自由と孤独は切り離せない
道が一本あれば、行く手は自然にその一つに決まる
選択する機会が失われる
その不自由さに、人は安堵して、歩み続けるだろう
立ち尽くすよりも歩く方が楽だからだ
そして、その歩かされている営みを
「意思」だと思い込み、
その楽さ加減を「幸せ」だと錯覚する
孤独という自由を人は畏れ
その価値を評価しないよう
真の意思の存在を忘れるよう、人は努力する
自分たちを拘束する力を「正しい」と呼んで崇めるのだ
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何か一つのことだけで、人生の流れが変わるようなことは滅多にない
そういった話をよく耳にするけれど
それらは一つの解釈であって
単純明快な歴史を作ろうとする意図的な行為
話を面白おかしく盛り上げるための演出に他ならない。
何か一つのことをきっかけに変革が起こった例は多い。
だが恐らく、その一つのきっかけがなくても、
遅かれ早かれその変革は成し遂げられていただけだろう。
原因とは常に一つではない。
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自分が認識した順に正確に情報を記述することは不可能である。
言葉によって物体を認識するわけではない。
すなわち、文字に変換された時、すべては嘘になる。
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お急ぎの方は、ここから得られる警句をご紹介しておこう。
あなたが急いでも、貴方の人生は短くならない。
A Sea of Deceits 森博嗣より