今般労働契約法が改正されました。
その大きな柱は、①有期労働契約の無期労働契約への転換(法第18条)、②雇止め法理の法
定化(法第19条)及び③期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違の禁止(法第20
条)です。
厚生労働省の調査によりますと、雇用者に占める有期契約労働者の割合は22.5%で、総数は
1200万人と推計されています。
有期契約労働者のうち1回当たりの契約期間が1年以下のものは85.1%であるにもかかわら
ず、勤続年数は29.5%が5年超、11.7%が10年超となっており、短期間の有期労働契約を
長期にわたり更新している現状がわかります。
有期契約労働者のうち、現在の仕事に「不満である」とする割合は44.7%に及んでおり、約半数
の有期契約労働者が現状に不満を抱いていることになります。不満とする理由は、ステップアップ
の見込みがないこと、賃金の絶対水準の低さや正社員との格差、解雇や雇止め等待遇に関する
ものが多くなっています。
今回の労働契約法改正は、このような有期労働契約の利用実態に対処するためのものです。
ここでは、労働契約法改正の詳細に触れることはできませんので、改正の要点と注意すべき点を
記したいと思います。
まず、有期労働契約の無期労働契約への転換(法第18条)についてですが、これは、平成25年
4月1日以降に締結される有期労働契約に適用されます。
要件は、①同一の使用者との間で、②有期労働契約が反復更新されて5年を超える場
合において、③労働者が使用者に対し無期労働契約への転換の申込みを行うことで
す。ここで、②の通算契約期間についてですが、条文上「二以上の有期労働契約の
通算契約期間が5年を超える場合」とされていますので、①更新が1回以上行われ
ている、②その有期労働契約の通算期間が5年を超えていることが必要となりま
す。既刊年の有期労働契約一回だけでは、無期労働契約への転換権は発生しませ
ん。この要件を満たせば、転換の申込みをした有期労働契約期間の満了日の翌日か
ら無期労働契約となります。
ここで注意する点は、この制度は、定年後に有期労働契約締結している場合にも適
用されることです。ここで、定年後に有期労働契約を締結している労働者につい
て、無期労働契約に転換後、再度定年を定めることができるかという点が問題にな
りますが、労働協約、就業規則、個々の労働契約により適法に別段の定めをすれ
ば、可能と解されているようです。
次に、雇止め法理の法定化ですが、これは、最高裁の東芝柳町工場事件判決と日立メディコ事
件判決で示された要件がそのまま規定されたものです。
この条項は確定判例の法定化ですので、成24年8月10日から施行されています。
ここで注意すべき点は、雇止めが認められず,従前の有期労働契約と同一の労働条件で
有期労働契約が更新されると,更新後の有期労働契約についても同様に雇止めが認
められず,再度同一条件で契約更新となる可能性が高く,その後も同様の事態の発
生が予想されることです。そして、このようにして有期労働契約が複数回更新され
る結果,通算契約期間が5年を超えると無期労働契約への転換権が発生することに
なることです。
無期労働契約への転換は平成25年4月1日以降に締結された労働契約に認められ
ますが、それ以前に締結された労働契約に基づく有期契約労働者についても,雇止
めが認められない結果として、無期労働契約への転換権が発生することも考えられ
ます。
使用者側としては、現時点における有期契約労働者の全員について,今後の雇用方
針を検討しておく必要があると思われます。
また、以上を踏まえ、就業規則等の見直しも必要になると思われます。