埼玉にはいくつかの伝統的な菓子がある。
三大菓子というそうだが、それは草加せんべい、川越芋菓子、そしてこの熊谷の五家宝である。
それに自分としては県東部のいがまんじゅうも加えたい。
これは地域的なバランスがちょうどよい。
最近では十万石まんじゅうも勢いがある。
『うまいうますぎるという』テレビコマーシャルがきいた。
しかしこれらは何故か一般のスーパーには見かけたことがない。
草加せんべいはあるかもしれない。
その理由は多分値段が高すぎるということだと思う。
伝統物は何でもそうだ。
ブランド物として売り出すとどうしても高くなってしまう。
熊谷には五家宝という伝統菓子があるということは正直知らなかった。
道の駅みぬまでたまたま見つけたので、買ってみた。
この五家宝はじつは最近見たテレビのクイズ番組で出てきた。
多分潜在能力テストだったと思う。
これは全国的は、あるいは埼玉県内でもあまり知られていない菓子だが、地元熊谷高校出身のカズレーザーが見事答えた。
自分はこうしたお菓子やスイーツにはほとんど興味がないので、全国でもあまり買ったことはない。
血糖値上昇の元凶だと思っている。
しかし伝統品だとしょうがないので、ここでは一応買ってみた。
調べてみるとこの五家宝は江戸時代よりのこの地の伝統的なものだとわかった。
要するに和菓子中の和菓子である。
いがまんじゅうより通年性がある。
郷土料理に選ばれなかったのはこうした甘い菓子は江戸時代の武家、町人のものであり、農山漁村のものではないからかもしれない。
形は同じだが、周囲にまぶすものはいろりろあるらしく、これはきな粉をまぶしたものである。
ヨモギもある。
これではいったい何のことかわからないので、中心をカットしてみた。
これはかなり硬い。
ナイフの刃が負けそうである。
中の芯は米を固めたもので、水あめが加えられている。
そしてこの歯ざわり、舌触り、味は何か記憶がある。
子供のころに食べたことがある。
そうだ、これは粟おこしだ。
米を硬く固めた、粟おこし、岩おこしは関西名物、京名物で平安時代からすでにあったそうで、江戸浅草の雷おこしをはじめ全国的に様々なおこし菓子が作られている。
熊谷の五家宝はそれに水あめの外壁を加えさらにまぶし物を添えている。
粟おこしに比べれば二手間加えている。
味は少し柔らかい粟おこしと甘さ、そしてきなこの粉感だろう。



