私自身は日本の芸能界やジャニーズ事務所のタレントに全く興味がないのですが、若い方に限らず、現在50歳代の私の周囲でも ジャニーズ事務所に所属のタレントのファンが多く、コンサートに行ったり、追っかけのようなことをしている人もいます。
そのような方々にもぜひ見ていただきたいのが、先日の 岡本カウアンさんという、元ジャニーズJrにいらっしゃった方で、現在はブラジルで芸能活動をされているという、両親どちらもがブラジル人と日本人のハーフというタレントさんの外国特派員協会での記者会見です。
ごく一部の週刊誌以外は ジャニー喜多川氏が亡くなられた時のニュースでも 気持ち悪いくらいにジャニー氏の功績を持ち上げる記事や報道しかしなかった日本のメディアが ほんの少しばかり、岡本カウアンさんの記者会見を取り上げたようです。
この岡本カウアンさんの記者会見をYoutubeで見た後に、イギリスBBCで報道された「Predator: The Secret Scandal of J-Pop (J-POPの捕食者~秘められたスキャンダル)」もAmazon Prime で見ました。
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BBCのドキュメンタリーでは日本で取材をした記者が、かたっぱしから ジャニーズ事務所をやめた人たちにコンタクトを取って、取材させてもらえないか ということで、顔出しでの取材に応じたわずか3名からコメントを取りますが、驚くべきことは 実際に性的虐待をされたという元タレントさんも 「ジャニーさんのことは今でも尊敬しています。」とか「大好きです。」と言っていることです。そして、「売れるためならば仕方がないと思った」とか、「(自分は被害に遭っていないが)その行為を受け入れることで売れることが約束されるのならば、受け入れると思う」と語った人もいました。
それらの話を聞いたBBCの記者が 「とても信じられない」「なぜ?」という顔をしていたのが印象的です。
そして、自分の子供をジャニーズに入れたい と必死な親御さんも日本にはたくさんいて、そのような親御さんは おそらく 性的虐待の話を子供から聞いたとしても黙っている人が多数だろう ということです。
実際、岡本カウアン氏の話では 岡本氏だけでジャニー氏から計15~20回の性的虐待を受け、彼が思うには ジャニーズ事務所の合宿所に泊まったことのあるほとんど全員が被害者ではないかと疑っていることと、少なくとも4年間で100~200人は被害に遭っていたと思う という衝撃的な話がありました。しかし ジャニー氏の犯罪行為について暴露本を書いたのは元フォーリーブスの故・北公次氏、裁判で訴えたのが数人のみに留まっているというのは ほとんどの被害者がジャニーズ事務所の力を恐れて黙っている ということです。
ジャニーズ事務所ではタレントはグループでデビューするわけですがそのグループのメンバーを選出するのもジャニー氏、グループ名を決めるのもジャニー氏 ということで彼に歯向かったり拒否したりすれば 干されるとかデビューさせてもらえないのではないか という圧力も多くの少年は感じることになると思います。それで現在売れているタレントさんも含めて、多くの方がこの問題に口をつぐんでいると思われます。岡本カウアン氏の話の中でも 拒否したことでジャニーズ事務所を辞めたり(ジャニー氏の)マンションに来なくなる、仕事が減るなどした人もいた ということをおっしゃっています。
そして驚くべきことに、裁判で争って2004年に最高裁まで行ってジャニー氏側の上告が棄却されて敗訴が確定して「性的虐待は事実である」ということで賠償金120万円を払った後も あいかわらず少年たちへの性的虐待は続いていた ということです。
そして、それを「報道しない自由」で報道しないメディアと、歌番組だけでなく、バラエティーから報道番組に至るまで、ジャニーズタレントに頼るTV業界・・・。
日本の芸能界では 昔から闇の部分が大きくて、駆け出しの女優やタレントの”枕営業”とか、暴力団とのつながりがよくささやかれており、それらも真実ですが、今回の岡本カウアン氏の記者会見ではっきりしたことは 未成年者への性的虐待を人気芸能事務所のトップが長年やっていて、それをTVもマスコミも見て見ぬ振りしており、その事務所所属のタレントをTVで見ない日はない という位の権力のある事務所が隠蔽や圧力を加えていた ということです。これはジャニー氏個人の犯罪でもありますが、組織的な犯罪とその隠蔽と言ってよいほどの規模ではないでしょうか。
そして、また呆れるのが 一部のジャニーズ・ファンの反応で 岡本氏の記者会見の後も「そんなこと、とっくに知ってた。それでも(被害者)本人が受け入れたんなら、いいんじゃない?」という方もネット等で見る限り、いらっしゃることです。
本人がすすんで受け入れた というタレントさんも もしかしたら いらっしゃるのかもしれませんが、普通はそうではなく、今後のその少年の人生を左右するような優越的地位にある者が性的行為を迫ってきて、子供がその場できっぱり拒否できますか? ということなのです。
ジャニーズ事務所に入るタレントさんの中には ご家庭が貧しくて母子家庭で苦労された とかいう方も多いです。まだ少年なのに、稼いだお金で家計を支える一家の大黒柱になっていた方もおられます。そのように親の期待や家計を支えなくては という思いで入った芸能事務所であるならば、余計に 迫られても断れない という状況が出てくるはずです。ジャニースJrの間では半ば冗談のように「初体験がジャニーさんだった」という話をしていたりもしたようです。
岡本カウアン氏は今回勇気ある記者会見をされたわけですが、日本の芸能界ではなく、ブラジルで活動されている ということで
そのような思い切った行動ができたのだと想像できます。競合するような別の事務所の、ジャニタレよりも歌やダンスの上手いグループが過去に歌番組から呼ばれなくなった ということも実際に起きています。
権力者が小児性愛を好むというのは 数百年前の昔は 日本も世界も 普通にあったようですね。たとえば、戦国大名が戦に女性を連れて行けないので少年をお供に連れて行くとか、女性と性行為をできない僧侶がお稚児さんに性的行為をする ということが日本ではありました。しかし現代では 小児性愛には非常に厳しい目が向けられるようになっています。日本では性行為同意年齢が今年の2月まで13歳だったということで、海外からは年齢が低すぎると批判されていました。(今は16歳) ジャニー喜多川氏の事件では事実だと裁判所からも認定されているわけで、それでもTV業界、報道業界が取り上げない というのは闇が深すぎるのではないでしょうか。
アメリカでも故・ジェフリー・エプスタイン氏のプライベート・ジェットに乗ったり、エプスタイン島に行った俳優の名前が数名ありましたが、その問題と今回のジャニー氏の問題とで異なるのは 日本の芸能界ほぼ全体が エンタメ業界の中心にいる権力者の小児性愛、犯罪ならば、長年に渡り、知っていても知らないふりをしていたということ、そして岡本カウアン氏の記者会見の後ですら、有耶無耶に小さい扱いで終わらせようとしていることなのです。