私は 本当に腹立たしい気持ちでいっぱいなのですが、先日からの大雨による被害で、死者や行方不明者が出ているにも関わらず、NATO加盟国でもない日本の岸田首相が なぜリトアニアで行われているNATOサミットに出席したり、ゼレンスキー宇大統領と会談するのでしょうか?

 

NATO加盟国でもなく、NATOにも絶対に入れない日本が「準加盟国」扱いでNATOサミットに参加して、何の得があるのでしょう?古い在庫のトマホークミサイル等、アメリカの兵器をまた言い値で買わされる、ゼレンスキー宇大統領との会談では また勝手に経済援助や自衛隊の装備品援助等を約束していそうで怖いです。

 

日本の議院内閣制で首相というのは いつからそのような独裁ができるようになったのでしょう? また、岸田首相が独断で、大金や自衛隊の装備品を出していることについて、なぜ野党は非難しないのでしょうか? 国民に説明もなく、独断で資金援助をするならば、岸田家個人の財布でやってほしいものですね。

 

おかしいのは 立憲民主党とか共産党というのは あれだけ「憲法を守る」とか、「護憲」と言っているのですよ。なぜ明らかな憲法違反の自衛隊車両の提供や砲弾提供に対して何も文句を言わないのでしょう?

 

私が思うに それは 野党の国会議員も非常に勉強不足で ウクライナでの戦争がロシア軍がウクライナとの国境を超えた2022年2月24日から始まったのだ と思い込んでいるからです。しかし、NATOの事務総長、イェンス・ストルテンベルク氏も 「ロシアと2014年から戦争している」と言っています。当事者であるNATOの事務総長がそう言っているのですから、「NATOがウクライナを使ったロシアへの"代理戦争"を2014年からやっている」という認識が正しいはずですが、それを無視しているか、知らないかで、ロシアだけを非難しているのが 日本の与野党ほぼ全部です。(議員が一人しかいない参政党のみは「ロシアだけを責められない」という見解のようですが・・・)

 

 

昨年、まだウクライナ戦争が始まって1ヶ月位しか経っていなくて、日本のほぼ全体が「ウクライナ頑張れ!」「ウクライナに募金を!」と呼びかけていたとき、私の自宅の郵便受けに ばら撒かれた共産党のチラシが入っていました。

見ると裏側は青と黄色のウクライナの国旗が全面に印刷、表側はロシアを非難、ウクライナを応援する数々の言葉があり、演説会を開くとのことでした。私はそんな演説会には行っていませんし、ウクライナへの募金もしたことがありませんが、「憲法を守り、平和を追求」と言っているはずの共産党も 岸田首相にこの戦争の「和平の仲介役」になり、早く戦争を止めるべきだ という事を 一言も言わない というのはどうしたものでしょう? 結局は 共産党も 戦後からずっと続いている米一極支配の構造の中で、喜んで「属国」としての日本で居続けることを与党と共に受け入れている、「利権政治家」の一部に過ぎないのだな・・・と私は思いました。

 

NATOサミットに関しては 戦争を現在進行形で行っていたり、国内にその国の支配が及ばない、事実上の分離独立地域がある国は NATO加盟国の要件を満たさないはずなので、どう見ても ウクライナがNATOに加盟できない というのは初めから分かりきったことなのに、ウクライナの反撃作戦での大失敗から目をそらしたいのか、「NATOに加盟できないと言われて怒るゼレンスキー氏」という具合に、日本のメディアも ことさら「加入は無理」ということをドラマチックに取り上げています。 

 

色々な海外の評論家の意見を私がYoutubeで聞いていて、面白いな と思ったのは ウクライナがロシア軍を追い出せなくても、戦争が終わった後、NATO加盟国になる術があり、それがウクライナの「分割」だと言うのです。

 

その例が 旧西ドイツであって、西ドイツがNATOに加盟したのは1955年5月5日でした。その時にはもちろん、東ドイツが存在しており(東ドイツは1949年建国)、1956年、東ドイツは 西ドイツのNATOに対抗して、ソ連との軍事同盟であるワルシャワ条約機構に加盟します。

