昨年の12月にフィリピン行きでした。

ヒーシーの2~3mmの在庫が少なくなり仕入れが

目的でした。

しかし1本も手に入れることが出来ませんでした。

コロナ前と現在では価格が九割方アップです。

価格のアップに輸送燃料のアップ、更に今日の円安と

トリプルパンチです。

現在のヒーシー製作現場です。

竹を弓のように張りワイヤーに貝のヤタラ(サザレ)を

通して2~3mm、4~5mmのヒーシー状に丸くして

行きます。

グラインダーには吸塵機も付けられていません。

写真は特別に撮らせて貰ったものです。

現実では腕時計もせず長シャツを着て顔も目無し帽を付けて

の作業です。

50年ほど前は竹の代わりに平板にヤタラを通したワイヤーを

一弦琴のように張って製作していました。

 

今回は30年ほど前に取引をしたメーカーを直接訪ねましたが

4~5mmサイズしか作ってないとのことでこちらも九割

近くアップでした。

2016年にセブからヒーシーが消えるとブログに書きましたが

現実的になっています。

一般的には2~3mmのヒーシーは4~5mmサイズより材料が

半分ほどで安いと思われがちですが現実では同じ大きさの

ヤタラ(サザレ)から削って行き2~3mmに仕上げる訳です。

従って過重な労力が要り、小さくすればするほど破損の

頻度も増します。

フィリピン経済は好調でコンドミニアムなど建築ラッシュが

続いています。

不安定な貝の仕事より工事現場の仕事が喜ばれています。

 

現在の白ヒーシーはザルガイの一種で作られています。

ザル貝は多産の貝で安価な貝です。

従ってヒーシーの中では一番安いヒーシーでした。

しかし一番使いやすいヒーシーでもあります。

ザルガイは石灰質でキメが粗く破損し易くフィリピンでは

ヒーシーは一般的に4~5mm、2~3mmに大別されて

いますが白ヒーシーは3mm以下では作られていません。

4~5mmも5~6mmサイズです。

初期、40年ほど前の白ヒーシーはザル貝ではなくてきめの

細かい貝で作られ2~3mmも可能でした。

ヒオウギ貝も同じような材質ですのでヒーシーも5~6mm

では作られていますが3mmサイズは作られていません。

やはり破損が多いからです。

ヒオウギ貝ヒーシー6㎜です。

単にヒーシーと言っても貝の材質に依り、石灰質、真珠質

では作る難易度が全然違います。

 

ヒーシー材料の貝です。

上左がタイラギ貝でペンシェル(24cm)、右上がヤシ貝

でメロンシェル、下左がクロチョウ貝(17cm)、マベ貝

(ブラウンペン)(21cm)です。

それぞれでヒーシーが作られます。

上右がシロチョウ貝’16cm)でいずれも大きい貝で

真珠光沢のある貝ですがタイラギ貝以外は材料としては

価格の高い貝です。

上右の白い貝はウミウサギ貝でエッグシェルヒーシーの

材料です。私が最も美しいヒーシーと認めているものです。

エッグシェルヒーシー4~5㎜です。

エッグシェル(ウミウサギ)も貝殻の内側に紫かエンジの

ような皮膜が付いています。

この被膜は1色でなく多様な色が白に混じって美しいヒーシー

を作り上げています。

 

クチムラサキサンゴヤドリ貝です。

下段のスライスで見れる中央の芯の部分からナゲットが

作れれます。

上からヒーシー4~5mm、2~3mm、ナゲット、

マクタンリィリィ、ヤタラ(サザレ)です。

注①上はクチムラサキヒーシー4~5mmと2~3mmです。

2~3mmは93本あります。

いずれも製品を解体して出来たものです。

注②今ではセブでも死語になっていますが、クチムラサキ

サンゴヤドリで作られた製品は当初、セブビューティ

ヒーシー(セブ美人)、芯で作られていたナゲットは

マクタンオーキッド(マクタンのラン)、ヤタラ(サザレ)

はマクタンローズ(マクタンのバラ)、細長くスイライ状に

カットされたのはマクタンリィリィ(マクタンのユリ)と

ヒーシーの中でも特別な名が付けられていました。

サンゴヤドリ貝は多産な貝ですが小さな貝で、作る手間が

かかりそれと色の美しいヒーシーです。

その右の細長い貝はハイイロマクラ貝です。

この貝も多産ですが小さい貝ですのでやはり作る難度は

高いです。

 

クチムラサキサンゴヤドリの右の白い貝は白トミ貝です。

この貝からはムーンシェルヒーシーが採れます。

キメの細かい美しいヒーシーです。

2~3mmのヒーシーのみが作られました。

現在は作られていないはずです。

手持ちのエッグシェルヒーシーは沖縄の方がほとんど買われ

ました。

その右の口元が赤い貝はマガキ貝です。

この貝からはピンクのヤタラ、ヒーシーが採れます。

口元の赤い部分からはレッドリップヒーシーが出来ます。

土佐ではチャンバラと呼ばれ酒のつまみに好まれています。

貝肉の先に刀の形をした爪の様なものがあり、これに因んで

チャンバラ貝と呼ばれています。

 

エッグシェルヒーシーです。この写真は5~6年くらい前の

物です。

きめ細かく美しいヒーシーですがもろさもあります。

(平凡社の世界貝類図鑑より)

