アメリカがクラスター弾をウクライナに提供する と発表したとき、ウクライナ政府は そのクラスター弾を民間人がいるエリアでは使わない と約束した と言っていましたが、その約束は 早くも破られています。

 

ウクライナ軍が7/31と8/5、ドネツク市の中心部、軍事施設が全く何もないところにクラスター弾を撃ち込み、7/31には3名の民間人が、8/5には2名の民間人が死亡していますので、今回はそのニュースをご紹介します。

ロシアメディアのRTが伝えているものですが、Youtubeの戦況実況チャンネル、Military Summary 等でも クラスター弾に攻撃されたドネツク市内中心部のビデオがあります。

日本のメディアはこのウクライナ軍による、意図的に民間人を狙った戦争犯罪を報道もせず無視しています。

 

Ukraine attacks Donetsk with cluster munitions – authorities

 

(和訳開始)

 

ウクライナ、クラスター弾でドネツクを攻撃 - 当局
土曜夜の砲撃で民間人が被害を受けたと地元当局が発表した

 

 

ウクライナ軍がドネツク市内にクラスター弾を発射し、民家や大学などの民間人を攻撃したと報じられた。

ドネツク人民共和国の統合統制調整センター(JCCC)によると、土曜日の夜、155mmクラスター爆弾4発がドネツク市の中心部に撃ち込まれ、3つの地区で火災が発生した。クラスター弾は空中で爆発したという。

ドネツク経済貿易大学は砲撃の後、火災に見舞われたとドネツク市長のアレクセイ・クレムジンがテレグラムに投稿した。アパートの火災も報告された。

今回の砲撃は、月曜日にウクライナの砲撃で少なくとも3人が死亡、10人が負傷したことに続くものである。JCCCによると、この砲撃で近くの町でも民間人が死亡したという。

 

クラスター弾は民間人に壊滅的な影響を与えるため、100カ国以上で使用が禁止されている。クラスター弾は通常、空中で開き、数十から数百の子弾を放出するように設計されており、広範囲を爆薬で飽和させることができる。クラスター弾は不発率が高く、紛争終結後数十年にわたり、不発弾によるリスクを民間人に与える可能性がある。

 

ドネツクをはじめとするドンバスの都市は、西側諸国が支援したウクライナの首都でのクーデター後にキエフから離反した2014年以来、ウクライナの絶え間ない攻撃にさらされ、多くの市民の命を奪ってきた。数年にわたり、ウクライナ軍はキエフ周辺に厳重な要塞を築いた。2022年2月にモスクワがキエフに対して軍事作戦を開始した後、攻撃は激化し、多数の市民が死亡し、インフラに大きな被害をもたらした。

ドネツク人民共和国は昨年10月、ルガンスク人民共和国、ザポリージャ州、ケルソン州とともにロシアの一部となった。

 

(和訳終了)

 

 

「民間人に対してクラスター弾を使用しない」と約束していたはずのウクライナ軍が 7/31と8/5に クラスター弾を早速民間人のエリアに向けて撃った というこのニュースは 日本のメディアでは 報道しないだろうな・・・と思ったら、案の定、Googleで検索してみたら、私が確認した限り、記事が引っかかりませんでした。

 

代わりに出てきたのは「ロシア軍が2022年4月にドネツク州クラマトルスク駅に向けてクラスター弾のミサイルを発射し、避難しようと駅に集まっていた50名以上の民間人を殺害した」というウクライナ軍がやったことをロシア軍になすりつけた嘘のニュースです。

 

嘘ばかり報道している大手メディアのせいで、このクラマトルスク駅の事件がロシア軍がやったものであると思いこんでいる人も多いと思うので、ここで触れておきますが、この事件は いわゆる「ブチャの虐殺」と並んで、昨年4月に 大々的に報道された、ロシア悪魔化の為の嘘ニュースであり、このミサイルによる民間人50名殺害の真犯人は ドンバスを2014年以降ずっと攻撃し続け、民間人も殺し続けているウクライナです。