そして1989年のベルリンの壁崩壊、1990年の東西ドイツの統一により、東ドイツまで まんまとNATO加盟国へと飲み込まれてしまったわけです。

 

そして東ドイツがNATO加盟国になった際に、1990年、ソ連の当時のゴルバチョフ大統領やその他のソ連の高官に対し、アメリカは「NATOをこれ以上東には1インチたりとも拡大しない」と約束していて、それを破りました。↓

SOLUTIONS FOR THE UKRAINE CRISES (ウクライナ危機の解決法)から一部抜粋)

 

The ‘not one inch’ quote comes from a meeting on 9 February 1990 with Soviet leader Mikhail Gorbachev. The then US secretary of state, James Baker said: ‘not only for the Soviet Union but for other European countries as well it is important to have guarantees that if the United States keeps its presence in Germany within the framework of NATO, not an inch of NATO’s present military jurisdiction will spread in an eastern direction.’

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この「1インチたりとも」という言葉は、1990年2月9日のソ連指導者ミハイル・ゴルバチョフとの会談での言葉である。当時のジェームズ・ベーカー米国務長官は、『ソ連だけでなく、他のヨーロッパ諸国にとっても、米国がNATOの枠内でドイツに駐留し続けるなら、NATOの現在の軍事管轄権が東方方面には1インチも広がらないという保証を得ることが重要だ』と述べた。

 

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NATOは1インチたりとも東方へ拡大しないと合意した。

NATOは嘘をついた。

 

つまり、ドイツのこの例と同じように、ウクライナ東部+南部をロシアに占領(併合)されたままでロシア軍を追い出せなくても、 今戦闘の行われていないウクライナ中部、西部を分離独立させると、ロシア軍との戦闘が行われていなければ それがすぐにでもNATOに加盟でき、もしも 将来、ロシア軍が東部や南部、クリミア半島から、何らかの理由(「反ロシア連合」の願いでは『ロシアの経済崩壊、国の崩壊』)で出ていった時、「東ウクライナ」が「西ウクライナ」と合併して、東ウクライナも自動的にNATO加盟国になる という、東西ドイツの例に習った裏技的な(?)方法です。(下のビデオでの地政学の専門家Alexander Mercorious氏の意見では 過去の西ドイツのNATO加盟の例に習い、”分割”した西ウクライナがNATOに加盟することを検討しているのだろうと、議論されています。)

 

下のビデオのタイトルは「アナス・フォー・ラスムセンにはウクライナのため、NATOの計画がある」というものですが、アナス・フォー・ラスムセン氏は元NATOの事務総長、それ以前はデンマークの首相だった方で、最近良くメディアに登場しており、「ポーランド軍とバルト三国軍がウクライナに兵士を派遣するだろう」等と、NATOのより直接的な対ロシア戦争への関与に言及している方です。

 

 

 

当初、西側の反ロシア連合は ウクライナが「反攻作戦」によってクリミア半島も含めてロシア軍を追い出すだろう という大甘な前提の下に、戦争が終わればウクライナをNATOに加盟させる と言っていたわけですが、私が今までブログ記事で紹介してきたように、反攻作戦は ウクライナ側にとって「得るものは少なく、失うもの(兵士、装備、車両、戦闘機)がはるかに大きい」という大失敗、大惨事に近いものになっています。

 

そうなると、現在のNATO加盟国に近い、中央と西側のウクライナを守る という目的で、ポーランド軍を中心に、バルト三国(リトアニア、エストニア、ラトビア)の軍隊が入ってきて 西側+中央部のウクライナをNATOの事実上の保護下にする、あるいはその一部はポーランドに併合される という流れになって、戦争の「凍結」を提案して、朝鮮半島のような「非軍事境界線」を設定し、その東側にあるロシアが現在支配している東ウクライナから事実上切り離す可能性が高まるのではないかと思います。