ニジェールでのクーデターに続いて、西アフリカのガボンでも8/30、大統領の警護官や軍隊によるクーデターが発生しました。

 

色々と情報を見る限り、ニジェールのクーデターとガボンのクーデターは背景がよく似ており、今回いくつかの情報をご紹介したいと思います。

 

まず、ガボンの位置ですが、下の地図で確認して下さい。西アフリカにあり、東側にコンゴ、北に赤道ギニアとカメルーンが国境を接していることが分かります。

 

 

ガボンもかつてフランスの植民地だったところで、1960年8月に独立したものの、他のフランスの旧植民地国と同様、植民地時代の通貨、CFAフラン(中央アフリカCFAフラン)を使用しています。人口は228万人の貧しい国ですが、石油とマンガンが取れるので国家の収入は石油とマンガンに依存しています。

 

ガボンでは親仏のアリ・ボンゴ大統領という方が大統領を務めているのですが、この国ではつい先日、大統領選挙が行われたばかりで、現職のアリ・ボンゴ大統領が64%ほどの得票率で3選を果たした と公式に発表した8/30に クーデターが発生しました。

 

(上の写真:自らに投票するアリ・ボンゴ大統領。3選を果たしたと発表したばかりのタイミングで拘束された)

 

クーデターを起こした大統領の警護官と軍人たちは 国営テレビに出演し、選挙結果は取り消され、追って通知があるまですべての国境は閉鎖され、国家機関は解散されたと述べました。

 

現職のアリ・ボンゴ大統領は 父親のオマール・ボンゴ氏も 1967年から長きに渡ってガボンの大統領だった方で、2009年に6月に亡くなった後は 息子であるアリ・ボンゴ当時国防大臣が選挙で当選し、大統領になりました。ですから、父・息子と56年もの間、権力の座にいるのでガボンは事実上の「ボンゴ王朝」だと言われていました。

 

そして、クーデター発表後のガボン国民の反応ですが、私がネットでチェックした限りにおいては クーデターを支持する人々が多く通りに出て軍人たちへの支持の姿勢を見せています。

 

 

今回クーデターを起こしたのが大統領の警護官や軍人だったというところもニジェールのクーデターとそっくりですし、多くの国民が支持している というところも似ています。

 

各国のこのクーデターに対する反応ですが、もちろん、一番強く非難しているのはフランスです。

フランスはガボンに370名の兵士を駐留させています。

 

下はフランスの政府報道官のコメント。

「我々は軍事クーデターを非難し、自由で透明な選挙への私達の責任を呼びかけます。」

 

ナイジェリア大統領兼西アフリカ地域ブロック ECOWAS 議長のボラ・ティヌブ氏のスポークスマンのコメント
「ガボンの社会政治的安定と、明らかに私たちの愛する大陸のさまざまな地域に広がっているように見える独裁的な伝染に深い懸念を抱きながら、ガボンの動向を非常に注意深く見守っている。
(ナイジェリアの)大統領は次のステップへの包括的な合意に向けて非常に緊密に連携し、アフリカ連合の他の国家元首との意思疎通を続けている。」

 

中国外務省の汪文斌報道官
「中国はガボン情勢の展開を注視し、ガボンの関係者に対し、国と国民の基本的利益に焦点を当て、対話を通じて意見の相違を平和的に解決し、できるだけ早く正常な秩序を回復するよう求める。ボンゴ大統領の身の安全を確保し、国家の平和、安定、全体的な発展を維持する。」

EU外交安全保障政策上級代表 ジョセップ・ボレル
「これが確認されれば、これは地域全体の不安定を増大させる新たな軍事クーデターとなる。
中央アフリカ共和国から始まり、マリ、次にブルキナファソ、今はニジェール、おそらくガボンという地域全体が非常に困難な状況にあり、間違いなく閣僚は…そこで何が起こっているのか、これらの国に対する政策をどのように改善できるか

を深く考えなければならない。」

ロシア外務省報道官マリア・ザハロワ
「モスクワは、アフリカの友好国の国内情勢が急激に悪化しているとの報告を懸念をもって受け取った。我々は引き続き情勢の推移を注意深く監視し、速やかな安定化を期待している。」

ホワイトハウス報道官 ジョン・カービー
「これは私たちにとって非常に憂慮すべきことです。私たちは今後も地域の人々の支持者であり、ガボンの人々の支持者であり、もちろん彼らの民主的統治の要求にも応えます。」
軍将校がこのような危険かつ無謀な措置を講じ、民主的に選出された政府の乗っ取りを試みる国がまた一つ増えたことは明らかに非常に憂慮すべきことだ。」

アントニオ・グテーレス国連事務総長
「事務総長は、ガボンの情勢の進展を非常に注意深く見守っている。基本的自由の重大な侵害が報告されている中での選挙結果の発表に深い懸念を示している。
選挙後の危機を解決する手段として現在進行中のクーデター未遂を断固として非難している。
事務総長は軍事クーデターに対する強い反対を再確認した。」

英国外務省
「英国はガボンにおける「違憲の軍事政権奪取」を非難し、憲政の回復を求めている。」

 

以上が 主要各国や機関の反応ですが(各コメントは米ロイター通信の報道から抜粋)、このガボンでのクーデターの背景にどの国の関与があるか というと、アメリカが やはり ニジェールでのクーデターのメンバー数人に軍事訓練を行っていたのと同様、このガボンのクーデターを行った軍人にも軍事訓練を行っていた との情報があります。

 

However, other reports claim that the Gabon coup is just Western imperialists eating their own as the junta leader, according to some, has been groomed by the U.S. and represents American interests:

But why did a pro-American general overthrow a pro-French president?

The leadership of the French intelligence DGSE explains this by the fact that, according to the Americans, the French authorities are no longer able to effectively protect the interests of the collective West, including the United States, in the territory under their control. Therefore, the White House decided to take the situation into their own hands and seize the initiative from the French.

 ↓ (上のリンク先ブログ記事の一部の和訳)

 

しかし、他の報道によると、ガボンのクーデターは単に西側帝国主義者が自滅しているだけであり、軍事政権指導者は米国に育てられており、米国の利益を代表しているとの見方もある。
しかし、なぜ親米派の将軍が親仏派の大統領を打倒したのだろうか?

フランス諜報機関DGSEの指導部はこれを、アメリカ人によれば、フランス当局は自らの支配領域においてアメリカを含む西側諸国全体の利益を効果的に守ることができなくなっているという事実によって説明している。したがって、ホワイトハウスは 状況を自らの手で解決し、フランスから主導権を奪うことを決定した。

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もちろん、アメリカではなくて中国やロシアが背後にいる可能性も無きにしもあらずですが、米国政府は 自ら アフリカで多くの政権を打倒してきたことを認めてもいます。

 

下のビデオによれば、議会で、マット・ゲーツ下院議員からの質問に答えて、米ペンタゴンは 過去10年間で50,000人のアフリカの民兵に対して軍事訓練を行い、そのうちのおよそ1%(500人ほど)が過去に11の政権の打倒に関与した と認めています。