 

使われたミサイルはトーチカ・Uという旧ソ連製のミサイルでウクライナ軍が使っていたものでした。ミサイルの胴体部分にはわざわざロシア語で「(このミサイルは)子供たちのため(の贈り物です)」と書いてありました。ミサイルにロシア語のメッセージが書かれていたからロシア軍がやった という偽の証拠に仕立て上げたのですが、もしロシアがやったのなら、ロシア語で挑発のメッセージを書くなど、そんなバレバレの幼稚なことをする可能性は低いでしょう。

 

トーチカUは着弾する直前に弾頭と胴体部分が分離し、胴体部分が必ず弾頭の着弾地より少し手前に落下する構造になっており、弾頭の着弾地と、胴体部分の落下地点をつないだ線をずっと延長していった先のどこかにミサイルが発射された地点がある ということで、そのようにして直線で発射地点をたどると、ウクライナ軍で唯一のトーチカUの保有部隊である第19ミサイル旅団の基地があることを元国連の大量破壊兵器廃棄特別委員会主任査察官、スコット・リッター氏が指摘しています。

この件について、詳しくは田中宇氏のブログでご確認ください。

濡れ衣をかけられ続けるロシア

 

また、ミサイルの残骸にシリアル番号があり、その番号からも ウクライナ軍が保有しているミサイルだということが判明しています。(下のニュースにミサイルの残骸とシリアル番号の写真あり)

Стоит на балансе ВСУ: СМИ опубликовали серийный номер ударившей по Краматорску «Точки-У»

(タイトルの日本語訳:それはウクライナ軍の貸借対照表に載っている:メディアはクラマトルスクを襲ったトーチカUのシリアルナンバーを公表した)

 

この時、駅にはウクライナ側の避難指示で集まった避難民が4,000名もいて(ドネツク州はウクライナから独立を宣言した州ですが、クラマトルスクはまだウクライナ側支配エリア内にある)、そこにわざとウクライナ軍はミサイルを撃ち込み、ロシアに罪をなすりつけたのです。

このときに使われたのが 通常弾ではなく、クラスター弾だという疑いがあります。というか、西側のプロパガンダ・メディアが「ロシア軍がクラスター弾をクラマトルスク駅にいる避難民に対して撃ち込んだ」と報道しているので、この「ロシア軍」を「ウクライナ軍」へとそっくりそのまま入れ替れば、それが真実なのでしょう。

「ブチャの虐殺」も同様で、西側メディアの報道の「ロシア軍がやった」というのを ウクライナ軍とウクライナの治安維持部隊がやった というふうに入れ替えればそれが真実です。

 

(上の2枚の写真はこのビデオからのスクリーンショットです。)

 

 

クラマトルスク駅へのクラスター弾使用だけでなく、ウクライナ軍は分離独立を宣言したドンバス地区に対してクラスター弾を民間人への攻撃に使用しています。それは昨年2/24にロシアがウクライナへ侵攻する前からやっていた話で、人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチも報告しているものです。下の過去記事でご紹介しています。

 

 

そもそも、2014年以降、ずっと民間人も見境なく攻撃の対象としてきたウクライナ軍に対して「民間人を攻撃しない」という約束でクラスター弾を提供しても、その約束が守られる可能性はほとんどゼロなのであって、アメリカから提供された兵器で言うと、HIMARSなんかもドネツク市の中心部や民間人施設しか無い場所に撃ち込んで民間人をターゲットにして殺しています。

 

 

 

ウクライナ側による2014年からずっと続いている明らかな戦争犯罪を全く報道せず、事実を検証もせず、ただロシアだけを悪者にして、ウクライナがやった戦争犯罪までロシアになすりつけて悪魔化しようとしているのが日本も含めた西側の大手メディアなのです。