プラハには一応二日間いて、行くところに入ったので、次にはどこへ行こうか計画の段階から考えていた。
一応近いところとしてはドイツのドレスデン、ライピツィヒ、オーストリアのウイーン、ポーランドのクラクフなどが候補に挙がった。
ドレスデンとは目と鼻の先。
バスで多分2時間くらいでプラハからの日帰りも可能だ。
でもドイツには過去に3回行ったことがあるので、今回はまだ行っていないポーランドの古都クラクフを選んだ。
プラハからはバスで7時間である。
プラハバスターミナルはプラハ中央駅に近くにあった。
クラクフはKRAKOW(Oの上にはアクセント記号がある)と書く。
でもこの綴りなら英語読みではクラコウないしはクラカウとなるはずである。
COWとかNOWとかみんなアウと発音するからだ。
切符売り場で特にRの発音に気を付けながらクラカウと言ったが、通じなかった。
さらに何回かin south polandも付けて言ってみた。
そうしたらクラクフですねと言われ、やっと通じた。
アクセント付きのOはウで、Wの発音はウではなくフだったようだ。
最初から日本語のカタカナ表記のクラクフと言ってしま方がよかったようだ。
500キロはあるが、値段は約2000円。
日本に比べれば半分くらいだ。
バスに乗ってプラハの町を出たらすぐに、高速の両サイドには田園地帯が広がる。
平坦な緑は牧草地。
その向こうには木立に囲まれた森がある。
ボヘミアの森だ。
そして森の木の間から民家が垣間見える。
さらに人里離れるとなだらかにに横たわる丘陵地。
緑の部分は牧草地だけではない。
今は5月下旬なので、まだ収穫期ではない。
実際には小麦やジャガイモ、野菜なども植えられているだろう。
プラハを出て以降、この車窓は全く同じだ。
要するに美しいヨーロッパの田園風景の中を行くという感じだ。
山はない。
確かに環境的にはきれいだが、変化がない。
チェコはそうした国だった。
考えてみれば、これはチェコだけではなく、ドイツもそうだった。
北の北海から南のバイエルンまで山らしきものはなく、ミュンヘンの南になってやっとアルプスの山並みが見えてくる。
フランスも多分そうである。
ロシア、白ロシア、ウクライナなどはそれ以上だ。
ヨーロッパの人たちはこうした山がなく、地形的に余り変化のないところに住んでいる。
やっと遠くに町らしきものが見えてきた。
チェコのモラヴィア地方の中心地で人口が第二の都市であるブルノである。
ここで15分の休憩があった後、再び高速に戻り、今度は北上してポーランド方面へ向かう。
これも景色の様子は全く変わらない。
国境もいつ通ったかわからない。
日本国内の県境のようなものだ。
『ポーランドへようこそ』と書いた標識のようなものはあったかもしれない。
EUやシェンゲン協定加盟国には検問などはない。
EUはイギリスなどは不満だったようだが、こうした中小国にとっては利益が大きいだろう。
いつのまにかポーランドのカトヴィッツェについていた。
まわりの景色はほとんど同じだが、家の瓦の色がチェコのオレンジ色よりポーランドでは黒っぽい色になっていた。
ヨーロッパがEUとして統合できたのもたとえどの国に行ってもあまり変わらない風景の同一性のようなものも影響しているのではないか。
国は違うが違和感はあまり感じないのだろう。
長躯7時間の後、やっとクラクフへ着いた。
クラクフバスターミナルは鉄道駅と同じ所にある。
またショッピングセンターも併設してあったので、さっそくここのフードコートへ行ってみた。
チェコばかりだけではなくポーランドでもビール。
フードコートだから何を食べようか目移りする。
チェコもそうだったがここも目方売りの店があったので、いろいろと種類を食べられると思って、セルフでチョイスしてみた。
何だろうこれは。料理名はない。
適当にとっただけだ。
しかし値段は明らかに安い。
チェコよりさらに安い。
日本の三分の一くらいだ。
安いのでスープもたのんだ。
これで100円くらいだ。
これはハンガリーのグヤーシュスープかと思ったが、何だか違っていた。
記憶にないのでさほどおいしいと感じなかったかもしれない。








