6/24に起きた、いわゆる「プリゴジンの乱」の後、ワグナーの兵士の大部分はロシア軍と契約を結び直し、クレムリンでは6月末、プーチン大統領は3時間に渡って、ワグナーの司令官たちやプリゴジン氏と会談したと報じられています。そしてその後、ワグナーが保有していた大量の装備品もロシア軍へと引き渡されました。
そして、ワグナーの兵士の一部はベラルーシへ設営されたキャンプへと移動しましたが、そこでベラルーシ軍に軍事訓練を行っているようです。プリゴジン氏は「ベラルーシ軍を世界で2番目に強い軍隊にする。そしてワグナーはアフリカへ戻る」と言っています。(ワグナーはアフリカのいくつかの国でも活動中なので)
この状況を 緊張感を持って観察しているのがベラルーシと国境を接しているポーランドです。
それは ワグナーの兵士配備された場所が ポーランドとの国境からわずか5キロ先だからです。
(上の地図のベラルーシの南西部にワグナーのシンボルマークがあるところ付近が ワグナーの兵士が配備されている場所)
ベラルーシ、ポーランド、ウクライナ、ロシアの位置関係は下の地図でご覧ください。ワグナーの兵士が配備されている場所が ポーランド、ウクライナとの国境に非常に近い場所だということが分かります。
一方、ポーランド軍も数千人をベラルーシとの国境近くに配備しています。
ワグナーのベラルーシ南部への配備とポーランド軍のベラルーシとの国境への配備、どちらが先に行われたかというと、ポーランド軍のほうです。ワグナーのベラルーシ南部への配備は7/20付のYoutubeの戦況実況チャンネル、Military Summaryで伝えていたものですが、ポーランド軍のベラルーシとの国境近くへの配備はロシアが昨年2/24から「特別軍事作戦」を行う前、2021年中東からの大量の難民がベラルーシを通過してポーランドに入国しようとしている ということで、その頃からベラルーシとの国境に多数の兵士を配備していて、その数も ロシアの特別軍事作戦以降、増強してきていました。
この動きに対し、ロシアのプーチン大統領は 「もしポーランド軍がベラルーシに侵攻してくれば、それはロシアに侵攻したと同じこととみなす」と言っています。
インドのメディアで、このベラルーシーポーランド国境付近で緊張が高まっている状況と、プーチン大統領の発言を取り上げていますので、ご紹介したいと思います。
元のビデオは↓です。 動画のタイトルは「プーチンはNATO加盟国に宣戦布告?"ロシアはベラルーシに対しての攻撃に対処する”」です。
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プーチン露大統領の発言
「しかしベラルーシに関しては連合国家(ロシアとベラルーシの間)の一部であって、ベラルーシへの攻撃はロシア連邦に対しての攻撃を意味する。私達はあらゆる手段を使ってこれに対処する。」
ベラルーシとの国境へのポーランド兵の増強はプーチンを怒らせた。
「ベラルーシへの攻撃はロシアへの攻撃だ」と警告するプーチン
「東側面を守るつもりだ」ドイツの防衛大臣がポーランドに保証。
ロシア大統領はNATO加盟国のポーランドが領土の野心を持っていることを非難した。
彼は同盟国ベラルーシに対しての攻撃はロシアに対しての脅威だと考えられるだろうと言った。
ウラジミール・プーチンの安全保障理事会のテレビ会議でのコメントが出てきた。
彼は「モスクワ(ロシア)はベラルーシに対しての攻撃に対し、あらゆる手段を用いて対応する」と言った。
プーチン大統領の発言
「ポーランド指導者はおそらく、”NATOの傘の下”で何らかの連合を結成し、ウクライナ戦争に直接介入することを期待しているのだろう」
「それは彼らが信じているように、彼らの歴史的領土、つまり今日の西ウクライナを取り戻すために、より大きな(領土の)部分を自分たちのために"引き剥がす"ためです。」
「彼らがまた、ベラルーシの領土に対する野心を持っているのはよく知られています。」
ワグナーの兵士がベラルーシに到着した一方で、ポーランドが1,000人以上の兵士を装備品と共に国の東に移動させた。
ワグナーの兵士は現在、ポーランドとの国境のほんの5キロ先の、軍事的に胸の先位のところでベラルーシ陸軍をトレーニングしている。
一方、ドイツの国防大臣、ボリス・ピストリウスは彼の国とNATO加盟国はポーランドが東側面を守る為の支援をする準備ができている と言った。
ドイツの国防大臣の大きな約束
「ポーランドのパートナーが必要なところに彼らはそれを受け取ることになるだろう。彼らはNATO加盟国であり、信頼できるNATO同盟国です。だから私達は自身を持って”私達は準備ができている”と言えます。」
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以上がビデオの内容となります。
ビデオのプーチン大統領の発言を見れば分かる通り、プーチン露大統領は あくまで「ポーランド軍がベラルーシとの国境を超えてきたら」行動を起こす と言っていますので、ポーランド軍が西ウクライナに侵入するだけでベラルーシには侵入しなかった場合には 軍事行動は起こさないだろうと私は思います。
領土的野心のあるポーランド軍が 西ウクライナに入ってくる可能性はかなり高いだろうと思いますが、ベラルーシにまで入ってくるかどうかは ベラルーシに戦術核兵器のミサイルが配備されたことも考えると、ポーランド軍にとっても大きなリスクになるでしょう。
また、ポーランド軍がウクライナやベラルーシに侵攻してきた場合、集団安全保障のNATO第5条の適用外となりますので、ドイツの国防大臣が言っているのは あくまで「ポーランド領土を守る為に支援する」と言っているだけです。
(ウクライナやベラルーシに入ってくるポーランド軍をNATO加盟国が守る必要はないし、NATOもその気はない)
ポーランド政府のロシア、ベラルーシへの敵対心剥き出しの外交姿勢が ウクライナの次に「ロシア弱体化」の為の代理戦争の道具にされる という可能性が高まっている というふうに私は解釈しています。
米の傀儡であってウクライナでのマイダン革命にも参加していた今のポーランド与党「法と正義」は 完全に米国に操られているのでしょうけど、末端のポーランド国民は そのように代理戦争のツールにされることは 必ずしも 望んでいない(米資本のメディアに騙されている人以外は)と私は思います。