の政党を活動停止処分にしました。


野党メディアを禁止し言論の自由を攻撃してきました。
ジャーナリストに対する政府の規制力を強めることで、言論の自由を攻撃しています。

それは決して民主的だとは私には聞こえません。
今年初め、彼はウクライナのすべてのメディアを規制できるようにする法律に署名しました。
ウクライナ放送評議会は、強制的な命令を課すことができる。罰金を科すことができる。
また、裁判所の判決なしに、メディアを停止することもできる。

私には、非常に民主的には聞こえません。
もしあなたがこのような行動を望むのであれば、権威主義政権の行動のように聞こえます。

この7月、スイスの情報機関が権威主義的な特徴を報告しました。
キエフのヴィタリ・クリチコ市長を 戒厳令を理由に、ウクライナの2024年の大統領選挙の候補から外そうとしています。
それらの選挙は行われないだろうと述べた。
戒厳令、選挙禁止 、野党禁止。
 

あなたの1000億ドルは消え、まだ終わっていません。我々には金がありません。
ウクライナに送金するために、中国から借りてウクライナに送金しています。
2021年、ゼレンスキーは ゼレンスキーの大統領選の重要な支援者だった、ウクライナのオリガルヒを調査したことを理由に、首相を含む複数の政府高官を解任しました。
米国はこのオリガルヒに制裁を科しました。
今月初め、彼はついに逮捕されました。(訳者注:ゼレンスキー大統領の選挙時の重要な支援者でウクライナで逮捕されたのは

ユダヤ系オリガルヒのイゴール・コロモイスキー氏です。)


明らかにウクライナとその政権は民主主義の模範ではない。
しかし、これは単にウクライナが政府に関してどうであるか、どうでないかということだけではありません。
 

これはアメリカの利益と国家安全保障に関わることです。
この戦争が続く日々はルーレットを回すようなものだ。
ハルマゲドンで止まる可能性がある。
そして私たちは その特権のためにお金を払っています。


自国のことよりも他国のことを優先させ続けることはできない。
米国経済を破滅させることでウクライナを救うことはできない。
ロシアとの戦争によってウクライナを救うことはできない。


借金が増えれば増えるほど、私たちは弱体化します。

国家安全保障が脅かされているのです。
国家安全保障にとっての脅威は、まさに借金なのです。
海外に送金すればするほど、軍需品を枯渇させればさせるほど、事態は悪化します。

どんなにウクライナ人に同情的であっても、私達はアメリカ国民を第一に考えなければならない。そのために、私は同僚たちに
ウクライナの資金調達のために連邦政府を人質に取る、いかなる努力にも反対するよう、同僚議員に勧めます。
ありがとうございました。

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上の演説の中にある「ウクライナへの支援のために連邦政府を人質に取る」というのは 今年の10月以降から始まる来年度の予算について、承認をこの9月中に行う必要があり、もし予算が成立しないと、10月1日から連邦政府の機能が停止してしまう恐れがある ということのようです。

(詳しく知りたい方は下のチャンネル桜の経済評論家、渡邉哲也氏の解説をご参照下さい。)

 

 

 

ただし、ウクライナへの軍事支援はその予算とは別立てで 仮に連邦政府が止まっていても、そして議会の承認がなくても、送れるようにもなっている との記事も見ました。

Pentagon Exempts Ukraine Operations from Potential Government Shutdown

(米国防総省はウクライナでの作戦を政府閉鎖の可能性から除外)

 

また、ウクライナへの追加支援に反対の署名を提出した議員がわずか28名 とも聞きましたので、米国議会議員のまだ大多数は 庶民の生活が苦しかろうが、何だろうが関係なく、ロシアへの代理戦争を煽るほうが重要 という立場です。

 

最近、私はよく思うのですが、今の西側諸国の言う、美しい「民主主義」というのは 「ただ申し訳程度に選挙を行っている」というだけのものであって、本当に意味のあるものなのだろうか?と感じます。もちろん、選挙は必要ですが、その選挙に2019年米国大統領選挙のように郵便投票等を使ったあからさまな不正があればお終いだし、票の数を数える機械も操作されてしまえばお終いです。

 

また、選ばれた議員は「国民の代表」であることを忘れてしまって、多額の献金をくれる企業や団体のほうしか見ておらず、選挙中だけは美辞麗句で色々な公約をたくさん挙げていますが、それらは嘘で、ほとんど守られたこともありませんね。

 

国際政治アナリストの伊藤貫氏もチャンネル桜の討論番組で同じようなことを言われていたのですが、民主主義の原則である「多数決」で必ずしも良いリーダーが選ばれるとは 限らない ということもあります。

なぜなら、今のように メディアが意図的に嘘情報、プロパガンダを流して国民を洗脳した場合、国民は その偏った嘘情報を基にして、選挙で代議士や大統領を選ぶことになり、それが健全な民主主義と言えるのか という問題が出てくるのです。

 

日本は大統領制ではなく議院内閣制なので、国のリーダーである首相を選ぶのは代議士です。しかし、小泉純一郎氏が2005年8月にやった「郵政解散」の時のマスコミに煽られた劇場型選挙と、それに釣られた国民の熱狂ぶりは何だったのでしょう。

国民が良いと思って投票した当時の自民党の小泉政権でその後に起こったことは 郵政民営化だけでなく、竹中平蔵氏を中心にして勧めた「製造業への派遣の解禁」での労働者の雇用の不安定化と貧困化や、大規模店舗法の改正による商店街潰し等でした。

「国民の熱狂」は ほぼマスコミによる誘導、プロパガンダによって作られているのであって、そのような状態で選挙をやると 一過性のポピュリズムでとんでもない方向に政治や外交政策が動いてしまう という悪い事例があの「郵政選挙」ではないでしょうか。

 

また、当選したというのを勝手に「お墨付き」だと思って、その後は何をやっても良い というように 首相や閣僚が振る舞い、竹中氏のようなグローバリストが中心メンバーとして参加した政府の諮問会議で議会での議論も採決も経ず、閣議決定のみでどんどん政策が決まるようになりました。これは「独裁」と言わずして何と言うでしょうか?

 

だから、政治家が「当選後は何をやってもよい」と勝手に思ってそれを実行している今の民主主義では「多数決が必ずしも良いとは限らない」ということです。特に今の日本のように、選挙の投票率も低く死票が多く出る小選挙区制度では、宗教票や大政党の組織票が有利となり、そのおかげで当選すれば、「お墨付き」を与えられた と彼らは勘違いして、やりたい放題のことをやります。

 

それが「視察」という名のフランス旅行ではしゃぐ女性議員たちのような、「彼らの議員としての存在価値が本当にあるのか?」と疑いたくなるような無能議員が 日本で大量に生まれている背景にあります。