日本のメディアでも報じられていますが、アメリカのサウスカロライナ州選出の上院議員、リンゼー・グラハム氏にロシアから逮捕状が発行されました。
もちろん、リンゼー・グラハム氏はウクライナのキエフに行くことはあっても、ロシアに行くことなど、絶対にないでしょうから、この逮捕状は象徴的な意味しか持ちません。
しかし、なぜ グラハム氏に逮捕状が発行されるまでに至ったか、そしてその後のグラハム氏の対応が失笑ものだったので、今回私のブログで取り上げたいと思います。
リンゼー・グラハム氏は3日間ほどウクライナのキエフに滞在し、5/28にゼレンスキー宇大統領と会談して、今後2,3週間以内にやるとウクライナが言っている「反撃作戦」が具体的にどのようなものになるのか等を聞き、アメリカの債務上限問題はウクライナへの兵器支援に何の影響もなく、これからも「無制限」に援助を続ける と言いにキエフに行ったようです。
そして そこで 2022年2月以来、アメリカがウクライナへの軍事支援の為に使ったお金、380億ドルについてお礼を述べたゼレンスキー氏に対して、「そしてロシア人が死んでいる。これまでで最高のお金の使い方だ。」とグラハム氏が言っているシーンがビデオに撮られてウクライナ政府のSNSに投稿されていました。
“…and the Russians are dying. That’s the best money we’ve ever spent.” — Lindsey Graham. pic.twitter.com/mzM5DUOd25
— Ian Miles Cheong (@stillgray) May 28, 2023
↓
「そしてロシア人は死んでいる。それは今まで使ってきた中で最高のお金だ。」ーリンゼー・グラハム
このグラハム氏の人間性を疑わざるを得ない、不謹慎極まりない発言にロシア政府が怒り、逮捕状発行 という動きになったのですが、それに焦ったのか、グラハム氏はウクライナ側によって発言が切り取って編集されたものがSNSに流された と今は主張しているようです。
↓はロイター通信のニュースです。
(和訳開始)
ファクトチェック-長い映像では リンジー・グラハムがロシア人の死亡を「これまで使った中で最高のお金」と呼んでいないことがわかる
キエフでのリンゼイ・グラハムの映像から、共和党上院議員が、米国がこれまで費やした最高の資金が "ロシア人の死 "のために使われたとは言っていないことがわかった。ウクライナ大統領府が公開した動画は、あるフレーズから別のフレーズに飛び移るように切り取られている。より長いクリップを見ると、2つの発言は会話の異なる瞬間になされたものであることがわかります。
このクリップは、5月26日にキエフでグラハム氏がウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した際に撮影されたもの(こちら)ですが、一見すると、グラハム氏が "and the Russians are dying" と言った直後に "the best money we've ever spent" という言葉が続いています。
ソーシャルメディア上の例は、(こちら)、(こちら)、(こちら)で閲覧可能です。
5月26日にウクライナ大統領府が共有した最初の編集は、"and the Russians are dying" という言葉の直後に "the best money we've ever spent" というフレーズが続くようにトリミングされていました。
しかし、ウクライナが投稿した長いバージョンでは、この2つのフレーズは会談の異なる、関係のない箇所で聞くことができます(こちら)。
会談中、ゼレンスキーはグラハムのキエフ訪問に感謝し、提供された軍事支援を賞賛した。グラハムは、これは "今まで使った中で最高のお金だ "と言った。
そしてグラハムは、侵略に抵抗するウクライナ人たちが「アメリカでのより良い自分たち」を思い出させると語った。アメリカではこのように、最後の一人まで戦い、自由になるか死ぬか、という時代があったのだ。"
"今、あなたは自由です "とゼレンスキーは言った。"そして、私たちはそうなるのだ"
グラハムは答えた: "そして、ロシア人は死んでいく"
米国の上院議員は、切り取られたビデオが拡散された後、モスクワから批判を受けた。ロイターの報道によると、ロシア内務省は彼を指名手配し(こちら)、ロシア安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長は彼を「老いた愚か者」と呼んだという。
メドベージェフの発言に対し、グラハムは5月28日、ロイターに電子メールで「いつものように、ロシアのプロパガンダマシンは懸命に働いている」と語った(こちら)。
(和訳終了)
会話はどこで切り取って編集するかで大きく意味が違ってきますが、そのように切り取られて編集したものをSNSにアップしたウクライナ政府にはグラハム上院議員は抗議しないのでしょうか?
しかし、切り取りがされていないバージョンのリンゼー・グラム氏の発言も「自由になるか、死ぬかのどちらかだ。最後の1人まで戦うべきだ」ということを促していますので、彼が ウクライナ人のことなど、全く考えておらず、ウクライナ人、ロシア人が殺し合いをしているのを まるで喜んでいるかのようにしか見えません。
プーチン大統領の暗殺を呼びかけたり、リンゼー・グラハム氏のロシア嫌いは頭がイカれているとしか、思えないレベルで、私は自分のYoutubeチャンネルでも彼のクレイジーな発言を字幕を付けたビデオで取り上げています。
そして、リンゼー・グラハム氏が今回キエフを訪問した理由が 1つは「反撃作戦」を早くやれ と促したことと、もう1つは
アメリカの債務上限問題は解決して、「軍事費には上限を設けないで国債を発行できる」と決めたので、これからもジャブジャブ兵器やお金を流し込み続けるから、安心しろ・・・と言いに行ったのだと見られています。
この最近上下院の間で解決した米の債務上限問題は その他の公共福祉等に使う予算には 厳しく上限を設け、唯一、軍事費だけは無制限に使う というものですので、中間所得層以下のインフレに苦しむアメリカ国民にとっては 何の助けにもならないばかりか、軍産複合体企業やそれに投資している投資企業、その株主ばかりが儲け、ますます貧富の差が広がるということを意味します。
米国債が破綻を免れた というのは 米国債を計1兆1040億ドルと、世界で一番、大量に保有している日本にとっては それが紙くずにならなくて良かったとは言えますが、今後も軍事費がウクライナに上限なく垂れ流されることが決定したわけで、そうなると、米の財政を支えるため、ますます日本に対して「国債を買え」 という圧力も高まるでしょうし、上限なくどんどん米ドルが発行されることで、アメリカはますますインフレになり、そのインフレを抑える目的ということで、米FRBは金利を今後も継続して引き上げていくことになるでしょう。
そうなると、日米の金利差で 今でも円安が進みすぎて輸入品の物価が上がっているのに、ますます円安が進行 ということが懸念されるのではないでしょうか。
アメリカがウクライナにこのように無制限にお金や兵器をつぎ込んでいることは 回り回って、それが日本の庶民にとっても 苦しい生活を強いられる ということになるのです。
そのようなことも何も考えずに、「ロシアが負けるまでウクライナを応援しろ」 と言っているネットの「ウクライナ応援団」の皆さんには 今までに日本政府が表明した、ウクライナへの3兆円近くの支援の他にも 間接的に 日本人のお金も 米国債を通してウクライナに注ぎ込まれ、日本人の庶民は 円安で今後も物価高に苦しむことになる ということを考えてほしいです。