ハマーシェルです。カキの1種です。

和名はピッケル貝で欧米ではハンマーシェルと呼ばれ、

ハンマー(hanmer)のnをmに置き換えてハマーシェル

(hammar)ヒーシーの名が付けられたはずです。

注⓷ハマーシェルヒーシーです。

注⓸上の写真もハマーシェルです。上2本はマルチカラーに

染めたものですが下の2本はどう言う薬品を使って化学反応

させたのか不明です。

ハマーシェルからとは想像もできません。

 

私が扱ったヒーシーは白蝶貝、黒蝶貝、ザル貝、タイラギ貝、

マガキ貝、イモ貝、サンゴヤドリ貝、ハマーシェル、ヤシ貝、

タカセ貝、カキ、マベ貝、シャコ貝、マクラ貝、ムール貝、

ホシダカラ(タイガーカゥオリー)などが材料でタイラギ貝

ではブラックペン、ブラウンペン、カキでもハマーシェル、

バイオレットオイスター、マクラ貝でも数種のヒーシーが

作られました。

フィリピンで作られたヒーシーの全てを扱ったと言っても

過言ではないと思います。

ムール貝からはグリーシェルヒーシーが作られました。

注⓹上はマガキ貝ヒーシーですが上の5本は貝の内側には

黒っぽい皮膜がありそのままでヒーシーを作ったものです。

私はミックスヒーシーと言っています。

エッグシェルヒーシーは貝の白に皮膜の色が混じって美しい

ヒーシーになっていますがマガキの方は今一つです。

 

 

下の5本は先ず皮膜を取り除いてのヒーシーです。

ピンクヒーシーと呼び区別しています。

注⓺ピンク2~3mm、2本はピンクヤタラ、レッドリップ

プカレット数本、レッドリップヤタラ4本に下部の数本は

レッドリップリィリィです。

注⓻上もマガキ製品です。

上から2本はミックスヒーシー、次の4本はプカレットで

1枚の厚さが1mmです。次の1本はレッドリップヒーシー、

下の10数本はやはりプカレットですが少し厚みがあります。

プカレットとはヒーシーをガシャ(ミキサー)にかけて

1枚1枚の貝の角を丸めたものです。

今では作られていないと思います。

注⓼上の6本のヤタラはピンク(マガキ)と白のヤタラです。

下4本はマガキの口元の赤い部分で作られたレッドリップ

ヤタラです、

上の様にブレスに出来たものを40cmの釣り糸に差し替え

ています。ピンクヒーシーです。

白のブレスも解体しました、

マクタンリィリィです。

注⓽上10数本はハイイロマクラ貝ヒーシー2.4mm、次の10本

はバイオレットオイスターヒーシー1.2mm、次の黒っぽい

ヒーシーは1.6mmで貝名が下のベージュのヒーシーと

共に思い出せません。

1.2mm,1.6mmのヒーシーを作れる職いるでしょうか

しょうか。

注⓾上6本は黒蝶貝、次の2本はブラウンペン、次の1本は

バイオレッオイスターの各4|5mmヒーシー更に下の

8本は黒蝶貝2~3mmヒーシーですが最下部の2本は名が

思い出せません。

注⑾上4本はグリーンシェルヒーシーで中央2本は白蝶貝の

5mmと2~3mmヒーシーです下2本はメロンシェルで

このカットはサンパギータカットと言われたと思います。

注⑿白プカレット4~5mmです。

上部のプカレットは厚さ2mmくらいですが下部のは1mm

位の厚さです。現在の白ヒーシーでは作れないものです。

注⑬白ヒーシー2~3mm、4~5mmです。

注⑭シャコ貝で作られた2~3mmのチューブです。

純白のキメ細かいチューブ形です。

これも現在では作られていないと思います。

注⑮上からブラックペン、ブラウンペン、ブラウンリップ、

タイガーカゥオリー、ブラックペン、ブラウンペン、

青サンゴの竹の子ヒーシーです。

このままの単色でのネックレスでなく違う材料の貝と

ミックスで仕上げています。

たぶん200本余りはあるでしょう。

注⑯ペンシェルのワイヤーブレスを解体して糸に差し替えて

います。たぶん150~160本は出来るはずです。

ブレスにはマガキのイルカ、タカセの,丸玉、ハマーシェル

ヒーシーのマルチカラーが使われています。

注①~⑯までの写真の品は現在までにSCRAP&BUILDで

製品を解体した物から取れたヒーシーなどで自室に保管して

いるものです。現在のところ400本余りですが解体を

続けます。

台形型の白蝶貝、マベ貝が1本に11個付いたマクラメネック

です。このパーツも全てが値上がりです。

200個足らずしか取れませんがコロナ禍ですべての品が

値上がりしている現状ではパーツを仕入れるよりは安く

販売出来ます。

 

フィリピンなどの仕入れ交渉は辛うじてやっていますが

兎に角、物忘れ、体力の衰えもあり在庫の管理などは出来

ません。スタッフの云われるままにオーダーするだけです。

 

今でもフィリピンはもとより台湾、バリ島などに行きたい

意欲はありますが体力に自信がありません。

 

それでも台湾の欣葉餐庁で台湾料理を肴に紹興酒を呑むまで

は頑張ります。