ポーランドとリトアニアの間にあるカリーニングラードはロシアの飛び地領土であることは多くの方がご存知だと思いますが、そのカリーニングラードで緊張が高まっています。

 

 

きっかけはNATO加盟国でもあるリトアニアが6/21、カリーニングラードへの鉄道、道路を封鎖したことです。

リトアニア政府当局によれば「EUが行っている制裁に従っただけ」であるとコメントしていますが、リトアニアがEUに加盟した際、ロシア人の本土とカリーニングラードとの行き来には査証が必要でも、ロシアとカリーニングラード間での物流は妨げないというEU、リトアニア、ロシア間での合意があり、これはロシアにとっては その合意にリトアニアが違反しただけでなく、とんでもない挑発行為であると捉えており、当然のことながら、激しく反発しています。

 

ロシア本土と結ぶ海上輸送、航空輸送には問題がなく、食料や燃料の備蓄はあるというものの、この情報を聞いたカリーニングラードの現地では 人々が慌てて備蓄品を買いだめする ということがあったようです。

 

この地は 第二次世界大戦前はドイツの飛び地でケーニヒスベルクと呼ばれていました。元々ドイツ騎士団が街を築いたのですが、第一次世界大戦で破れたドイツは領土を割譲されて新たに独立したポーランドに領土を奪われ、ケーニヒスベルクがある東プロイセンはドイツ領土として残ったものの、陸路が通じていないドイツの飛び地領土になりました。

 

第二次世界大戦のきっかけは ドイツによるポーランド侵攻ですが、飛び地解消のための領土の返還をポーランドに要求して断られたので、ドイツが力づくで奪いに来た というのがあります。 

第二次世界大戦では このケーニヒスベルクでドイツとソ連との間で激しい戦闘があり、ドイツが敗北しています。それでケーニヒスベルクがソ連領になり、「カリーニングラード」という名前に変わったわけです。

 

その後、ソビエト連邦が崩壊、バルト三国を含めた、連邦を構成していた各地域が独立したために、カリーニングラードはロシアの飛び地領土になってしまいました。

ロシアにとって、このカリーニングラードは軍事的に非常に重要で、温暖な不凍港であること、バルト海への出口であることが この地をどうしても守りたい理由であり、人口も80万人もいます。 それを「EUがロシアに課している制裁」を理由に、ウクライナが東部戦線で1日100名以上の死者を出し後退もし、絶望的な状況になっている今のタイミングで封鎖したのは 戦争をなんとか長く続けたい米英の野望に従う形でリトアニアが動いたのかな、と私は思います。

 

しかし、リトアニアはNATO加盟国であるがゆえに、この挑発は世界大戦を招きかねない非常に危険な行為です。仮にリトアニアが次の戦場になった場合、米も含めて他のNATO諸国が一致団結してリトアニアを助けるとも限らないですね。ロシアはアメリカ以上の核大国ですから、NATO各国はロシアとの直接戦争は避けたいはずで、いざ戦争になったら、リトアニアは『捨て駒』にされる可能性も十分にあります。

 

米国は 表向きはリトアニアを"全面支援"すると言っています。

 

 

上のtwitterの和訳↓

ワシントン政府はカリーニングラードへの重要な貨物のトランジットを禁じるというリトアニアのロシアとの対立において、リトアニアを完全に支持することを宣言。

 

一方、リトアニアは 「これはあくまでEUによる制裁に従っただけで、ロシアを挑発するつもりはない。リトアニア、EU、ロシアの三者間での合意は残っている。」と、自らロシアを挑発しておきながら、ちょっと及び腰の姿勢も見えます。

 ↓

 

上のtwitterの和訳↓

カリーニングラードについて、リトアニアはエスカレートに関心がないと主張。ロシア、EUとの旅客輸送に関する三国間協定は継続される。
EUはモスクワに対し、カリーニングラードを封鎖する意図はないと断言。
 

 

 

しかし、この飛び地は第二次世界大戦が始まったきっかけになった土地でもありますから、今回のリトアニアの不用意な挑発は危険極まりないな賭けであって、NATOとロシアの全面戦争 に発展する可能性も出てきた ということです。