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弁護士 渡辺 久の法律ブログ

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今日は、今ホットなテーマである憲法第9条と集団的自衛権について考えたいと思います。


まず、憲法と法律は同じでしょうか。いいえ、憲法と法律とは違うのです。法律は国民に向けられ


たものであるのに対し、憲法は国家権力に対し向けられたものです。


法律は、国民の権利を制限し、義務を課すものです。税金が良い例でしょう。これを制定するのは


国会ですが、国会も国家権力です。


これに対し、憲法は、国民の権利を制限する法律を制定する国家権力に歯止めをかけるもので


す。つまり、国家権力から、国民の権利を守ってくれるものなのです。


なぜ、このような憲法が制定されるようになったのか。憲法は、人民が為政者から権利を勝ち取っ


ていく過程で、人民が勝ちとったものです。


憲法が規定する人権の思想が最も早く登場したのはイギリスでした(マグナカルタ(1215年)、


権利請願(1628年)、権利章典(1689年))。ただ、この時代における権利は、国王対貴族層の


レベルのものであり、人民には直接関係のないものでした。


しかし、権利意識は徐々に人民レベルまで広がり、ついにアメリカの独立、フランス革命により、


人民は民主国家を設立し、自らの人権を勝ち得たのです。


王政が支配する世界においては、人民の人権を抑圧するのは国王ですが、民主主義が支配する


世界においては、国民の人権を抑圧するのは国家権力です。


民主主義においては、国民の過半数の支持を得た者が政権を担当します。本来民主主義は多数


決主義とは異なり、少数派の意見をも踏まえながら国政を運営するものですが、時には多数決主


義が全面に出てくることもあります(あのヒトラーは、民主主義によって生み出された人物であるこ


とを忘れてはなりません)。そうなると、過半数を得て政権を取った者が、その政権を支持しない者


に対しても、自らの考えを強要することができます。


近年争点となった消費税の問題がその典型でしょう。消費税をあげてもらいたくないと思っていて


も、消費税を上げても良いと考えている人たちが過半数を超えれば、消費税はあがってしまいま


す。


消費税と異なって、憲法に規定された私たちの人権は、人民の為政者に対する長い戦いの末に


勝ち得たもので、普遍的な価値をもっており、そう簡単に変えてはならないものです。日本国憲法


の基本思想である平和主義も、日本が経験した悲惨な戦争を踏まえたもので、これも普遍的な価


値を有するはずです。


このような国民の人権や平和主義の普遍的価値からすれば、それを決める国の基本的な体制に


ついては、単に過半数を超える人たちの意見だけで変えられては困るような性質を持つものなの


です。


そこで、憲法第96条は、両議院の議員の総数の3分の2以上の賛成がなければ憲法改正の発


議をできないようにし、国民の人権や国の基本思想を変えるためには、厳しい要件をクリアするこ


とを求めたのです。


このように、憲法は、法律と異なり、普遍的な性質を持つ国民の人権を守り、そのための国の基


本設計を決めるものですので、法律と異なって、その改正には、より慎重な姿勢を求めているので


す(ちなみに法律の世界ではありますが、会社法においても、株式会社の根本規則である定款を


変更する場合には、株主総会での3分の2以上の議決が必要です)。


憲法のそのような思想からすれば、そもそも憲法改正は慎重に検討されなければなりませんし、


そうであれば、閣議決定により、集団的自衛権を認めるというのは言語道断です。


憲法第9条は、国家権力に対し、国際紛争の解決には、武力行使ではなく、話し合いによる解決


を義務付けているのです。今の内閣が集団的自衛権に行使を認めるというのは、「話し合いによ


る解決なんて難しいから、そんなことできない、集団的自衛権を認めて、武力行使による解決の


方が簡単だから、それをしたい」と言っているようなものです。会社でいえば、社長と役員の完全


な職務怠慢です。会社の業績があがらないので、それを打開するためには、違法行為をするしか


ないと言っているようなものです。


もっとも、国民の側も、憲法第12条に規定するように、「この憲法が国民に保障する自由及び権


利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければな」りません。


現在の国民と内閣の関係は、会社の社長及び役員と株主の関係と同じです。


会社の株主が、社長と役員の職務怠慢を見逃し、それに対する是正措置を怠れば、、、、、、


その会社は倒産必至であり、株主の持っている株式はパーとなります。


私たちも、日本国の株主として、将来にわたって、私たちの子孫が、人権と平和を享受し続けるこ


とができるように、日本国の役員である政治家に対し、監視と是正措置を怠ってはなりません。


今まさにその時期に来ていると思います。