私は認知症の家族を抱えているということもあってか、認知症関連の記事がネットやYoutubeにあれば、ついつい目に止めてしまうのですが、本日は大気汚染が認知症のリスクを高めている というハーバード大学での研究の記事をご紹介したいと思います。

 

今、「地球温暖化対策」と称して、二酸化炭素削減ばかりが注目されていますが、本当に注目しなければならないのは大気汚染のほうではないでしょうか。認知症だけでなく、花粉症等のアレルギー増悪にもPM2.5等の大気汚染との関連が強く疑われています。

 

記事が掲載されているのは 中東レバノンの独立ニュースメディアです。

 

Air pollution linked to increased dementia risk: Harvard report

 

(和訳開始)

 

大気汚染は認知症リスクの上昇につながる:ハーバード大学の報告書

公害は人間の幸福に重大な影響を及ぼし、特に認知症やおそらくアルツハイマー病の原因となった後、その影響は深刻である

 

ブルームバーグがハーバード大学の研究を引用して報じたところによると、汚染された空気は認知症のリスク上昇につながる可能性があり、何百万人ものアメリカ人を苦しめているアルツハイマー病などの症状を防ぐために、より厳しい空気環境対策が求められている。 

ハーバード大学チャン公衆衛生大学院の研究者が14の先行研究を分析したところ、認知症は空気中の高いレベルの微粒子と数多くの関連性を持っていたそうです。微粒子レベルと認知症の関連は、米国環境保護庁の基準である大気1立方メートルあたり12マイクログラム以下であっても、残っていた。
 
認知症は、米国だけでも600万人のアルツハイマー病患者を含む、全世界で5,700万人が罹患しており、その治療法は確立されていない。ハーバード大学の環境疫学・生理学教授で、水曜日に医学雑誌「BMJ」に掲載された研究に貢献したMarc Weisskopf氏によると、年間レベルが1立方メートルあたりわずか2マイクログラム減少するだけでも、認知症の発生率は低下するはずだという。

 

"私たちが知る限り、低ければ低いほどリスクは低くなります "と彼はインタビューで語り、個人がこのような汚染物質への暴露をほとんどコントロールできない一方で、規制当局の発言力はより強いと付け加えた。

EPAは1月、微小粒子状物質の年間基準値を現在の12マイクログラムから、空気1立方メートルあたり9~10マイクログラムに変更することを提案しました。英国など他の国では、この要件はより厳しいものです。バークレー大地の科学者によると、1日1本のタバコを吸うと、空気1立方メートルあたり22マイクログラムのレベルにほぼ相当するそうです。

PM2.5(微小粒子状物質)は、人間の髪の毛の直径の約30%の粒子で構成されている。EPAによると、その小さなサイズにより、血液に入り込み、肺の奥深くで定着することができる。PM2.5への暴露は、肺がん、II型糖尿病、心血管疾患など多くの病気や早死にと関連している。

 

世界保健機関が推奨するPM2.5の年間平均量は5マイクログラム以下であるべきだが、世界のほぼ全人口がこの制限値を超える空気を吸っている。その推定影響は喫煙などの要因に比べれば小さいとはいえ、微粒子状物質は汚染にさらされる範囲が広いため、認知症のリスク要因として気になるとWeisskopfは述べている。

二酸化窒素や酸化窒素のような他の汚染物質も認知症発症の可能性を高めるかもしれないが、それを裏付ける研究が少ないため、これらの関連性はそれほど強くないかもしれない。"誰もが呼吸をしなければならないので、誰もがこれにさらされている。"とWeisskopfは言った。"暴露される人の数が膨大であるため、集団レベルの影響は、実際に非常に大きい可能性があります。"

 

(和訳終了)

 

ちなみに、日本の環境省が発表しているPM2.5の基準は 人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として「1年平均値が 15µg/m3 以下であり、かつ、1日平均値が 35µg/m3 以下であること」となっているので、ヨーロッパの現在の基準(年間12μg/m3)より少し甘いものとなっています。私が住んでいる地域ではPM2.5や光化学オキシダントの数値は毎日測定して発表していて、これは市町村ごとに測定データをネット等で発表しているはずですので、気になる方はチェックされてみてはいかがでしょうか。

 

環境省の基準の1日平均値が 35µg/m3という値でも 1日1本タバコを吸った時(22μg/m3)以上の微粒子を吸い込んでいる ということですから、長い人生に渡ってそのレベルの微粒子を死ぬまで吸い続ける ということを考えれば、これは軽視できない問題だと考えたほうがよいでしょう。

 

本当に地球温暖化の原因なのかどうなのかさえ研究者によって意見の分かれる二酸化炭素問題より 実はもっと深刻なのは 中国やインド等の大都市を中心に深刻な状況になっている大気汚染だと私は思います。

 

なお、アルツハイマー型認知症については ビタミンDが認知症予防効果が かなりある という面白い実験結果が発表されていて、先日の私のブログの過去記事でご紹介していますので、こちらも まだご覧になられていない方は チェックしてみて下さい。