岡山県内の名物で食べたかったものが一つあった。
それはカキオコ。
多分カキお好み焼きの略称だろう。
岡山には何回か行ったことがあり、かつ丼やえびめし、また津山ホルモン焼うどん、ひるぜん焼そばも木村屋のクリームロールパン、虎醤油、倉敷のうどん、むらすずめ、吉備団子、ジャージー牛乳、笠岡ラーメン、マスカットブドウなど地産食品、B級グルメの多いところである。
でもカキオコはなかった。
それはまず季節が限られている。
カキが水揚げされる冬の時期でなければいけないということであった。
今回は正月明けだからそれは最盛期のはずだ。
四国香川県から瀬戸内海大橋を渡り、日暮れまでに間に合うよう岡山県東部の日生（ひなせ）に急いだ。
この町は現在は備前市となっている深い入り江の中にあるところだ。
瀬戸内海はカキの養殖が盛んだが、ここは広島県と寄港や地理的条件が全く同じなので、その延長と考えてよいだろう。
高い橋から眺める海にはカキの養殖いかだが多数見える。
長崎県や熊本県天草のもこういう地形がある。
日生漁港についた。
そこはカキオコ店と水産物市場が一体化したような感じになっている港の駅のようだった。
カキオコ店はすぐに見つかる。
まずは説明文から。
B級グルメとして成立したのは新しいようだ。
『日生カキオコまちづくりの会』という業界団体もあるようだ。
これがB1グランプリなどに参加している。
従ってこの加盟店なら料理法などは統一されており、どこで食べても同じようなものだろう。
非加盟店はカキオコを名乗れないので、カキのお好み焼きとかしているのが容易に想像がつく。
カキオコは標準で９００円だ。
海産物市場の正面にあった『ゆるり』という店で注文した。
カキオコは上に乗せられているカキの量が多いと言われているというより、少し前のケンミンSHOWでそう言っていたので、期待値は膨らんだが、実際にはそれほどでもないと感じた。
期待が高いとなんでもそうなり、落胆の度合いが大きくなるが、これでも一般のお好み焼き店と比べれば圧倒的に多い。
カキも見るからに新鮮そうだ。
そろそろ出来上がったか。
上にトッピングをかけて完成だ。
見た目は普通のお好み焼きだが、ものの本によれば日生カキオコは、広島風と大阪風をミックスしているらしい。
広島と大阪のちょうど中間（大阪より）ということだそうだ。
備前日生はかつて東隣の地区の一部を兵庫県赤穂市にとられたという屈辱の過去がある。
越県合併は今ではハードルは高い。
このカキオコは食べたが、カキが一体どこに行ってしまったのかよくわからず、小麦粉の生地の中で溶けてしまっているように感じた。
ちょっと焼きすぎかもしれないと感じたが、カキはいろいろと食中毒や肝炎の原因になったこともあるので、焼き具合に注意しているのかもしれない。
要するに多少カキの感じのする普通のお好み焼きであった。